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『初級魔術しか使えない俺が、なぜか最強に近づいている』  作者: 北こたろう


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魔法書庫

高等部の図書棟は静かだった。


 昼休みの喧騒が嘘みたいに、人が少ない。


 俺は棚の間を歩きながら、小さく息を吐いた。


「……静かだ」


 やっぱりこっちの方が落ち着く。


 訓練場は最近、人が増えすぎた。


「いた」


 声。


 振り向く。


 リアだった。


「なんでいるの」


「それ、私の席」


 見ると、窓際の机に本が置いてあった。


「……すみません」


「別に」


 リアは向かいへ座る。


 広げているのは水属性の魔術理論書だった。


「リアってほんと座学好きだな」


「嫌いじゃない」


「俺、文字多いと眠くなる」


「頭悪そう」


「否定できない」


 リアが少しだけ口元を緩める。


 最近、少し表情が増えた気がする。


「ユウトは何読んでるの」


「基礎魔術式」


「まだ読むの」


「まだ知らないの多いし」


 リアが少し黙る。


「……普通、中級に行く」


「行けないんだよ」


「そうだった」


 ひどい確認をされた。


 でも悪気はなさそうだった。


 ページをめくる。


 初級火属性の魔力循環。


 知ってる内容。


 でも少しだけ気になる箇所があった。


「……ん?」


「何」


「ここ」


 本を見せる。


「複数属性同時展開時、魔力衝突に注意すること」


「普通」


「でも俺、あんまり衝突しない」


 リアが少しだけ眉を寄せる。


「普通はする」


「なんでだろ」


「……本当に変」


 その時だった。


 図書棟の奥から、何人かの声が聞こえた。


「今年もあるんだろ?」

「魔法書閲覧」

「楽しみだよな」


 その言葉に、少しだけ空気が変わる。


 リアが本から顔を上げた。


「……もうそんな時期か」


「魔法書閲覧って?」


「知らないの?」


「詳しくは」


 リアが少し考える。


「年に一回、魔法書庫が開く」


「へぇ」


「そこで中級魔術を得る人もいる」


 胸の奥が少しだけざわつく。


 中級。


 俺にはずっと届かなかったもの。


「でも適性がなかったら意味ない」


 リアが続ける。


「反応しない」


「……だろうな」


「落ち込んだ?」


「少し」


 正直に答える。


 リアは少しだけ黙った。


「でも」


「?」


「ユウトなら、なんか起きそう」


「なんだそれ」


「分からない」


 リアは本へ視線を戻す。


「でも普通じゃないから」


 その時。


「いたか」


 低い声。


 レオンだった。


「お前ら最近よく一緒にいるな」


「偶然」


「……そうか」


 レオンはそう言いながらも、

 少し疑ってる顔だった。


「何しに来たんだ」


「調べ物だ」


 レオンが棚から本を抜く。


 中級火属性理論。


 分厚い。


「うわ、絶対眠くなる」


「お前と一緒にするな」


 レオンは呆れたように言う。


 でも少しだけ。


 前より空気が柔らかかった。


「ユウト」


「ん?」


「魔法書閲覧、お前も来るんだろ」


「一応」


「……そうか」


 レオンはそれ以上言わなかった。


 でもその目だけが少し真剣だった。


 まるで、


 何かを確かめたいみたいに。

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