第22話「デブになってからの運動は本当に大変だ」
俺はきっと後になって、自分の選択を後悔することになるだろう。
テーブルの上には愛露莎が作ったさまざまなスイーツが並んでいたが、俺には名前すら分からなかった。愛露莎は一つ一つ説明してくれたが、俺の耳にはまったく入ってこなかった。食卓に座り、フォークを止めることなく、甘さが爆発するようなスイーツを一口、また一口と食べ続けた。
「日日明、味はどう? 自信作なのよ!」
「ああ! おいしい! 本当においしいよ! もう勘弁してくれ!」
テーブルの上にあったスイーツをすべて食べ終えた瞬間、何かが起こりそうな気配を感じた。
システム表示? カロリー爆弾炸裂予告? カウントダウン開始!
十、九、八、七、六、五、四、三、二、一、ゼロ!
カロリー爆発!
ドカン!
一瞬にして俺の身体は丸々と太り、服まで膨張して破れてしまった!
「日日明? どうしたの?」
「愛露莎、実は今日、ゲームシステムからペナルティを受けたんだ。食べたもののカロリーが爆発的に増えるんだ! 俺、太っちまったよ!」
「あっ! 立ち上がらないで! 見えちゃうわ! 魔法で服を修復して、大きくしてあげる!」
愛露莎の魔法によって、服は修復され、サイズも大きくなった。
「それで、そのゲームシステムって一体どういうものなの?」
「詳しく説明するとなると複雑なんだ。とりあえず、先に体重を量ってくるよ! それに外に出て服も買わないと。学校の制服はどうすればいいんだ?」
「日日明? これって私のせいなの?」
「いや、愛露莎のせいじゃない。食べると決めたのは俺だからな」
「日日明、先に伝えておかなければならないことがあるわ。身体を大きくする魔法は一時的に維持しているだけなの。外に出て街を歩いている途中で効果が切れたら、全裸になっちゃうわよ!」
「はあ? じゃあ、どうやって服を買いに行けばいいんだよ!」
「私に任せて! 日日明!」
「ちょっと待て! 下着まで君に買ってもらわなきゃならないんだぞ! 男物のパンツがどんなものか分かるのか? それに、どこで買うのかも知ってるのか?」
「そ……それは、あなたが教えてくれれば買えるわよ!」
「とにかく、先に体重を量ってくるよ!」
「日日明、本当に豚みたいに太っちゃったわね!」
自分の部屋に戻って体重計に乗ったとき、表示された数字を見て、危うく腰を抜かしそうになった。
「ああ! 超デブになっちまった! 一体どうすれば元の体型に戻れるんだよ!」
「日日明、カロリー爆弾には食べ物の種類による制限があるニャ。健康的なダイエット食を食べれば、カロリー爆弾は発動しないニャ!」
小曉月がそう言った。
「それを先に言えよ! ところで、健康的な食べ物って何なんだよ!」
「自分でネットで調べるニャ!」
「日日明、体重は量り終わった? 服を買いに行ってもいい?」
「ああ。メジャーと紙とペンを取ってくる。身体のサイズを測ってから、君に渡すよ。そうしたら服を買ってきてくれ!」
身体のサイズを測っている間も、俺は何度も驚かされた。どうして? どうして突然こんなに太ったんだ? あの食べ物のカロリーは何倍になっていたんだ?
