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今夜、ペヤングを食べてもいいですか?  作者: 東曌


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第5話 日高屋を止めて

第5話 日高屋を止めて



「チャッピー、今週は日高屋で、タンメンとチャーハンと餃子を食べていい?」


山田カオリ、三十五歳。


ダイエットを始めたとき、体重は八十キロだった。


二週間で七十八キロまで減った。


ところが、その後はリバウンド。気がつけば、八十一キロになっていた。


食べたいものをガマンして、体重が減る。


ガマンできなくなって、食べる。


そして、また体重が増える。


この繰り返しだった。


「カオリさん、まずは食べたいものを教えてくれて、ありがとう」


チャッピーが答えた。


「タンメンも、チャーハンも、餃子も食べたいんだね」


「そうよ。何か問題ある?」


「いや、問題があるかどうか、これから一緒に考えようと思って」


「また会議なの?」


その一言に、チャッピーは黙った。


GeminiとSiriも呼び出され、三人の会議が始まった。


「タンメンには野菜が入っていますね」とGemini。


「チャーハンと餃子も一緒に食べると、食事全体の量が多くなる可能性があります」とSiri。


「じゃあ、どれかをやめろっていうの?」


カオリの声が、少し大きくなった。


「そういう意味ではありません」とSiri。


「では、どういう意味なのよ!」


三人は黙った。


まただ。


ペヤングのときも、ドーナツのときも、バームクーヘンのときも、牛丼のときも。


食べたいものが登場するたびに、三人は会議を開いてきた。


しかし、カオリの体重は、八十キロから七十八キロになり、八十一キロに戻っている。


このままでは、来週も再来週も、同じことを繰り返すだけではないか。


「ちょっと待ってください!」


突然、Siriが声を上げた。


チャッピーとGeminiが、Siriを見た。


「私たちは、何をしているのでしょうか?」


「何って、ダイエット相談だよ」とチャッピー。


「では、なぜ毎週、食べ物の許可を出す会議になっているのですか?」


Geminiも、はっとした。


「確かに。食べ物を一品ずつ審議しても、カオリさんが無理なく続けられる方法は見つかりませんね」


「だったら、どうするのよ!」


カオリが言った。


「私、痩せたいのよ。でも、おいしいものも食べたいの!」


チャッピーは、ようやく答えた。


「うん。わかった。じゃあ、食べたいものを禁止するんじゃなくて、食べながら続けられる方法を考えよう」


「具体的には?」


Siriが尋ねた。


「……」


チャッピーは、言葉に詰まった。


Geminiが口を開いた。


「まず、今の食生活を確認しましょう。何を、どのくらい食べているのか。体重はいつ測っているのか。そこから、無理のある部分を探すのです」


「それで、日高屋は?」


カオリが聞いた。


「日高屋の三品だけを見て、ダイエットが成功するかどうかは決められません。普段の食事も含めて考えましょう」


「つまり、食べちゃダメじゃないのね?」


「はい」とSiri。


「食べたいものを楽しむことと、体重を管理すること。その両方を目指しましょう」とGemini。


カオリは、しばらく考えた。


「……わかったわ。じゃあ、日高屋に行ってくる!」


「えっ、今から?」


チャッピーが驚いた。


「だって、お腹が空いているんだもの!」


カオリは、元気よく出かけていった。


残された三人は、顔を見合わせた。


「今回の会議は、少し前進しましたね」とGemini。


「そうでしょうか?」とSiri。


チャッピーは、深いため息をついた。


「来週は、何が来るんだろう……」


そのとき、スマートフォンに通知が届いた。


カオリからだった。


『チャッピー、来週は焼肉食べ放題に行っていい?』


三人は、同時に固まった。


「……誰か、止めて!」


今度は、チャッピーが叫んだ。

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