第66話・鏡よ、鏡・幕間、世界の観察者たち
第66話・鏡よ、鏡・幕間、世界の観察者たち
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世界の外側に位置する、異界の図書館。
本棚の森に囲まれた円形の広場の中央に、この龍域の主とその客たちがいた。
いつもティーパーティーに使っていた金属製のテーブルは消え、代わりに高級そうなソファーベッドが置かれている。
その上で三つの存在が、「再現」によって無限に湧き出すポップコーンを手にしながら、世界を観測していた。
一つは、ここの支配者。可憐で、美しく、そして完璧な銀色の龍人美少女――《智慧》のフェリーステラ=ヨグティル。即ち、我である。
「やあ。みんなは順調に強くなったな。ますます、我が見た未来へ近づいている」
夢の中にあるはずのシミュレーションでさえ、解析済みのものは我の観測から逃れられない。そのまま画面に映し出される。
彼らは手合わせを始めた。我は暫く、この点の観測に集中する。
只今、雪菜の刀が彩音の作品と共に何かを切断する画面が見えた。気に入っている彼と、その小隊の彼女たちは順調に成長している。……感心する。
だけど、この程度では、進軍してくる『灰燼』に燃え尽き、その犠牲者の列――「遺灰従騎士」の一員になるのが関の山だ。
あのアンカー、存在証明と共に消えた「我」の干渉で既定されていた運命から離脱した暁の行動は、周囲の人々の運命を変え続けている。最初は小さな分岐に過ぎなかったが、今ではあのバッドエンドの世界線と比べて、跡形もなく変わり果てている。
今の状況はすでにバッドエンドの時間線よりマシだ。
ーーだが、変数はまだ足りない。
我が直接手を出せば、未来は激変してカオスに近づいてしまう。だから、我の代わりとなる協力者が必要だ。もし我の未来観測から離脱した同族が巻き込まれているのなら、そしてそれが戦争と関係のある存在なら……
『叡智』?
我と似ているが、方向性が違う。我は知識を集める「図書館」なら、あいつは真理の探求に専念する「学院」だ。頭が良いから普通の会話くらいはできるが、性格的には絶対に無理な、嫌な奴……うん、やっぱり無理だ。
きっと、『あらあら~?この程度の問題も解決できなぁいのかしら~?順位が一つ上の「智慧」様が~、この「叡智」に助けを求めちゃうのかな~?ほらほら~、人に物を頼む態度は~?早く土下座しなさ~い?そうしたら、助けてあげるかもしれません~よ?』などと笑われるに決まっている。
……想像するだけで腹が立つ。後であのクソ生意気なメスガキの研究に、乱数を打ち込んでやる。
「力」は友好的で単純なやつだ。だが、もし我から「知識が力」ということを理解させてしまえば、そのちょろさは一瞬で消え、力と智慧と勇気を全部手に入れた究極の生命体が誕生してしまう。あいつも無理だ。
他のやつらは……『虚無』と同じく、まともな話もできないものばかり。
なら、新たな機械技術の革新を望み、世界の終末より存続を望み、大規模戦争を得意とする『機械』の協力を得るのが良い。
まあ、居場所すら定かでない者の助力を考えるなど、時間の無駄というものだ。こんなに大きな存在なのに我の観測から逃れているのは、権能で組立た機械の仕業だろう。
「あら、それは一体どんな未来なのでしょう。わざわざただの預言者である私の目を遮ってまで隠さねばならぬほど、重要な未来なのですか?」
我の思考を止めたのは、質問を投げかけてきた浮遊聖都の指導者の一員、「先見の聖女」ナキアだった。
その目は未来視を止めるために、あれが発動した際に情報を遮断されない我の正体を見てしまうから、その衝撃で脳に過剰な負担を刻まれたため、今は黒い布で隠されている。
