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氷の上司に、好きがバレたら終わりや ~悠真編  作者: naomikoryo


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7/8

⑦悠真、手作りの逆襲!?

▶1. 3月14日、ホワイトデーのざわめき


教室は朝からにぎやかだった。


「やばっ、ホワイトデー!返し忘れてた!」

「義理チョコでも返さないとね~、女子こわいし」

「……え、ひよりちゃんにも誰か渡すんかな……?」


その声が聞こえた瞬間、悠真は少しだけペンを止めた。


(ひより……)


本庄悠真(17)は、読んでいた教科書に視線を戻すふりをしながら、斜め前の席をチラリと見た。

そこには、いつもと変わらない表情で座る谷川ひよりの姿。


けれど、その周囲には――男子数人。


「谷川さん、これ、チョコのお返し」

「オレも!ほんとありがとうな~」

「え、俺も手紙つければよかった!」


悠真:(……なんやねんこれ)


(なんでこんな群がられてんねん……)


(渡すなら、いましかないやろ)


 


▶2. 舞子との“特訓”と、決意


昨夜。悠真は台所で、エプロン姿だった。


「もう、ほら卵潰しすぎ~~!入れるのは半分って言ったやん!」


「……だって、初めてやし。こんなん普通男子やらんやろ」


「はい、言い訳しなーい。好きな子のためなんやろ?」


「……べ、別に、そういうんちゃうし」


「はいはい、“そういうんちゃう”って言ってるときはだいたいそうやねんで~?」


(……けど、おれの中では決まってた)


(バレンタインに“本命”もらって、手ぶらで返すとかありえへん)


(だからこそ――ちゃんと作った。おれの手で)


 


▶3. 堂々の登場、宣戦布告のマフィン


教室。昼休み。

まだ男子がひよりの席に群がっていた。


「谷川さん、これもらって」

「手作りじゃないけど、気持ちは本物でーす」


悠真はその人だかりを、無言で通り抜け――

まるで“センターへ立つように”彼女の前へ立った。


「ひより」


ひより:「……悠真くん?」


一瞬で教室中が静まり返る。


悠真は小さなラッピング袋を取り出し、

そのまま彼女の机の上に置いた。


「これ。ホワイトデーの。

昨日、おれが作ったやつや。……マフィン、嫌いやなかったら」


ひより:「……えっ、手作り……?」


悠真:「母さんにレシピ教わった。めちゃくちゃ大変やったけどな」


(それに、お前が本気でくれたからこそ、おれも本気で返したかった)


ひより:「……ありがとう。すごく、うれしい」


 


▶4. ザワつく教室と、確かな“納得”


周囲の女子:「ちょっ……今のって……え、本命返しじゃない?」

男子たち:「ガチかよ……」「マフィン手作りとかレベチやろ」

誰か:「いやでも、あの2人……並ぶと最強やな……」


「貴公子と清楚系女神カップル爆誕」

「え、もうそれでドラマ作れるレベルじゃね?」

「納得しかないわ……」


静まった教室に、ふたりのやりとりだけが残っていた。


ひより:「悠真くんって、こういう時、意外と大胆なんだね」


悠真:「……お前が、他の奴らに囲まれてんの、我慢ならんかっただけや」


「てか、マフィン焦げとったら、黙って処分しといて」


ひより:「ううん、食べる。絶対、残したりしない」


悠真:「……おれの気持ち、受け取ってくれてありがとな」


ひより:「うん。これで、お互い“本命”の証、かな」

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