20/48
十九通目 ブナの美しき少女によりて(こゆき)
旅人よ
空を見よ
幹から枝葉をらせんにて
ぐぐっと広げる
ブナの大樹
青く涼しい眼して
凛とした雫にうつる
ブナの少女
父を呼べ
守護神の父を呼べ
獣となりて
大地の守護たる
少女の父
姿は優しくて
カモシカたる
父
母を呼べ
姿なき母を呼べ
この甘い気の
木たるゆえんを叫べ
ブナの木の
甘い気のゆえんを叫べ
少女の雫よ
凛とした姿にひそむ
甘い気
甘い気よ
恋をささやけ
ブナを見上げる
旅人よ
淡い恋を
少女への恋を
気の母へ
守護神の父へ
旅の終わりを
告げよう
青い空に
綴ろう
少女へ
青いバラを手紙で折りて
告げよう
愛を




