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第13話「この世界で君を見つけた」

 白雅蝶は遊魂を捕まえるための拘留瓶を見せてくれた。瓶はとても小さく、これで本当に遊魂を捕まえられるのかと思っていると、


「遊魂を捕まえるときには大きくなるのよ。そういえば、あなたは拘留瓶を持っていないのに、どうやって遊魂を捕まえるつもりなの?」


 白雅蝶は不思議そうに尋ねた。


 それにしても、彼女の不思議そうな表情も美しいな! 俺はこういう大人のお姉さんが好きなんだよ!


「雅蝶、その点は心配しなくていいわ! 私がいるんだから! 拘留瓶だって召喚できるんだからね! ニャ!」


 小暁月は自信満々に胸を張って言った。


「そうだったわね! あなたにはこいつがついているものね!」


「こいつって何よ! 私はこの三神区にいる三柱の神の一柱、猫神暁月様の分身なんだからね! ニャ!」


「こいつで十分よ。あなたには大した神力もないし、ただの小さな分身じゃない」


「あなたにたっぷり不運を与えてやるんだから! ニャ!」


「ちょうど最近、仕事が忙しくて少し便秘気味なのよね!」


 女性がそんなことを言うのは、ちょっと品がない気がするんだけどな!


「だったら不運なんてあげないわよ! そのままずっと便秘でいればいいんだわ! ニャ!」


「それで、質問はもう終わったのかしら? 授業をサボっている悪い子ちゃん?」


 雅蝶はホットミルクティーを手に取り、一口飲んだ。口元にかすかな笑みを浮かべるその姿は、なんだかとても魅惑的だった!


「はい。もし遊魂を見つけたら、自分で狩って捕獲してもいいんですか? 白さんの仕事の邪魔にはなりませんか?」


「捕まえたいなら好きにすればいいわ。そうすれば私も仕事中に少しはサボれるしね。ただし、あなた自身に危険が及ばないことが前提よ。遊魂に取り憑かれた人間は、特殊な力を手に入れるんだから!」


「特殊な力ですか?」


「例えば、突然超能力に目覚めたりするのよ。怪力とか、発火能力とかね。つまり、ある程度の戦闘能力を持つようになるの。遊魂に取り憑かれた人間は、自分が危険な状態にあるなんて思っていない。ただ突然、超能力に目覚めたと思っているだけなのよ。だから私たちはその能力を消さなければならない。事情を説明したところで、結局は戦闘を避けられないことも多いし、本当に面倒なのよ。それに、取り憑かれた人間は遊魂の影響で感情まで変化して、ひどく怒りっぽくなったり、逆に落ち込んだりするの」


「小暁月、俺にも何か特殊な力はあるのか?」


「あなたはただの人間よ! 特殊な力なんてあるわけないじゃない! ニャ! あはは!」


「それじゃあ、俺はどうやって遊魂に取り憑かれた人たちと戦えばいいんだ?」


「だから恋愛で解決しなさいって言っているんじゃない! ニャ!」


「男相手にどうやって恋愛しろっていうんだよ!」


「ぷっ! あはは! 授業サボり君、そもそもあなたは遊魂を捕まえる必要があるの? これは本来、私の仕事なのよ。あなたがわざわざ関わる理由がわからないわ」


「白さん、聞いてくださいよ! 俺はこいつの願いを叶える能力のせいで、今はGポイントを156万も借金しているんです。毎週1万Gポイントを返済しないと、ペナルティを受けることになっているんですよ」


 俺は手で小暁月を指し示した。


「Gポイントって何なの?」


 雅蝶は何を言っているのかわからないという表情を浮かべた。


「俺は高校生活をゲームみたいにしてほしいと願ったんです。それで、現実世界のあらゆるものが数値化されて見えるようになりました」


「そうなの? それで、Gポイントって何なの?」


 そのとき、頭の中に選択肢が表示された。


【選択肢1】雅蝶にGポイントの仕組みを詳しく説明する。

【選択肢2】雅蝶の手からミルクティーを奪い取って飲む!


