↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
怪物のコメントが見える底辺カメラマン、ダンジョン配信で成り上がる  作者: 七瀬ナギ
第二章 神画角に値段がつく

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
15/39

第15話『安全な場所を撮るだけなら、依頼を受ける意味がない』

アーマード・ファングの撮影場所は、四層のアイアンゴーレムの間だった。


俺は現場に入る前に、ガイ、リサ、盾役のバルドと、撤退経路と撮影位置を確認した。リサは三つの退避地点を示し、バルドはゴーレムが振り向いた場合に通れる通路を確認した。誰も、俺に「大丈夫だ」とは言わない。何が起きたら中止するかだけが決まっていく。


「撮影位置は入口の後ろにしてください」リサが言った。「そこなら、何かあってもすぐに引けます」


俺はその場所からゴーレムを見た。全体は映る。だが、肩と膝の動きは柱の陰に隠れ、攻撃前のわずかな変化が見えない。


「ここでは、あんたたちが何をしているか分からない映像になります」


「安全は確保できます」


「安全なだけの映像に十万円を払う必要はありません」


リサの目が細くなった。


「あなたは、私たちに危険を冒せと言っているんですか」


「いいえ。俺が欲しい画のために、あんたたちへ戦い方を変えろとは言いません。だから、この位置で撮るなら、今回は受けない。前金も不要です」


俺はカメラをケースに戻しかけた。


ガイが手を上げた。


「待て。ゴーレムが動く前の兆候まで見せたいと言ったな。なら、俺たちもそれを見極めたい。こっちが納得できる位置を一緒に探そう」


俺たちは入口から少しずつ位置を変えた。柱の陰、斜めの岩棚、床の割れ目。最終的に、ゴーレムの左膝とガイの横顔が同じ画面に入る場所を見つけた。攻撃範囲には近いが、撤退経路は遮られない。


「危険が増したら中止します」俺は確認した。「撮影が続けられるかを判断するのは俺。戦闘を続けるかを判断するのはガイ。リサが撤退を宣言したら、配信は切る」


「それでいい」ガイが答えた。


リサはまだ不安そうだったが、撮影位置からゴーレムを見て、やがて頷いた。


「危険を隠す映像にはしないでください。安全に見えるよう編集されるのも困ります」


「危険を誇張もしない。見えたものを、見えた順番で残します」


その言葉を聞いて、リサはようやく契約書に署名した。


戦いが始まる前から、仕事は始まっていた。彼らの判断を変えず、必要なものを画面に残す。その線を越えたら、撮影者ではなく、ただの邪魔者になる。


俺はカメラを構え、ゴーレムの左膝を見た。


膝は、まだ動いていない。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。