ほくそ笑む大悪党 アルバロ・デ・モリーナ
16世紀初頭、新大陸サントドミンゴに若き次男アルバロ・デ・モリーナが到着する。陽気な笑顔の裏に「勝った側だけが正義だ」と信じる冷徹さと、兄の妻イサベルへの秘めた想いを抱えた男である。兄フアンのインヘニオとインディオ村、黒人奴隷たちを託されたアルバロは、暴力ではなく数字と制度を組み替えることで労働と飢えを「料理」していく。死者の数を減らしながら利益を増やし、修道士ラス・カサスにさえ一目置かれる一方、イサベルとの距離は少しずつ危うく縮まっていく。
やがてメキシコでの黄金の噂が届き、アルバロは家族と黒人夫婦ルシアとトマス、弟たちを引き連れてユカタンへ向かう。ポトンチャン上陸戦やタバスコ川での戦いを切り抜ける中で、マヤ語とナワトル語を操る若い妻チャックニクを迎え、彼女を通訳兼参謀として側に置く。スペイン人・黒人兵・先住民が入り交じる奇妙な隊商は、やがて湖上の大都市テノチティトランに招かれ、皇帝モクテスマ二世の「客将」として黒色火薬と大砲を差し出すことになる。
しかしアステカ帝国の西南では、銅の槍を振るうタラスコ王国が国境砦オストゥマを圧迫していた。モクテスマの密命を受けたアルバロは、黒人兵とアステカ兵、数十頭の馬、20門の大砲を率い、バルサス川をさかのぼる苛酷な行軍に挑む。渓谷に砲をつり下ろし、カヌーで川を遡航し、飢えと疲労にあえぎながらも、ついに砦の眼前でタラスコ軍を石弾の雷雨で粉砕し、将軍たちとその妻を人質として手中に収める。
湖の都で得た黄金と西南の戦場で得た人質と牧場地。アルバロはそれらを巧みに組み合わせ、モクテスマとスペイン王権のあいだに自らの立場を穿ち込んでいく。インディオの死者を減らす施策も、兄嫁と現地妻への歪んだ愛情も、すべては「石の王冠」を頭に載せるための計算に過ぎない。新大陸の血と金と信仰を材料に、世界をほくそ笑みながら料理しようとする大悪党の第一幕である。
やがてメキシコでの黄金の噂が届き、アルバロは家族と黒人夫婦ルシアとトマス、弟たちを引き連れてユカタンへ向かう。ポトンチャン上陸戦やタバスコ川での戦いを切り抜ける中で、マヤ語とナワトル語を操る若い妻チャックニクを迎え、彼女を通訳兼参謀として側に置く。スペイン人・黒人兵・先住民が入り交じる奇妙な隊商は、やがて湖上の大都市テノチティトランに招かれ、皇帝モクテスマ二世の「客将」として黒色火薬と大砲を差し出すことになる。
しかしアステカ帝国の西南では、銅の槍を振るうタラスコ王国が国境砦オストゥマを圧迫していた。モクテスマの密命を受けたアルバロは、黒人兵とアステカ兵、数十頭の馬、20門の大砲を率い、バルサス川をさかのぼる苛酷な行軍に挑む。渓谷に砲をつり下ろし、カヌーで川を遡航し、飢えと疲労にあえぎながらも、ついに砦の眼前でタラスコ軍を石弾の雷雨で粉砕し、将軍たちとその妻を人質として手中に収める。
湖の都で得た黄金と西南の戦場で得た人質と牧場地。アルバロはそれらを巧みに組み合わせ、モクテスマとスペイン王権のあいだに自らの立場を穿ち込んでいく。インディオの死者を減らす施策も、兄嫁と現地妻への歪んだ愛情も、すべては「石の王冠」を頭に載せるための計算に過ぎない。新大陸の血と金と信仰を材料に、世界をほくそ笑みながら料理しようとする大悪党の第一幕である。
第1章――「サントドミンゴ篇 砂糖と疫病と未亡人」
第1話――「アルバロ サントドミンゴに上陸する」
2025/12/01 09:08
(改)
第2話――「兄の屋敷でキューバ利権を託されるアルバロ」
2025/12/01 09:15
第3話――「水車で搾る砂糖と銀貨」
2025/12/02 09:00
第4話――「印のない樽と王室の印」