 そして、枠の外側に燃えるタイムゲージが現れた。


「どうしたの?」


 俺は数秒待ってみた。すると、燃えるタイムゲージが半分ほど進んだところで、選択肢3が表示された。


【選択肢3】今すぐ白雅蝶にキスする!


 何なんだよ、この選択肢は! 1を選ぶしかないじゃないか!


「Gポイントは、小暁月の話によると、人生の価値や幸福のエネルギーみたいなものらしいです。それから、遊魂はGポイントの高い人間に取り憑きやすいそうです」


「そうなの? でも、最近私が捕まえた遊魂の宿主は、あなたの言うようなGポイントの高い人間じゃなかったわ。ほとんどが心に問題を抱えている人たちよ。わかりやすく言うなら、引きこもりとかオタクみたいな人たちね。ある日突然、異能力に目覚めて、それから街で暴れ始めるのよ」


「心に問題を抱えている人は、遊魂に取り憑かれやすいんですね!」


 再び頭の中に選択肢が表示された。


【選択肢1】今すぐ白雅蝶にキスする!

【選択肢2】会話を終えて立ち去る!

【選択肢3】自分が今まで見つけた遊魂の標的について、雅蝶に説明する。


 燃えるタイムゲージは表示されていなかった。


 俺は少し考えた。郭彩衣のことは話したくなかったので、選択肢2を選んだ。


「そろそろ昼休みも終わりそうなので、学校に戻ります!」


「それじゃあ、またね。授業サボり君。もし遊魂に取り憑かれた人を見つけたら、私に教えてちょうだいね! LINEも交換しましょう!」


 そのあと、俺は雅蝶とLINEを交換し、コンビニを出て学校へ戻った。


 午後最初の授業である英語の授業が始まる直前、俺はなんとか教室に滑り込んだ。


 郭彩衣は相変わらず学校に戻ってきていなかった。


 俺が教室に入ると、周囲の生徒たちが一斉にこちらを見てきた。そして休み時間になると、俺は大勢の生徒たちに囲まれて質問攻めにされた。


「彩衣って、日明が探していた女の子だったのか?」


 松樹が尋ねてきた。


「ああ。もう問題は解決したよ。みんな協力してくれてありがとう!」


「俺たち、別に何も役に立ってないけどな!」


 阿賢が言った。


「彩衣さんはあまり学校に来ないので、クラス委員長としてお願いしたいことがあります。日日明君、彼女に授業のプリントを届けてもらえませんか?」


 そう言ったのは、クラス委員長を務めている女子生徒の邱芳華だった。


 そのとき、また頭の中に選択肢が表示された!


【選択肢1】クラス委員長の頼みを引き受ける!

【選択肢2】クラス委員長の頼みを断る!


 そして、また燃えるタイムゲージが現れた。


 数秒待っていると、なんと元の選択肢が消えてしまった!


【緊急】クラス委員長に「好きです」と告白する!


 何なんだよ、これは! 誰が選ぶかよ!


 選択肢を選ばなければ何も起こらないと思っていたのに、燃えるタイムゲージが時間切れになると、システムは勝手に緊急選択肢を選んでしまった!


「委員長! 好きです!」


 俺の体が勝手に動き出した。机に手をついて立ち上がり、人生で初めて女子に告白してしまったのだ!


「えっ? ええええっ!……日日明君! 何を言っているんですか? 今はそんなことをしている場合じゃないでしょう? あなたはいい人だと思いますけど、あなたの気持ちにはお応えできません!」


 委員長は恥ずかしそうに顔を赤くして俺の告白を断ると、そのまま走り去ってしまった。彩衣に渡すはずだったプリントは、俺の机の上に置き去りにされた。


「おい、日明! 何やってるんだよ! クラス全員の前で委員長に告白するなんて! そういうことは普通、二人きりのときにするもんだろ?」


 松樹が言った。


 俺が一番、何が起こったのかわからないんだよ!