今の彼女はちょっと昼寝をしている間に、その精神が要請もないまま、ここに迷い込んできたのだ。
「それは、新都と聖都……あらゆる生命体を巻き込み、真龍を落とす大戦の、事前準備のことだ」
「なら、どうして?フェリー様が優しいから?」
「勘違いしないでほしい。我は世界の間を旅する者であり、世界そのものへの過度な干渉はしない。これはすべて『我がまだ我になる』のため、我自身のためだ。もし失敗すれば、我は『バッドエンドにたどり着く、行き止まりの我』となり、この世界線と共に存在証明を消し去られる」
「なんだか、話が大きすぎて実感が湧きませんね。……それにご存じの通り、私の未来視が見えるのはあくまで朦朧とした映像だけですよ?そのお言葉からして、フェリー様は世界を積極的に干渉する性格ではありませんのに、どうして?」
これは……まったく。全然そのつもりじゃないのに、無自覚なら悪質だな。
「『予測できない不可知の未来から、予想可能な既知の未来へ変換する』のは、人……智慧ある生命体が本能的に求めるものだ。だから、キミたち人間の願いから生まれた『固有魔法』も似ている。我は『可能性の未来』、即ちすべての分岐点から『そう選ばれたならどうなるか』を見る。でもキミのは違う」
「私の『先見の奇跡』、ですか」
「そうだ。キミのは未来の不可知を減らすことで未来視を達成する。まさに『未来の不確定性を収束』させるものだ。キミが見る未来は『精度が足りないから朦朧としている』のではない。むしろ精度が高すぎて、キミの魔力が足りない。だから、あれだけの映像しか映せない。我とは真反対の未来視だ」
まぁ、ナキアの頭は良い。これくらい言えば、分かるだろう。
我が放った言葉を咀嚼し、思考を巡らせた彼女は、頭を上げてこちらを見た。
「それは……もしあの時、私を止めなかったなら、最悪の未来が定着していた、ということですか……」
「その通りだ。『自分が見た未来を無理矢理に実現する』――本末転倒の魔法だな。だから、その分岐点を乗り越えるまでは、その魔法は使わない方がいい」
「それは……うん、分かりました。いまは大人しく、ただ先輩たちに可愛がられるマスコットになっていればいい、かな」
この『先見の魔法はあまり使えない』という記憶を、この図書館から持ち帰ることを許可しよう。……これで宜しい。失敗した未来は3%にまで減らされた。一人の人間としては、変数が多いな。
でも、その魔法は危険なだけじゃない。劫火の魔女の制圧を「全員生存ルート」へ収束させたのは、彼女のおかげだ。ナキアの力があったからこそ、我はあの無限の可能性の中から正解のルートを選び、暁に「未来の知識」を伝えることができた。
あの頃は、我から見ても大変な事態だった。本当に。
「もし、影崎楽奈が実験場へ単身突入していたなら……」――激闘の果てに、彼女は久那の前で解体され、久那はさらに恐怖的な魔女として覚醒する。……その可能性で楽奈を解体したのは『進化』の肉人形、我の元弟子の協力者が『進化』の野郎であることはほぼ確定した。
「もし、あの島へ退避しなかったなら……」――全滅。
「もし、反撃の時、陽葵彩音が右足から走り出していたなら……」――穴に落ち、灰すら残さず蒸発する。
「もし、ドクターを一人で劫火の魔女に足止めさせていたなら……」――自慢の装甲と共に焼き払われ蒸発し、押し寄せる悲嘆に耐えきれなかった残桜が「禍渦の魔女」に堕ち、世界の半分が呪いに沈む。
「もし、弓月葵だけが生存していたなら……」――その精神があの騎士坊と完全同調し、「嗚咽の魔女」に目覚めて世界を滅ぼす。
