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十一通目 万病に効く薬(ゆきは)
全てを手にするならりんごを買え
怪しげな占い師にそう言われた
それはとんだ余計なお世話
けれどその術は聞きましょう
あれは小銭を使う便利な男
私のものになど面倒なだけ
毎日の食事を共にするだけで
あの男は快楽も落としてくれる
男は夜には自分の寝床へと
余計な手間がなくていい
街のりんご売りから昨日は二つ
今日は三つのりんごを買った
いよいよ出来たこの薬
占い師の言った愉悦の薬
婦人の病に良く効くと
妻に飲ませるように薬を渡す
ご機嫌取りにちょうどいい
男は喜び持ち帰った
思えば売り子の女も疲れていた
出来た薬を分けてあげよう
一口残さず飲むといい
目に映る全てが青ざめる
自身の病も夫の病も
りんごを買った私のことも
全て忘れられる魔法の薬
私からの無言の便り