 穴があったら入りたい。いっそそのまま死んでしまいたいくらいだ!


 俺はポケットにいる小暁月に目を向けたが、彼女はすでに小さな神像の姿に戻っていた。


「日明、お前が委員長みたいなタイプが好きだったとはな! 大人しくていい感じだもんな。もしかして眼鏡をかけているからか? 眼鏡っ娘萌えなのか?」


 阿賢まで追い打ちをかけてきた。


「違う! さっきの俺はちょっとおかしかったんだ! 今のことはなかったことにしてくれ! ちょっとトイレに行ってくる!」


 俺はすぐに教室を飛び出した。


 頭の中ではSL大法を使うことも考えたが、問題は今日の行動をもう一度最初からやり直さなければならないことだ。これが何か悪影響を及ぼさなければいいんだけどな!


「……SAVE!」


 セーブすることを思い出し、俺は急いでデータを保存した。


 すぐに教室へ戻る気にはなれなかった。今戻ったら、絶対に気まずいに決まっている!


 だから、チャイムが鳴る直前になってようやく教室に戻った。


 周囲のクラスメイトたちはみんな俺のほうを見ていた。きっと俺のことを噂しているんだろう。それに、近くに座っている委員長が、ときどきこちらをちらちら見ていることにも気づいた。


 この授業も英語だったが、俺の頭には授業の内容なんてまったく入ってこなかった!


 ずっと、ロードしてやり直すべきかどうかを考えていた。


 休み時間になると、スマホに彩衣からLINEが届いた。


 周囲のクラスメイトたちは、まるで俺を避けるかのように話しかけてこなかった。


 これがATフィールドってやつなのか?


『委員長に告白したって聞いたわよ? でも玉砕したんだってね。あはは! あなたって委員長が好きだったの? 失恋したなら、私が慰めてあげようか?』


『この件には深い事情があるんだけど、うまく説明できないんだ。俺は委員長のことが好きなわけじゃない。それより、委員長から君に英語のプリントを届けてほしいって頼まれたんだけど、どこで受け取るのが都合いい?』


『そうなの? 好きでもないのに、どうして告白したのよ? 面白半分だったの? 最低! まさか日日明君って、女心を弄ぶようなプレイボーイだったなんてね!』


 そのとき、また頭の中に選択肢が表示された!


【選択肢1】LINEで彩衣に告白する!

【選択肢2】プリントを届ける話を続ける。


 そして、あの忌々しい燃えるタイムゲージが再び現れた!


 またひどい選択肢が出てくるかもしれないと思い、俺はすぐに2を選んだ。


『彩衣、君にプリントを届けなきゃいけないんだ。どこで受け取るのが都合いい?』


『話をそらさないでよ! ちゃんと説明しなさい!』


 彩衣の好感度が下がったという通知音が鳴った!


 これには少し腹が立った。


『説明できるなら、とっくに説明してるよ! それで、プリントはいるのかよ!』


『わかったわよ! プリントを届けてくれるなら、病院に来て。今日は病院に泊まって、お母さんのそばにいるつもりなの。医者から、こんな珍しい奇跡的な症例は、もう少し様子を見る必要があるって言われたから』


『わかった。じゃあ、病院に届けに行くよ』


『改めて、お母さんを助けてくれてありがとう。それから、さっきは態度が悪くてごめんなさい。わざとじゃないの。ただ、あなたが委員長に告白したことに、ちょっと腹が立っただけよ。本当にちょっとだけだからね!』


 そのあと、彼女はペンギンのスタンプを送ってきた。どうやら「バイバイ、またね」という意味らしい。


 会話が終わったことを確認したところで、授業開始のチャイムが鳴った。俺はスマホをしまい、授業に集中することにした。


 放課後、俺はバスに乗って栄民総医院へ向かい、あの病室を訪れた。


「失礼します。彩衣さん、プリントを持ってきました」


 開いていた病室のドアをノックしてから、中に入った。


「あら! 日日明君、来てくれたのね! 彩衣なら夕食を取りに行ったところよ。あなたがプリントを持ってきてくれることは聞いているから、そこに置いておいてくれればいいわ」


