↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪物のコメントが見える底辺カメラマン、ダンジョン配信で成り上がる  作者: 七瀬ナギ
第四章 七層の評議

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
37/38

第37話『俺のカメラは、嘘を撮るためにあるんじゃない』

評議は一時中断された。外部配信を止め、小型機を封印しただけでは、疑いは消えない。人間側は「怪物の内部に協力者がいる」と主張し、怪物側は「ギルドが会場の映像を盗んだ」と言い返す。


議長は俺に尋ねた。


「お前の記録には、何が残っている」


「会場の様子。投影石の点滅。点滅の直後に起きた動き。外部配信が始まった時刻。そして、配信機が会場の外にあったことです」


「それで、どちらが犯人か分かるのか」


「分かりません。分からないことを、分かるように編集するつもりもありません」


俺は映像を再生した。全景の中で、投影石が光る。獣人が立ち上がる。石鬼が机を叩く。護衛の手が剣へ向かう。誰かが最初から仕組んだ動きなのか、光に反応しただけなのか。それだけでは断定できない。


「そこまで映っているなら、誰が最初に動いたか言えるだろう」


獣人の議員が迫った。怒りは当然だ。自分たちの一挙手一投足が、外では敵意として売られている。


「順番は言えます。でも、理由までは映像だけで決められません。光に反応したのか、別の合図を見たのか、本人が説明しない限り断定できない。ここで一人を犯人にしたら、次はその人間を映した俺の責任になります」


俺はあえて、誰の顔も拡大しなかった。


次に、床の反射を拡大した。投影石が光る直前、天井の隙間から細い赤い線が伸びている。小型機のレンズに映った反射と同じ方向だった。俺が見つけたのは犯人ではない。外部から光が入り、会場の動きと配信が連動していたという順序だ。


「この記録が証明するのは、会場の映像が外部から操作された可能性があることです。過去の襲撃映像が本物かどうかまでは、まだ証明できません」


古賀は悔しそうに唇を結んだ。


「それでは、人間側の疑いは晴れない」


「逆です。人間が先に襲ったと断定する根拠も、怪物が先に襲ったと断定する根拠も、今は足りない。だからこそ、どちらか一方を裁く決議を止める理由になります」


議長は長い沈黙のあと、杖を床に置いた。


「映像を提出しろ。無加工の記録と、説明用の編集版を分けてな」


「この評議は、永久停止の決議を保留にするだけです。外部配信を仕掛けた者も、過去の襲撃を記録した者も、まだ分かっていない」


「それでいい。分からぬことまで決めれば、次の評議は裁きではなく報復になる」


俺はうなずいた。


「公開する版は、両者の確認を取ってからです。今日の全記録を、そのまま世間に流すことはしません」


赤文字が一行だけ出た。


《その光は、会場の外から来た》


続けて、文字が増える。


《だが、外にいるのが人間とは限らない》

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。