「もし、残桜が聖剣と和解しなかったなら……」――変生を止めるのに間に合わず、全員が重症を負い、久那の魂は砕けて死ぬ。
それ以外の死に方も様々だ。もはや地雷原でダンスをしているようなものだった。ナキアの協力でほとんどの死亡フラグを収束させたおかげで、排除に必要な死亡フラグは千以内にまで減らせた。
「そういえば。我の観測によると、聖都の裏切り者――『進化の信徒』の排除は順調みたいだな。あの頃、『劫火の魔女』制圧協力の事前報酬を上手く利用してくれた」
「はい。あの件は大変お世話になりました。……でも、まさか私たちを守護するパラディンの団長と、複数の隊員が裏切り者だったなんて。神託の聖女様も、久しぶりに動揺されていましたよ」
「それは仕方ない。我々真龍の権能は、魔法とは優先順位が違うからな」
「へぇ、そうなんですか?」
これで、聖都が天空から落ちる大反乱のフラグは消えたはずだ。
フラグ管理は忙しいというのに、ここまで完璧に達成できるとは。
流石、我♪
「もうー!クロの分からないことばっかり!そんなつまんないお話はここまで!早く画面に集中してよ!ほらー、『運命の人』は全員集まって何をするつもりなんだって、見てみて!」
む。ナキアの膝に座っているモノクロの幼女が、我のいい気分を止めた。――こいつは、追い払うこともできず、招かれざる客としての《虚無》のクロだ。
「そうだったな。ごめんなさい。映画……映画らしいものを見る途中で話し込むのは、マナー違反よね。お詫びとして、ポップコーンを食べさせてあげるね」
「やったー!たべるたべる!」
「一応警告しておく。クロの見た目に騙されるな。あいつは超ヤバイ存在だぞ」
「この子ですか?こんなに可愛いのに……私はよく孤児院の子供たちと遊んでいますから、子供扱いは得意なんですけど……それそれ~」
「はははっ~、くすぐったいよ~」
あ。ナキアは『虚無』を触り始めてしまった……。
全く、警告したというのに。
でも、暁が全員を集合させて何をしようとしているのか……先に未来を観測しておくか。
そう考えた我の目は、暮色に染まっていく。様々な景色が、我が目に映る――
*
「この景色は遊園地と、タコの魔物……。その姿は、古代日本の伝説に登場する妖怪ですか?それとも、単なる動物のに模倣する魔物ですが?……そして、この事件はヒナちゃんがよく言っていました。彼女の不徳で対応が間に合わず、引き起こされてしまった事件だ、と」
ナキアが気にしているのは魔物と事件そのものだが、我が気にする点は違う。
「今はまだ、あのような姿に変化する時期ではない。……なぁ、あの姿は絶対にキミの仕業だろ。さらに悪化させているじゃないか!」
未来観測である程度の心構えはできていたが――画面に映る炎上した遊園地と、黒き魔人が目覚めた瞬間を目にすると、案外、不機嫌な感情が湧き上がってくる。
そう思いつつ、我は横にいる『虚無』へ問うた。
「うん、そだよー!クロが『運命の人』を喰っちゃったから、クロの自分の一部を切り取って返してあげたの!自分が喰われる側になるなんて初めてだー!与えた魔力がこーんなにぴったり合って、意のままに操れるなんてさー、やっぱお互いの相性がばっちりだからだよ!あんなに『虚無』を被っているのに、その存在がちっとも歪まないなんて!さすがクロの『運命の人』!蛇の表現形も可愛いー」
「やっぱりキミか!我はただ、外見を干渉されない程度の魔力だけを注入したのに。……だから頭の空っぽな奴はダメなんだ……」
これで未来がどれほど変わるか、分からない!特に同族であり、『虚無』の特性でこいつの干渉全く見通せないから、もうー!
フラグ管理と事前処理が、また台無しだよ。もうもうもう!