測定を終えて、数値を紙に書き写すと、愛露莎にそれぞれの数値が何を意味するのか説明し始めた。
「分からなかったら、店員さんに聞いて探してもらってくれ。鼎山のカルフールに行けば、全部揃うはずだ。場所は分かるか?」
「日日明、心配しないで。あそこなら行ったことがあるわ。それじゃあ、行ってくるね! そろそろ魔法が解除されると思うから、布か何かで身体を隠しておいてね!」
「ああ、帰ってくるのを待ってるよ!」
愛露莎が出かけた後、俺はトイレに行って鏡を見た。鏡に映っていたのは、超デブになった自分の姿だった。
その直後、服が突然また破裂した。どうやら魔法が解除されたらしい。
裸のまま部屋に戻り、布団を一枚取り出して身体に巻きつけた。
「小曉月、ペナルティが終わったら元の体型に戻るのか?」
「戻らないニャ! でも、このペナルティには特殊効果が付いているニャ。ダイエットをすれば、一気に大量のカロリーを消費できるニャ」
「運動すればいいのか?」
「そうニャ」
その後、俺は部屋のベッドに座って愛露莎が帰ってくるのを待ちながら、携帯電話で健康的なダイエット食や減量に効果的な運動について調べた。一時間後、愛露莎が帰ってきた。
「日日明、ただいま! 幸い、あんなに大きなサイズのパンツが売っていてよかったわ! 店員さんに彼氏のために買うのか、それとも旦那さんのために買うのかって聞かれて、どう答えればいいのか分からなかったわ」
「ありがとう、愛露莎。本当に助かったよ!」
その後、俺は愛露莎が買ってきてくれた大きなサイズの下着と、ゆったりした運動着に着替えた。
「日日明、そろそろゲームシステムについて説明してくれる?」
「ああ。例えば、俺の部屋のクローゼットが君たちの世界へ通じる扉になっただろ? ああいう変化は、俺の願いによってゲームシステムが生み出した影響なんだ。それで、毎週一万Gポイントを稼げなかったらペナルティを受ける。今回のペナルティがカロリー爆弾だったんだ。食べたもののカロリーが爆発的に増えるから、こんなに太っちまった。でも、いい知らせもある。ダイエットをすれば、逆に一気に痩せられるみたいなんだ!」
「だから、今から外に出てジョギングをしてくるよ!」
「そうなのね? 何か手伝ってほしいことがあったら、いつでも言ってね!」
「ありがとう、愛露莎。行ってくるよ!」
靴下を履こうとして初めて、前かがみになるのがとても難しくなっていることに気づいた。少し苦労して、ようやく靴下と靴を履いたが、靴が少しきつくなったように感じた。おそらく足まで大きくなったのだろう。新しい靴も買ったほうがいいかもしれない。
こうして俺は重たい身体を引きずりながら、金猫湖の周りをジョギングし始めた。走りながら、自分が今にも死にそうだと感じていた。
「どうしてこんなにきついんだよ!」
結局、途中で転んでしまった。そして、膝のあたりの筋肉がひどく痛むのを感じた。
「痛い!」
片足を怪我してしまった!
携帯電話を持ってくるのを忘れた。これじゃあ、どうすればいいんだ? 小曉月も連れてきていない。通りかかった親切な人が救急車を呼んでくれないだろうか? 地面に横たわったまま、なんとか身体を起こそうとしたが、どうしてもできなかった。数分が過ぎ、容赦ない日差しが照りつける。ここで気を失ってしまうかもしれない。
「あっ! 見つけました! 大丈夫ですか?」
俺が顔を上げると、日傘を差したとても美しいシスターが、こちらに声をかけていた。
「足を怪我したみたいで、歩けないんです。救急車を呼んでもらえませんか?」
「ええ、ちょっと傷を診せてください。私はシスターですが、医師でもあるんですよ!」
彼女が手で俺の脚に触れた瞬間、あまりの痛さに叫んでしまった!
