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7話:【死線突破】運命の偽装

「……嫌だろうけど我慢して! 身体を密着させないと同期シンクロが間に合わないのよ!」


背後から彼の腰にしがみつき、強く体を引き寄せる。

(理屈は分かっている。経験値は魔力に乗って流れるもの。なら、私の『波長』を馴染ませた彼を身代わりにして、この規格外の熱量をすべて押し付ける……!)


「ぐ、あああああああああかっ……!!」


パスが繋がった瞬間、彼の口から獣のような絶叫が漏れた。変異種の膨大な経験値が、彼の魔力回路へと雪崩れ込んでいく。


「耐えて! 成功したら、あんたの願いを一つ聞いてあげるから!」

「……は、あ……。金や名声なんて興味ねえよ。俺が欲しいのは……あんたの『聖女』としての立場じゃねえ。その皮を剥いだ中身……あんたの全部だ。いいなッ!?」


剥き出しの視線が、私の瞳を正面から射抜く。それは英雄だった頃の私ですら背筋が凍るような、執着に満ちた宣告だった。


「……いいわよ。だから、意識を離さないで!!」


全神経を循環に注ぐ。だがその時、最悪の事態が起きた。無理やり流し込んだ私の魔力を、彼の回路が「異物」と認識し、猛烈な拒絶反応を起こしたのだ。


「ガハッ……!」


内側から回路を焼き切られる衝撃。彼の呼吸が止まり、私の膝も崩れかける。一度目の偽装は、失敗。


(なら――これならどうッ!!)


私は薄れゆく意識の淵で、さらに一段乱暴な処理を選んだ。自分の魔力を彼の「波長」に合わせるだけでなく、彼の回路そのものを私の魔力で無理やり塗りつぶし、境界線を破壊する。


「……っ、こいよッ!! 逃がさねえぞ……ッ!!」


その時、彼が吠えた。受動的だった彼は、自ら濁流のような魔力の核心を掴み、自身の奥底へと強引に引きずり込んだ。


その瞬間、世界から音が消えた。


ただ、自分の呼吸が止まったことだけが、鮮明に突き刺さる。


やがて。

肌を焼くような暴力的な熱が、ふっと霧散した。


「……成功、ね……」


聞こえるのは、密着した彼の背中から伝わる、力強い鼓動だけ。

私はそのまま、深い闇へと意識を落とした。



目を覚ますと、夕闇の森に彼は立っていた。

以前よりも一回り大きく見える後ろ姿。


「……よお。助かった、ありがとな」

「こちらこそ。あなたが耐えてくれなきゃ、私は今頃肉片だったわ」


「レベルが10も上がった。おまけに、魔力の最大値が跳ね上がってやがる……」


彼は不敵に笑う。その姿に異常はなく、むしろ清々しいほどの生命力に満ちていた。


――その瞬間。


理由もなく、足が止まった。


肺に入ってくる空気が、やけに軽い。

澄みすぎている。


ほんの一瞬だけ、意識がそちらに引っ張られる。


(……なんだ、この気配)


だが、すぐに思考を切り捨てた。


「お願い……忘れてねえよな?」

「……ええ、わかってるわ」


私は自分のステータスを確認した。【レベル:1】。

心臓の鼓動を鎮めながら、私は立ち上がろうとして――激しい眩暈に襲われた。


(……くそ、身体が石のように重い……)


能力値がすべて「1」のこの脆弱な肉体で、魔導銃をすでに数発放ち、その上で今のバイパスだ。もはや、歩くことすらままならない疲


だが、私は迷わなかった。

震える膝を精神力だけで固定し、一歩ずつ、親猫の前へと這い進む。


弱りきった瞳で私を見上げる親猫。その足元には、震える子猫たちがいた。


私は無言のまま、折れそうな右腕を左手で支え、魔導銃を構えた。

その眉間に、銃口を真っ直ぐに突きつける。


第7話:【死線突破】運命の偽装フェイク

「……嫌だろうけど我慢して! 身体を密着させないと同期シンクロが間に合わないのよ!」


背後から彼の腰にしがみつき、強く体を引き寄せる。

(理屈は分かっている。経験値は魔力に乗って流れるもの。なら、私の『波長』を馴染ませた彼を身代わりにして、この規格外の熱量をすべて押し付ける……!)