「だって、この世は喰うか喰われるか、染めるか染められるか、だろうー」
はあー……我みたいに世界の礎に選ばされ、無理矢理に真龍へ変化させられた存在と違って、彼女はまず『理』が先にあり、その後にそれを乗せるための器が生まれた。
だから、思考ロジックは『理』からの影響をより強く受けている。
考える方法が違う。……そもそも、何も思考のない奴に怒っても仕方ないのだが。
「それに、あの赤い糸は『運命の赤糸』だな。やっぱりあいつも混ざっているな――」
「ああ~、それはクロの一部が混ざっているから見えるんだよー。だって、蝶は弱いしー!そういえば、しばらく蝶に会っていないなー」
蝶。『運命』の理を持つ同族だ。
あいつは仕事熱心というか、真面目というか、世界を運命の終末へ導く使命に熱心すぎる存在である。
――石、建物、虫、人、魔物……あらゆるものを滅びの運命と繋げる。
その結果、自分自身もその運命の糸に縛られ、自分の世界から出られない愚か者だ。
でも、今の暁は我の干渉で変数となっている。無視しても平気だろう。
今は、暁たちが何をしようとしているのかに集中しよう。
まぁ、暁が何を考えているのかは、大体分かる。
あれはきっと、その小隊の子たちへの試練……『自分の暴走を止めて見せろ』というものだろう。
「あれは、その刀を持つお方と同じ方がいますね?魔人化したアマギさんが急に消えた!?――あ、そのお方を縛っていた触手が切り落とされた。アマギさんの仕業ですか」
「うん。彼女はこの事件で覚醒したから、この記憶も共に『再現』されたのだろう。だから、あの時の光景が暁の記憶の風景と重なり合い、記憶の中の彼女を助けることが最優先になるはずだ」
さて、一体どのような戦いを見せてくれるかな。
……
…
「蛇やっちまえ!『虚無』の力を見せてくれ!」
「その、あんまり暴れないでください、クロちゃん」
「お前、どっちを応援しているんだ……」
ナキアの膝に座った『虚無』は、画面の中の暁に向かって手を伸ばし、応援するように激しく左右に体を揺さぶっている。
画面に映る戦況は一見すると膠着状態に見えるが、決着がつくのも時間の問題だった。
そう思ったとき、雲を貫く光が降り始めた。
「あれは……!!これを起こしたのはあの白いお方ですね。確か、月見奏様。このような奇跡めいた魔法を使えるなら、聖都の基準では聖女になれる資格がある……でも、別の魔法少女団体に所属する者を勧誘するのは禁じられているから……うん、一年に一度の大祝祭に招待状を送るくらいは許されるでしょうか」
その光が降り始めた時点で、あとのことは言わずとも分かった。
暁の、もう一度の自己封印。魔人化を解除するために魔力を吸い出すこと……何と羨ましいことだ――そして、最後の別れ。
その子が勝ってくれて良かった。ここも分岐点の一つだ。
「もし、暁の暴走を止められなかったなら」――暁は自分の暴走で大切な人たちを傷つけないために魔物対策局へ辞表を提出し、その後は一直線に「監禁ルート」へ落ちる……一応、それは一番安全なる未来だけど。
でも、これだけで終わるのは少し残念だ。
ならば、その再現された雪菜の焼け跡の手帳を、今の雪菜の部屋へ送っておこう。
知識を伝播するのは、我の得意なことだから♪
「いや、待ってよ。これは……もう、この節点に辿り着いたのか」
ここも終わる。我は視線を、新都の郊外へと移した。
*
あれは、旧時代の廃墟が点在する荒原。魔物が跋扈し、人間が生存できない場所だ。
白い髪がガラスのような物質に覆われ、頭上に浮かぶ光輪は日光を受けて万華鏡のように万千の色彩を放つ、神秘的な少女。
彼女こそが、鏡の谷の主――ミロスである。
何度試しても失敗に終わり、彼女は龍域の拡張を早々に放棄した。
その代わりに、自分の足で一直線に新都の方向へと歩みを進めている。
彼女の素足が地面を踏みしめるたび、足元は瞬く間にガラスのような物質へと変貌していく。
その時、地面を突き破って一匹の魔物が現れた。