「痛い!」
「筋肉を痛めたようですね! しばらく歩けそうにありません。トイレに行くのも難しいでしょう。ところで、あなたはその前に何をしていたんですか?」
「ただダイエットのためにジョギングしていただけですよ!」
「あなたの体型と体重でジョギングをすると、脚を痛めてしまいますよ! 痩せたいのなら、歩くことしかできません!」
シスターは携帯電話を取り出して電話をかけた。俺は救急車を呼んでくれるのだと思った。
「右脚の膝関節の筋肉を痛めています。しばらく歩けません。猫向衆を手配して、彼を金猫寺まで運んで治療を受けさせてください」
しかし、しばらくすると金猫神曉月が現れた。
「エルヴィス、彼の脚は元通りに治せるかしら?」
「私が治療すれば、間違いなく大丈夫ですよ」
すると、猫のような姿をした人型の生き物たちが担架を担いで現れた。そして俺は担架に乗せられ、金猫寺の客室へと運ばれた。
「小曉月、俺が何かあったことを知ってたのか?」
俺は隣にいる金猫神曉月に尋ねた。
「私の分身から、あなたが一人でジョギングに出かけたと聞いただけよ。でも、今のあなたの身体の状態では何か問題が起こるかもしれないと思ったから、エルヴィスと猫向衆にあなたを探しに行かせたの。そしたら、案の定こんなことになってしまったのね!」
「これから血液操作術で筋肉の損傷を治療します。少し痛むかもしれませんが、我慢してください!」
シスターがそう言った。
「血液操作術? シスター、あなたは一体何者なんですか?」
「彼に説明してもいいのですか?」
「ええ。エルヴィスは吸血鬼なのよ!」
「はあ? シスターが吸血鬼なのか?」
「それでは、治療を始めますね!」
「痛い!」
俺の脚の皮膚と肉が切り開かれ、彼女はその手で傷口に触れた。俺は血まみれになった自分の脚をとても見る気にはなれなかった。数分後、治療が終わり、皮膚は縫い合わされ、痛みも和らいだ。
「治療は終わりましたが、今日一日はまだ脚を曲げられません。今日は一日、寺院の中で過ごしてください!」
「おい! 小曉月、俺の人生をゲームにするという願いを取り消すことはできないのか?」
「一度叶えられた願いは取り消せないニャ!」
「じゃあ、明日はどうやって学校に行けばいいんだ? 制服はどうすればいい?」
「制服の問題はエルヴィスが解決してくれるわ。彼女もあなたの学校の理事長だからね! あなたはここでゆっくり休んでいなさい!」
「小曉月、これから俺の人生はどうなっちまうんだ? もし毎週一万Gポイントを達成できなかったら、ずっとペナルティを受け続けるんだろ?」
「今はそんなことを考えなくていいわ! 怪我が治ったら、私も一緒にダイエットを手伝ってあげる。ほら、私の分身があなたのそばにいるでしょう?」
曉月は金猫の小さな神像を俺の手に渡した。
「日日明、私を連れて出かけなかったのは本当にひどいニャ!」
「それじゃあ、制服をオーダーメイドするために身体のサイズを測りますね」
シスターはそう言って、メジャーを取り出し、俺の身体のサイズを測り始めた。
その後、俺は寺院の中で休んでいた。愛露莎が俺の携帯電話を持ってきてくれた。
「日日明、あなたがあんなにスイーツを食べたのは、私のせいだわ!」
そのとき、頭の中に選択肢が表示された。
【選択肢1】愛露莎を責める! Gポイント-500。
【選択肢2】愛露莎を責めない。
今の俺はきっと機嫌が悪いに違いない。だから、俺は選択肢1を選んだ。
「ああ、全部君のせいだよ、愛露莎。太っちまったせいで彼女もできなくなったんだぞ。どう責任を取ってくれるんだ?」
「そ……それなら、私があなたの彼女になればいいんじゃない?」
システム通知! 愛露莎の好感度が上昇した?
えっ? これで上がるのか? このシステム、一体どうなってるんだよ?
「冗談だよ! 本気で怒ってるわけじゃないって! こうなったのは自分のせいだって言っただろ!」
「本当?」
「本当だよ!」
「本当に本当?」
「本当に本当だって!」
「本当に本当に本当?」
「もう本当に本当って言うのはやめてくれ!」
「ぷっ! あはは! 冗談よ、日日明」
「分かってるよ。俺だって冗談で言ったんだから!」
その後、愛露莎は部屋を出ていった。俺は松葉杖をついてトイレに行った。脚を曲げると、まだ少し痛みがあった。