「わかりました」


「でも、ちょっと遅いわね? 途中で彩衣に会わなかった?」


「おばさん、俺が探してきますよ!」


「それじゃあ、お願いね」


 そのあと、俺は病室を出てナースステーションへ向かい、XX号室の患者の娘が食事を取りに来たかどうか尋ねた。


 すると、まだ誰も取りに来ていないという答えが返ってきた。


「郭彩衣さんはまだ食事を取りに来ていませんよ。今から私が病室まで届けようと思っていたところです」


 看護師は、彩衣が食事を取りに来ていないと教えてくれた。


 彼女はいったいどこへ行ったんだ?


 そのとき、俺は重要なことを思い出した。


 遊魂に取り憑かれた人間は、異常な能力に目覚めるんだ!


 俺はすぐにスマホを取り出し、彩衣にLINE通話をかけた。


 電話はつながったが、声が聞こえない?


「彩衣、どこにいるんだ? お母さんが君を探しているぞ!」


 しかし、電話の向こうからは何の声も聞こえてこなかった。


「これはまずいわね。おそらく、かなり厄介な異能力よ!」


 小暁月が言った。


 そのとき、再び頭の中に選択肢が表示された!


【選択肢1】存在感を失った郭彩衣を病室に戻って探す。郭彩衣攻略ルートに正式突入。

【選択肢2】郭彩衣の攻略を諦める。


 そして、燃えるタイムゲージが現れた。時間切れになると、自動的に2が選択されるという表示まで出ていた。


 俺はすぐさま緊急で1を選び、彩衣の母親がいる病室へと戻った。


「郭彩衣! そこにいるなら返事をしてくれ! 君がここにいることはわかっているんだ!」


「日日明君、ここにいるのは私と看護師さんだけよ!」


 看護師が彩衣の母親に食事を届けていた。


「違う! 彼女はここにいるんだ! 絶対にいる!」


 俺は病室の中を歩き回り、本当はそこにいるはずの彩衣を探し始めた。


「日明君、いったいどうしたの? 彩衣はここにはいないわよ!」


「あなた、いったい誰を探しているんですか?」


 看護師たちの言葉には耳を貸さなかった。


 なぜなら、聞こえたからだ。


 とてもかすかだったが、確かに女の子の泣き声が聞こえた。


 俺はその声を頼りに窓際へ向かった。そこには付き添い用の椅子が置かれていた。


 夕日の光が差し込む中、一瞬だけ彩衣の姿が見えた。


 俺は彼女がいると思った場所に手を伸ばし、その頭にそっと手を置いた。


「見つけたぞ、郭彩衣!」


「ううっ……日日明君! ううっ……私にも何が起きたのかわからないの! 突然、誰も私の姿が見えなくなっちゃった! 本当に怖かったんだから!」


「彩衣、病室にいたのか? どうして何も言わなかったんだ?」


「お母さん、私ずっと話しかけていたのよ! でも、お母さんには私が見えないし、声も聞こえなかったじゃない!」


「そうだったの? ごめんね、気づいてあげられなくて。彩衣、もう泣かないで。お母さんがうっかりしていたわね」


「お母さん!」


 そのあと、看護師は病室を出ていき、俺も一緒に病室を後にした。


「小暁月、状況はどれくらい深刻なんだ?」


 廊下を歩きながら、俺は小暁月に尋ねた。


「あれはおそらく【存在感消失】の異能力ね。このまま放っておけば、あの子はこの世界から消えてしまうわ」


「どうすれば彼女を救えるんだ?」


「恋愛で彼女の心の隙間を埋めるのよ! 日日明!」


「わかった! それしかないんだな。そして、すべてが終わったあと、彼女は俺のことを忘れてしまうんだろう」


 そのあと、俺は病院を出た。


 帰り道、どうすれば彩衣に自分を好きになってもらい、告白を成功させられるのか、ずっと考え続けていた。

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