第一の試練“強欲の扉” 3
久しぶりの投稿です。お待たせしてすみません。ちょっと短いですがどうぞ。
沈黙の中で身動きが取れない二人。
何故と云う疑問がソルの頭を占める。
困惑の最中に曝されるソル。いまだバルバはソルの動向を注視しているまま。
言えない…まさか力が使えないなんて…
ソルは鉄仮面のごとき無表情に冷や汗を吹き出し動揺する。そんな様子を訝しげたバルバが漸くソルの異変に気がついた。
「どうした?なんか有ったのか!?」
近づきバルバに余計焦るソル。言い訳したいが緊張で口が渇いてうまく言葉が出ない。
焦るソルと心配するバルバの間に謎の声が木霊した。ソルにとっては救いの神に等しい状況変化だ。
《ははっははっはっはっは!!!!》
突如響き渡った声は先ほどまで聞いてきた声とは異なりどこか無邪気で快活とした童子のような声だ。
その声は爆笑とも取れるほどの笑い声で空間に響かせる。
≪無理だよ。君の力はこの場所では使えない。試練にならないから一時的に封印させてもらったよ≫
笑い声の後に至極冷静な響きで告げる声。ソルは呆然とバルバは訳が分からないと困惑顔で互いを見合う。
≪ボクはレグリアス。“強欲”を司るものだよ。君たちは今までの子たちとちょっと違うからここから試練を変更しよう≫
「今までの子と違う?どういうことだ?」
バルバは告げられた言葉の中に疑問を覚え思わず問い返す。レグリアスは喜々としてその質問に答えた。
≪ハハ、君たちが資格なしの到達可能者だからだよ。この試練場は罪を昇華させ使徒にするために生み出したいわゆる懺悔場。だけど君たちここに来るには罪が無さ過ぎる。本来は罪人とも呼べる罪を重ねたものが召喚されるんだけどね。だから君たちに扉が開かれることは無いはずなんだ。つまり例外。手違いとはちょっと違うんだけど扉は開かれてしまった≫
「資格なしは何となくわかったが到達可能者とは?」
バルバに続きソルも質問する。すると目の前に靄がかかりそれが晴れると見上げるほど巨大な狐が現れた。複数の尾が部屋いっぱいに広がり本体よりも圧迫感を感じさせる尾には仄かに蒼白い光沢を放っている。放つ声が狐の口から響く様からどうやら彼がレグリアスであるようだ。
≪試練を乗り越えれる可能性を秘めたものたちを総称してボクたちはそう呼ぶのさ。で、一番の例外は君だ≫
レグリアスは尾の一本をソルに向けて告げる。ソルは狼狽し後ずさる。
≪君が居たからこそ本来開くはずの無い扉が開いた。…君はどうやら始祖に近い神から加護を受けてるね。どんな神かはさすがに神威のせいで分からないけど…それが認知している、していないにしろこの場所に来たからには最後の試練を受けるまで外には出られない。まぁそんな理由だから、本来の試練とは異なったものを受けてもらうよ≫
レグリアスはそう言って二人の眼前に息を吹きつける。思いがけない風に咄嗟に瞼を閉じ再び開いた時視界にはすでにレグリアスの姿はなく、元の場でもない真っ白な空間が広がっていた。
何も無いただただ広い白い空間。上下左右の感覚が狂ってしまいそうになる。
「…ここは…?」
「また訳わかんねぇ場所に来ちまった」
ソルとバルバは二人して疲弊感を隠さない顔で周りを見渡す。先ほどから急展開すぎて思考が追いつかない。戸惑うなと云う方が無理だろう。
そして再びレグリアスの声が響く。邪気のない童子のような幼い声で。
≪ボクからの試練は一つ。ボクの“問い”に応えること≫




