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『初級魔術しか使えない俺が、なぜか最強に近づいている』  作者: 北こたろう


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学外演習

学外演習の話が出てから数日。


 高等部の空気は、少し変わっていた。


「第三班、学外行くらしいぞ」

「マジかよ」

「まだ高等部前半だろ?」


 廊下を歩くだけで視線を感じる。


 特に俺への視線が増えた。


 四属性反応。


 中級習得。


 ホブゴブリン。


 色々重なりすぎたらしい。


「……落ち着かねぇ」


 昼休み。


 訓練場の端で木剣を振る。


 最近はここが一番落ち着く。


「また一人」


 リアだった。


「リアも最近ここ多いな」


「静かだから」


 訓練場なのに。


 でもリアらしい。


「……学外、怖い?」


 小さい声。


 少し考える。


「怖いは怖い」


「でも?」


「少し楽しみ」


 リアが少しだけ呆れた顔をした。


「やっぱり変」


「最近それしか言わないな」


「本当だから」


 その時。


「おい!」


 ガルドが走ってくる。


 今日は珍しく顔色が悪い。


「決まった!」


「何が」


「学外演習!」


 一瞬だけ空気が止まる。


「正式決定だって!」


「……早いな」


 後ろからレオン。


 いつの間にいたんだ。


「お前最近静かに現れすぎだろ」


「お前らが騒がしいだけだ」


 レオンは教師から受け取った紙を見る。


「場所は東部森林地帯」


「東部って……」


 リアが少し眉を寄せる。


「魔物密度高い」


「マジ?」


 ガルドの声が裏返る。


 教師が近づいてくる。


「静かに聞け」


 空気が締まる。


「今回の学外演習は、実戦慣れが目的だ」


 教師が続ける。


「討伐対象はゴブリン群」


 そこで少し間を置く。


「……ただし」


 嫌な予感がした。


「最近、上位種の目撃報告もある」


「またかよ……」


 ガルドが頭を抱える。


 教師は真面目な顔だった。


「実戦だ。油断するな」


 その言葉だけ、

 少し重かった。


     ◇


 夜。


 寮の部屋。


 木剣を握る。


 静かだった。


 最近、考えることが増えた。


 中級。


 学外。


 周囲の変化。


 前まで、

 ただ追いつけなかった。


 でも今は違う。


 少しだけ、

 前へ進めてる感覚がある。


「……」


 火属性。


 炎槍。


 赤い光が部屋を照らす。


 前より軽い。


 でも。


「まだ足りない」


 レオンには届かない。


 火力も。


 圧縮も。


 だから――


 初級を流す。


 風。


 火球。


 水。


 繋げる。


「……これだ」


 中級だけじゃない。


 初級があるから、

 今の中級が動く。


 その感覚だけは、

 少しずつ分かってきていた。


 コンコン。


 扉が鳴る。


「ユウト」


 レオンだった。


「何」


「明日、早朝訓練やる」


「急だな」


「学外前だ」


 レオンは少し黙る。


「……お前、まだ伸びるだろ」


 一瞬だけ止まる。


「多分」


「ならやるぞ」


 それだけ言って去っていく。


 でも少しだけ。


 レオンの声は、

 前より柔らかかった。

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