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『初級魔術しか使えない俺が、なぜか最強に近づいている』  作者: 北こたろう


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共通点

祖父。


 母。


 フェンリル。


 エルフの里。


 今まで別々だったものが。


 少しずつ繋がり始めていた。


「待ってください」


 最初に声を出したのはユウトだった。


「祖父も」


「リアのお母さんも」


「加護に辿り着いたんですか」


「ああ」


 老人が頷く。


「正確には、加護に選ばれた」


 静かな声だった。


「だが二人とも完成には至らなかった」


 リアが俯く。


 母の話。


 聞きたい。


 でも。


 少し怖い。


 そんな顔だった。


「どうしてですか」


 その質問は。


 リア自身も気付かないうちに出ていた。


 老人はしばらく黙る。


 そして。


 ゆっくり答えた。


「理由は違う」


 一瞬だけ間。


「だが共通点はあった」


 長老が目を閉じる。


 老人の顔も真面目になる。


「共通点?」


 ユウトが聞く。


 老人は頷く。


「優しすぎた」


 風が吹く。


 誰も喋らない。


「加護は力じゃ」


「強大な力ほど所有者を試す」


 老人は続ける。


「何を優先するのか」


「何を捨てるのか」


「どこまで進むのか」


 その言葉に。


 ユウトは昨日の話を思い出していた。


 祖父は引き返した。


 仲間を優先した。


 老人が言っていた。


「リシアも同じじゃ」


 リアの肩が揺れる。


「母さんが……」


「あやつは昔から馬鹿じゃった」


 少しだけ懐かしそうな声。


「危険だと言われれば真っ先に飛び込む」


「困っている者がおれば放っておけん」


 長老が小さく息を吐く。


「否定できんな」


「じゃろう」


 老人が笑う。


 リアは黙って聞いていた。


 知らない母の話。


 だけど。


 どこか想像できる。


 自分を育ててくれた母だから。


「だから完成しなかった」


 老人が言う。


「二人とも途中で立ち止まった」


「選ばなかったんじゃ」


「何をですか」


 ユウトが聞く。


 老人は答えない。


 代わりに。


 長老を見る。


 長老もまた黙ったままだった。


 その沈黙が。


 逆に重かった。


 やがて。


 老人が小さく笑う。


「焦るな」


「その話をするためにお前達を呼んだんじゃない」


「違うんですか」


「違う」


 即答だった。


 そして。


 老人はゆっくり立ち上がる。


 背筋を伸ばす。


 さっきまでの気楽な老人とは少し違う。


 先代長老の顔だった。


「ユウト」


「はい」


「お前に聞きたいことがある」


 森が静まる。


 老人の目が真っ直ぐ向く。


「お前は加護を得てから」


 一瞬だけ間。


「夢を見るようにならなかったか」


 ユウトの表情が固まった。


 その反応だけで。


 老人と長老は答えを理解していた。

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