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『初級魔術しか使えない俺が、なぜか最強に近づいている』  作者: 北こたろう


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真実の先に

巨大な木の中は、

 想像していたものと違った。


 洞窟みたいな空間ではない。


 木の内部そのものが、

 一つの建物になっていた。


 柔らかな光。


 木の香り。


 不思議と落ち着く空気。


 でも。


 リアだけは少し緊張していた。


 長老は奥へ進む。


 やがて。


 一枚の大きな扉の前で止まった。


「入れ」


 扉が開く。


 中は円形の部屋だった。


 そして。


 そこには数人のエルフがいた。


 年老いた者。


 壮年の者。


 男女様々。


 ただ一つ共通しているのは、

 全員が長老と同じ空気を持っていることだった。


「長老会か」


 長老の一人が呟く。


「人間をここへ入れる日が来るとはな」


 視線が集まる。


 でも。


 不思議だった。


 こちらを見る目より。


 リアを見る目の方が強い。


「……」


 リアも気づいている。


 居心地が悪そうだった。


 その時。


 一人の女性エルフが立ち上がる。


 かなり年上に見える。


 でも。


 どこかリアと雰囲気が似ていた。


「名前を聞いても?」


 静かな声。


「リア・フィールズです」


 一瞬。


 長老会の空気が変わる。


 小さなざわめき。


「フィールズ……」


「やはりそうか」


「リシアの娘か」


 長老達が顔を見合わせる。


 リアは意味が分からない。


「どういうことですか?」


 思わず聞く。


 でも。


 答えたのは長老だった。


「リア」


「はい」


「お前の母の名は」


 一瞬。


 リアが固まる。


「……リシアです」


 長老は静かに頷いた。


「そうか」


 まるで確認する必要も無かったように。


 ただ。


 静かに受け入れる。


 その様子に。


 リアが初めて違和感を覚える。


「……長老」


「なんだ」


「もしかして」


 一瞬だけ間。


「最初から知っていたんですか」


 部屋が静かになる。


 長老は否定しない。


「お前の母を知っている」


 静かな声。


「昔からな」


 リアの表情が固まる。


 そして。


 長老は続けた。


「だからお前をここへ連れて来た」


 長老会の誰も驚かない。


 驚いているのは。


 リアとユウトだけだった。


「待って……」


 リアの声が少し震える。


「母は人間です」


「違う」


 答えたのは先ほどの女性エルフだった。


「少なくとも、お前が知っている全てではない」


 リアが言葉を失う。


「そんな……」


「母は何も言っていなかった」


「言えなかったのだろう」


 長老が静かに言う。


「里を出た者の中には、自ら過去を語らぬ者もいる」


 部屋が静まり返る。


 リアは俯いたまま動かない。


 今まで信じていたものが、

 一気に揺らいでいた。


 その時。


 長老が静かに口を開く。


「リア」


「……はい」


「お前の母はエルフだ」


 部屋の空気が止まった。


 リアの瞳だけが、

 大きく揺れていた。

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