表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
『初級魔術しか使えない俺が、なぜか最強に近づいている』  作者: 北こたろう


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

PR
57/65

選択

その声は。


 今までより少しだけ重かった。


「問題はここからじゃ」


 ユウトは若い頃のじいちゃんを見る。


 加護を得た瞬間。


 確かに。


 ここまでは同じだ。


「何があったんだ」


 思わず聞く。


 だが。


 じいちゃんは答えない。


「見ておれ」


 その一言だけだった。


 景色が変わる。


 森が流れる。


 時間が進んでいる。


 若いじいちゃんは一人だった。


 剣を振る。


 魔力を流す。


 また剣を振る。


 何日も。


 何ヶ月も。


 何年も。


 景色だけが変わる。


 だが。


 鍛錬だけは変わらない。


「すげぇ……」


 ユウトが呟く。


 昔から強かったと思っていた。


 違う。


 積み重ねていた。


 想像以上に。


 その時だった。


 景色が止まる。


 一つの村。


 見覚えは無い。


 だが。


 空気がおかしい。


 煙。


 焦げた臭い。


 悲鳴。


「これは……」


 ユウトの顔が強張る。


 若いじいちゃんが走る。


 剣を抜く。


 そして。


 戦いが始まった。


 相手は魔物だった。


 数十体。


 いや。


 もっといる。


「っ!」


 ユウトが息を呑む。


 強い。


 若いじいちゃんは強かった。


 一体。


 また一体。


 次々と倒していく。


 だが。


 その時。


「!」


 遠くで悲鳴が上がる。


 若いじいちゃんの動きが止まった。


 振り返る。


 村の奥。


 子供がいた。


 魔物が迫っている。


 助ければ間に合う。


 だが。


 その瞬間。


 ユウトの胸がざわついた。


 分かった。


 何となく。


 分かってしまった。


 若いじいちゃんの身体が光る。


 フェンリルの加護。


 もっと先へ進める。


 ここで。


 先へ。


 だが。


 若いじいちゃんは迷わなかった。


 村へ走った。


 迷いなく。


 一瞬で。


 そして。


 子供を抱えて飛び退く。


 直後。


 魔物の爪が地面を抉った。


「間に合った……」


 ユウトが息を吐く。


 だが。


 隣のじいちゃんは笑わない。


 静かに前を見ていた。


「この時じゃ」


 小さな声。


「儂は選んだ」


 風が吹く。


 若いじいちゃんが子供を守る。


 村人を助ける。


 必死に戦う。


 その姿を見ながら。


 隣のじいちゃんが言う。


「後悔はしとらん」


 一瞬だけ間。


「今でもな」


 ユウトは黙って聞く。


「じゃが」


 じいちゃんが空を見る。


 どこか懐かしそうに。


「その日から道は分かれた」


 景色が再び揺れ始める。


 そして。


 今度は違う景色が映し出された。


 ユウトは目を見開く。


「え……」


 そこにいたのは。


 若い頃のリシアだった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