「ぐ、あああああああああかっ……!!」


パスが繋がった瞬間、彼の口から獣のような絶叫が漏れた。変異種の膨大な経験値が、彼の魔力回路へと雪崩れ込んでいく。


「耐えて! 成功したら、あんたの願いを一つ聞いてあげるから!」

「……は、あ……。金や名声なんて興味ねえよ。俺が欲しいのは……あんたの『聖女』としての立場じゃねえ。その皮を剥いだ中身……あんたの全部だ。いいなッ!?」


剥き出しの視線が、私の瞳を正面から射抜く。それは英雄だった頃の私ですら背筋が凍るような、執着に満ちた宣告だった。


「……いいわよ。だから、意識を離さないで!!」


全神経を循環に注ぐ。だがその時、最悪の事態が起きた。無理やり流し込んだ私の魔力を、彼の回路が「異物」と認識し、猛烈な拒絶反応を起こしたのだ。


「ガハッ……!」


内側から回路を焼き切られる衝撃。彼の呼吸が止まり、私の膝も崩れかける。一度目の偽装は、失敗。


(なら――これならどうッ!!)


私は薄れゆく意識の淵で、さらに一段乱暴な処理を選んだ。自分の魔力を彼の「波長」に合わせるだけでなく、彼の回路そのものを私の魔力で無理やり塗りつぶし、境界線を破壊する。


「……っ、こいよッ!! 逃がさねえぞ……ッ!!」


その時、彼が吠えた。受動的だった彼は、自ら濁流のような魔力の核心を掴み、自身の奥底へと強引に引きずり込んだ。


その瞬間、世界から音が消えた。


ただ、自分の呼吸が止まったことだけが、鮮明に突き刺さる。



やがて。

肌を焼くような暴力的な熱が、ふっと霧散した。


「……成功、ね……」


聞こえるのは、密着した彼の背中から伝わる、力強い鼓動だけ。

私はそのまま、深い闇へと意識を落とした。



目を覚ますと、夕闇の森に彼は立っていた。

以前よりも一回り大きく見える後ろ姿。


「……よお。助かった、ありがとな」

「こちらこそ。あなたが耐えてくれなきゃ、私は今頃肉片だったわ」


「レベルが10も上がった。おまけに、魔力の最大値が跳ね上がってやがる……」


彼は不敵に笑う。その姿に異常はなく、むしろ清々しいほどの生命力に満ちていた。


――その瞬間。


理由もなく、足が止まった。


肺に入ってくる空気が、やけに軽い。

澄みすぎている。


ほんの一瞬だけ、意識がそちらに引っ張られる。


(……なんだ、この気配)


だが、すぐに思考を切り捨てた。


「お願い……忘れてねえよな?」

「……ええ、わかってるわ」


私は自分のステータスを確認した。【レベル:1】。

心臓の鼓動を鎮めながら、私は立ち上がろうとして――激しい眩暈に襲われた。


(……くそ、身体が石のように重い……)


能力値がすべて「1」のこの脆弱な肉体で、魔導銃をすでに数発放ち、その上で今のバイパスだ。もはや、歩くことすらままならない疲


だが、私は迷わなかった。

震える膝を精神力だけで固定し、一歩ずつ、親猫の前へと這い進む。


弱りきった瞳で私を見上げる親猫。その足元には、震える子猫たちがいた。


私は無言のまま、折れそうな右腕を左手で支え、魔導銃を構えた。

その眉間に、銃口を真っ直ぐに突きつける。


「次は、あなたの番よ」

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