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氷の上司に、好きがバレたら終わりや ~悠真編  作者: naomikoryo


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⑥チョコと嫉妬と、答え合わせ

▶1. バレンタイン前日、ざわつく教室


2月13日。昼休み。

教室内は、例の話題でいっぱいだった。


「誰にあげるの?」

「義理でいいんじゃない?」

「えー、悠真くんって絶対モテるよね」

「貴公子すぎて近づけない~」


本人――本庄悠真(17)はというと、

読書を装いつつ、その話題が耳に入ってきているのを無視し続けていた。


(はぁ……また今年もこの季節か)


(バレンタインって、なんか“観察される日”みたいなもんや)


(……べつに、チョコが欲しいとか、思ってへんし)


そんな悠真の目線の先――

いつもの席に座る谷川ひよりが、ノートを開いたまま沈黙していた。


(……あいつ、どうすんねやろ)


(いや、別に期待してへん。してへんけど……)


(……ちょっと、だけは)


 


▶2. 舞子の鋭い一言


帰宅後、玄関で出迎えたのは母・舞子。


「はいはいはい。バレンタインやねぇ。明日やねぇ」


「……騒がんでええ。うちは関係ない」


「関係ない言うやつが一番気にしてるん知ってるから」


「……なんなんその母の観察眼」


「で、ひよりちゃんは?」


「知らん。渡すとか言うてへんし」


「でも待ってる顔してるで、あんた」


「……はぁー、してへんわ」


(けど、“もし渡されへんかったら”って思う時点で……それって)


 


▶3. 2月14日、予想外の展開


バレンタイン当日。


朝から悠真の机には、すでに“チョコ”が5つ置かれていた。

クラスの女子たちはさりげない風を装いながら、様子を窺っている。


(あー、めんど。はよ昼になってくれ)


(……ひよりは?)


席につくひよりの手には、なにもなかった。


(……やっぱ、こういうの、こいつは渡さんタイプなんか)


(……期待したうちがバカやったな)


昼休み。

悠真が席を立ちかけたそのとき――


「……あのっ」


振り向くと、そこには――

恥ずかしそうに、でも真っ直ぐに立つひよりがいた。


「これ……よかったら、受け取ってもらえる?」


手には、丁寧にラッピングされた箱。


「……」


(うそやん……ガチの“手渡し”やん……)


周囲がざわつく。

視線、視線、視線。


「これ……義理、やろ?」


「ちがうよ」


悠真:「っ……」


(あかん……それ言われたら、もう逃げられへん)


「……ありがとな」


「うん。よかった」


 


▶4. 放課後、答え合わせの時間


放課後。昇降口。

靴を履き替えていた悠真に、ひよりが声をかける。


「今日……ありがとう」


「いや、こっちこそ。……渡してくれて、嬉しかった」


「義理じゃないって、伝わった?」


「……伝わった。むしろ、伝えられて……びびった」


ひより:「……ふふ、私も。めっちゃ緊張した」


「なぁ」


「うん?」


「“義理じゃない”ってことは、つまり……お前の気持ち、ってことやんな」


「……うん」


「じゃあ――返事を渡してええか?」


「……え?」


悠真は小さな紙袋を差し出した。


「さっき、こっそり買いに行った。間に合わせのやけど……“お返し”って意味やない」


「……!」


「おれも、お前が好きや。……そんなん、もう前から決まってたわ」


「……悠真くん、それずるいよ」


「なんでや」


「だって、そんなの聞いたら、来月のホワイトデーが待ちきれない」


悠真:「……今、すでにお返し渡してもうたのに?」


ひより:「それは“本命チョコの答え”でしょ? “ホワイトデー”は別件だよ」


悠真:「……ほんま、お前ってたまにズル賢い」


ひより:「……でも、それ、全部悠真くんに教わったんだよ?」

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