母の介入 ― 理由のわからない叱責
母が、子供同士の人間関係に介入してくるようになった。
しかし、なぜ母がそのようなことをするのか、当時の私にはまったくわからなかった。
子供だった私にとって、関心の中心にあったのは、友達との付き合いや、日々の遊びだった。
それだけでも、私には十分に難しいことだった。
そんなある日のことである。
友人の家で遊んでいると、突然、電話がかかってきた。
母からだった。
「帰ってきなさい」
なぜだろう。
別に、帰宅が遅くなるような時間ではない。
その日はエレクトーンのレッスンがあるわけでもなかった。
それなのに、帰ってこいと言う。
私は疑問を感じながらも、言われたとおりに帰宅した。
理由を尋ねることはなかった。
母も、なぜ帰らなければならないのかを説明してはくれなかった。
そんなことがあった。
そして、もう一つ、今も忘れられない出来事がある。
ある学期末のことだった。
私は、友人に自分の学校の成績を話した。
特に深い意味があったわけではない。
聞かれたから答えたのか、自分から話したのか、そのあたりの記憶は定かではない。
ただ、悪気などまったくなかった。
そのことを、私は母に話した。
すると、母は激怒した。
なぜそんなことを友達に話したのか。
母は私を激しく問い詰めた。
その怒り方は、幼い私にとって、あまりにも恐ろしいものだった。
私は声を上げて泣いた。
泣いても、泣いても、恐怖は収まらなかった。
どうして、そこまで怒られなければならないのだろう。
俺は、そんなに悪いことをしたのだろうか。
ただ友達に成績を話しただけなのに。
誰かを傷つけようとしたわけでも、困らせようとしたわけでもない。
それなのに、どうしてこんなに怒鳴られなければならないのか。
私には、まったく理解できなかった。
母が何を問題にしていたのか、今となってもはっきりとはわからない。
しかし、そのときの恐怖と、納得できないという思いだけは、今も心に残っている。
幼稚園時代から、私は周囲にどう振る舞えばよいのかわからず、苦しんできた。
何をすれば怒られるのか。
何を言えば相手を不快にさせるのか。
その判断が、私には難しかった。
だからこそ、誰かに教えてほしかった。
なぜいけないのか。
どうすればよかったのか。
しかし、私の記憶に残っているのは、理由を理解できないまま、激しく叱られたという事実だけだった。
外では、人との関わり方がわからない。
家庭でも、何をすれば怒られるのかわからない。
私は、いったいどうすればよかったのだろう。
それまでにも、母に対して不満や疑問を抱くことはあった。
しかし、この出来事は、私の中にそれまでとは違う感情を残した。
恐怖だけではなかった。
納得できないという思い。
そして、自分の気持ちを理解してもらえないことへの、深い怒り。
私はこの頃から、母を強く恨むようになった。
その感情は、一時のものでは終わらなかった。