鬼の面をつけた蜘蛛――妖怪型の魔物、牛鬼だ。ミロスを一呑みにしようと、巨大な顎を開く。
「邪魔。消えて」
ガラスで作られた大口が逆に広がり、牛鬼を丸ごと飲み込む。
骨肉が粉砕される生々しい咀嚼音と共に、魔物は跡形もなく消え去った。
まるで鏡面のように、ミロスに向けられた捕食行動はそのまま跳ね返される。
このような襲撃は何度となく起こるが、彼女の歩みを止めるには至らない。
魔法で攻撃してきた魔物は同じ魔法で滅ぼされ、針で襲いかかった魔物はガラスに貫かれて絶命し、斬撃を得意とする魔物は身体が真っ二つに裂ける。
そう――何者も、彼女の進路を阻むことはできない。
たとえ、魔物の結界領域が目の前に立ち塞がろうとも。
彼女は周囲に一切の関心を払わず、ただひたすらに前へと歩く。
*
そこへ足を踏み入れた瞬間、世界が一変した。
ミロスがたどり着いたのは、緑の茨に覆われた薔薇の庭園。
どこからか、古典的なメロディーが流れている。
その中央では、アイドル然とした装いの二人の魔法少女と、魔刃で蔓を切り払う一人の男――新都から遠征してきた連絡員と、担当する魔法少女たち。第13区の上位小隊が戦っていた。
そして、この領域の主である「ローズ・ダンサー」。
棘だらけの茨が絡み合って形作った人型の魔物は、首から上だけが咲き誇る三輪の薔薇にすげ替えられており、優雅なステップを踏みながら彼女たちを翻弄している。
「ゆかりちゃん、わたしたち、本当にこいつを倒せるのかな……」
「あかりちゃん、あなたの魔法《テンションMAX》は感情と連動するんだから、しっかりして!変な雑念は捨てて、こいつを倒すことだけに集中するの!魔物め、『あっち』に行きなさい!」
「お二人さんはローズ・ダンサーの相手に集中してください!蔓は俺が引き受けます!」
魔物対策局の手配書に載るネームド魔物「ローズ・ダンサー」は、ダンスと音楽を掛け合わせることで攻撃力を高める。
さらに、頭部に咲いた三輪の薔薇を同時に破壊しなければ討伐できないという、極めて厄介な性質を持っていた。
ゆかりの《方向の魔法》がその動きを乱し、《テンションMAX》で強化されたあかりの拳が薔薇の一つを砕く。
だが、魔物は凄まじい速度で再び咲けた、新たな茨を伸ばしてくる。
「もう無理~!やっぱりこの任務、受けるんじゃなかった~!」
「くっ、しつこい奴め!」
「俺の選択、間違って……って、誰だ!?」
その戦闘の一部始終を目撃しながらも、ミロスは微塵も気に留めることなく前へと進み続ける。
「部外者!?ここは新都の外、危険な郊外のはずじゃ……!」
「そこの君、早く逃げなさい!ここは危ないです!」
「……!」
魔法少女たちが抱いた心配の感情と、自身の領域への侵入者に対するローズ・ダンサーの強烈な敵意。
二つの感情が交錯し、茨がミロスへと殺到する。
「敵意、好意。現実は鏡に映し出され、鏡面の虚像は現実へと反応する――『鏡に映りし影』」
ミロスに向けられた感情によって、彼女の対応は変わり、導き出される結末もまた全く異なるものとなる。
一瞬にして、結界領域の全域とローズ・ダンサーがガラスの物質に覆い尽くされ、ミロスが手元に創造された鏡を握り潰したと共に、瞬間には微塵の破片へと崩れ去った。
「これは、一体……!?」
「あの魔物を、一瞬で……?」
邪魔者を排除したミロスは、呆然とする魔法少女たちの小隊へと歩み寄る。
「質問。新都の第13区は、この方向ですか?」
連絡員はやっとの思いで硬直から回復し、ミロスの問いに答えた。
「あ、はい。この方向で間違いありません……俺たちは第13区の所属ですので、よければ一緒にどうですか?君みたいな強い魔法少女がいてくれたら、帰りの道中も安心です」
「了承。同行する、この短い旅路によろしくお願いいたします。」
彼女の正体を知らぬまま、四人は新都へ向けて歩き始めた。
『鏡面』は、愛しくて愛しい兄妹のもとへ辿り着く。
あと少しだけ。




