第二試練
「こっちが本番じゃ」
嫌な予感しかしなかった。
「第一試練で十分だっただろ」
ユウトが言う。
王は鼻を鳴らす。
「まだ何もしておらん」
「十分した」
「しておらん」
即答だった。
その時。
景色が変わる。
再び世界が揺れる。
光。
闇。
そして。
次の瞬間。
ユウトは立っていた。
「……ここは」
見覚えがある。
いや。
ありすぎる。
家だった。
自分の家。
小さい頃から暮らしていた家。
「なんで」
思わず呟く。
その時。
家の扉が開く。
「ユウトー!」
元気な声。
ユウトの身体が固まる。
知っている。
この声を。
何千回も聞いた。
そして。
飛び出してきたのは。
小さなユウトだった。
「……は?」
王の声が響く。
どこからともなく。
「第二試練」
静かな声。
「お前は自分自身と向き合え」
その瞬間。
さっきまでじいちゃんを見ていた小さなユウトが。
ゆっくりこちらを向いた。
そして。
固まった。
「え?」
小さなユウトが目を見開く。
「なんで……」
まるで鏡を見たような顔だった。
当然だ。
自分がいるのだから。
その時。
再び家の扉が開く。
「ユウトー!」
今度は。
聞き間違えるはずがなかった。
母親だった。
ユウトの呼吸が止まる。
小さなユウトが振り返る。
「はーい!」
元気よく返事をする。
そして。
何も疑わず家へ戻ろうとする。
だが。
途中で足を止めた。
もう一度。
今のユウトを見る。
「ねえ」
小さなユウトが聞く。
「未来の俺?」
ユウトは言葉を失う。
どう答えればいいか分からない。
だが。
小さなユウトは笑った。
「すげー!」
目を輝かせる。
「強くなった!?」
一瞬だけ。
ユウトの胸が痛んだ。
何の迷いもない目だった。
昔の自分。
ただ強くなりたかった頃の自分。
「……ああ」
ユウトは頷く。
「少しはな」
小さなユウトが嬉しそうに笑う。
「やっぱり!」
そして。
当たり前のように聞いた。
「じゃあさ」
一瞬だけ間。
「じいちゃんに勝てた?」
ユウトの表情が固まった。




