重要性
それは所謂、天使とかが生やしている翼にそっくりだ。
………色は黒だけどな。
中二病か。
理解が追い付かない頭でみていたが、とりあえず優先すべきは悠也だ。
大丈夫なのはさっきみて確認したが、血まみれの服はいただけない。
そう思って、悠也の服をみて破れたとこを触った。
「…………は?」
「え!?誠司!?」
手が温かくなると光が溢れ悠也の破れた服が直った。
血の痕も初めからなかったかのように綺麗さっぱり消えている。
「さっきからアレだけど、誠司は修復魔法が得意なのか?」
「魔法?」
「あー…そうだよな。意味わからないよな」
ふぅ…と溜め息をついた悠也は、少しだけうつむき顔をあげた時には何かを決意したように固い表情をして言った。
「……信じられないかもしれないが此処は地球じゃないんだ。俺は似た進化をとげた惑星だと考えているが、知っている国は一つもない。それこそ地球のようだけど、この世界には魔法がある…異世界なんだよ」
告げたのは悠也なのに不安げな視線を寄越した。
俺が取り乱すとでも思っているのかは分からないが…俺が思ったのはただ一つ。
「悠也がいるならそれだけで良い」
真実だけを言えば、またしても悠也はぽかんとした顔をした。
そしてジワジワと顔が赤らんできて…。うん、かわいい。
「ばっ、ばっかじゃねぇの!?ここは異世界なんだぞ!?何もない、地球の常識は通用しないっ、それこそ常に死と隣り合わせの危険が付きまとってるんだぜ!?」
「別に。お前が隣にいるなら世界も何もない関係ない」
「ないわけねぇだろ!?」
「…まぁ、それでお前が死にそうなるのは嫌だから俺が守るけど。もう二度とお前を失うあの絶望は味わいたくない」
「…………っ」
じっ、と見詰めながら最優先事項を伝えれば悠也は息をつめた。
羞恥か怒りかは分からないが、未だに顔は赤いまま。
だが、どんなに考えてもさっきの事は変わらない。
何よりも大切で、絶対に二度とこの手は離さない。
何に変えても守り抜く。
この体も、心も、魂さエ、俺ノモノナノダカラーーーー…。
「勇者様ッッ!!」
がんっっ
声と音にハッと意識を覚まされたように感じた。
……なんか、いま変な感じになったような…。
意識を払うように頭を振っていると、悠也は未だにある半透明なドームから外を見ていた。
視線をたどっていけば……ゲームのような格好の人間。
騎士に、魔法使いに…あれは王子様?
何処と無くキラキラした人間がドームの外に集まり何か言っている。
「すっかり忘れてた…」
「あいつら知り合いか?」
「あーまぁな。世話にはなってる」
「そうか」
敵ではないようなので少しだけ警戒をとく。
完全にはとくのはしばらく無理だな。悠也と安全な場所で二人っきりならまだしも。
…何が原因で悠也を失うか分からないからな。
そんなことを考えていれば、悠也がこちらに視線を戻す。
「誠司、この結界消してくれないか?」
「このドームみたいなのか?」
「あぁ。風船が割れるようなイメージをすれば解除できると思う」
そう教えられ、さっそくイメージをすれば半透明なドームは簡単になくなった?
それを見て、外のやつらが近づいてくる。
さてと、自己紹介といきますか…?
本当に悠也に危険がないかどうかの、な?