新たな仲間
学園への帰路。
空気はかなり妙だった。
「……なんで普通について来てんだよ」
ガルドが引きつった顔で呟く。
その視線の先。
子フェンリルは、
普通に俺の後ろを歩いていた。
しかも結構近い。
「グル……」
「いや鳴くな怖い怖い」
「ガルドうるさい」
「リアは慣れるの早すぎんだよ!」
でもリアは少し嬉しそうだった。
子フェンリルの傷を、
さっきから何度も気にしている。
「……歩き方、まだ少し変」
「足痛いんだろうな」
子フェンリルは、
前脚を少し引きずっていた。
それでも。
止まろうとはしない。
「普通はあり得ん」
レオンが小さく呟く。
「そんなに?」
「フェンリルは警戒心が強い」
レオンは子フェンリルを見る。
「特に人間には近づかない」
でも子フェンリルは、
レオンが近づくと少し唸った。
「ほら」
「なんで俺だけ……」
「魔力じゃない?」
リアが即答する。
「レオンちょっと圧強い」
「圧?」
「強そう」
「意味分からん」
でも少しだけ。
レオンも困ってる感じだった。
その時。
「……ふむ」
後ろから長老の声。
教師達は少し離れて話している。
でも誰も、
長老へ強く踏み込めない空気だった。
「お前」
長老がこっちを見る。
「はい」
「その剣、誰から受け継いだ」
一瞬だけ止まる。
「祖父です」
「……そうか」
長老の目が、
一瞬だけ細くなる。
「似ていると思った」
「え?」
でも長老は、
それ以上言わなかった。
代わりに子フェンリルを見る。
「その子はどうする」
「どうするって……」
言葉に詰まる。
確かに。
このまま学園へ連れて帰るのか。
普通に考えて無理だ。
「学園側は許可しないだろうな」
レオンが静かに言う。
「フェンリルだぞ」
「だよなぁ……」
ガルドが頷く。
でも。
子フェンリルは、
俺の足へ軽く頭を押し付けてきた。
「……おい」
ガルドが固まる。
「懐いてね?」
「懐いてる」
リアが即答する。
「かなり」
「いや待て待て」
ガルドが頭を抱える。
「フェンリルだぞ!?」
その時。
子フェンリルが、
急に森の奥を見る。
耳が動く。
低く唸る。
「グル……」
一瞬で空気が変わる。
レオンが剣へ手をかける。
「どうした」
次の瞬間。
長老が森を見る。
「……まだ終わっていないか」
静かな声。
でも。
その目だけが鋭かった。