2025/12/02 09:00
第5話――「護民官の糾弾」
2025/12/03 10:00
第6話――「病を数える支配人」
2025/12/03 10:00
第7話――「病舎と寝室のあいだ」
2025/12/04 10:00
第8話――「メキシコを呼ぶ手紙」
2025/12/05 10:00
(改)
第9話――「折れた膝と燃える目」
2025/12/06 10:00
第10話――「兄の血と未亡人の船出」
2025/12/07 10:00
第2章――「メキシコ遠征篇 テノチティトランと黄金と神々」
第1話――「アルバロ ユカタン半島を目指して出航する」
2025/12/08 10:00
(改)
第2話――「ポトンチャン上陸作戦の軍議」
2025/12/09 10:00
(改)
第3話――「ポトンチャン川口の戦い」
2025/12/10 10:00
第4話――「カカオの香りと家族の団欒」
2025/12/11 10:00
第5話――「六弟ルイスと酋長の娘(前編)」
2025/12/12 10:00
第6話――「六弟ルイスと酋長の娘(後編)」
2025/12/13 10:00
第7話――「六弟ルイスと二番目の妻」
2025/12/14 10:00
第8話――「チャックニクの知恵とテワンテペク地峡」
2025/12/15 10:00
第9話――「ポテチカとロバの取引」
2025/12/16 10:00
第10話――「神の使いと名乗った男と女」
2025/12/17 10:00
第3章――「石の宮殿と皇后の賭け」
第1話――「短刀を捨てた夜」
2025/12/18 10:00
(改)
第2話――「テワンテペク地峡へ送る百人隊とチャックニクの行き先」
2025/12/19 10:00
第3話――「うさぎ山の太鼓」
2025/12/20 10:00
第4話――「雷と煙を従える者」
2025/12/21 10:00
第5話――「湖の工房、舟と弩」
2025/12/22 10:00
第6話――「石の弾丸と黒い火」
2025/12/23 10:00
第7話――「|羽毛ある蛇《ケツァルコアトル》の再来」
2025/12/24 10:00
第8話――「石の宮殿の客人」
2025/12/25 10:00
第9話――「血を禁じる客人と皇后の杯」
2025/12/26 10:00
第10話――「テオトラルコの密かな賭け」
2025/12/27 10:00
第4章――「アルバロ、石の王冠をかぶる」
第1話――「雷と石のための種」
2025/12/28 10:00
第2話――「西南の砦、銅の軍勢迫る」
2025/12/29 10:00
第3話――「湖の都から、石の爪へ」
2025/12/30 10:00
第4話――「バルサスの谷、石弾の雷鳴」
2025/12/31 10:00
第5話――「オストゥマ砦、石の首輪を締める」
2026/01/01 10:00
第6話――「谷越しの雷と銅の約定」
2026/01/02 10:00
第7話――「湖の都、雷と皇后のまなざし」
2026/01/03 10:00
第8話――「湖上包囲、雷と地下道」
2026/01/04 10:00
第9話――「石の首輪、皇帝の喉に」
2026/01/05 10:00
第10話――「石の王冠、沈む太陽」
2026/01/06 10:00
第5章――「湖の鎖、石の秤」
第1話――「石の王冠の朝(前編)」
2026/01/07 10:00
第2話――「石の王冠の朝(後編)」
2026/01/08 10:00
第3話――「黒い石の炉(前編)」
2026/01/09 10:00
第4話――「黒い石の炉(後編)」
2026/01/10 10:00