第61話・鏡よ、鏡・力試す、『あの一日の再演』、その二
第61話・鏡よ、鏡・力試す、『あの一日の再演』、その二
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ーー星野雪菜の場合ーー
炎上した遊園地で、黒き騎士と山ほど大きなタコが怪獣大戦を繰り広げる、その影響を受けない遠い場所の広場で、わたしたちは最後の準備をしていた。
「ゴホン。やっと騒乱が収まったから。魔人化したお兄さん、略して魔人お兄さんとの戦いを準備します。」
「って言うけど、ほとんど雪菜ちゃんと雪菜ちゃんが起こした騒乱でしたよね~」
「そこの彩音ちゃん、少し静かにしてください!」
先のことが思い出されると……ヤバい、顔が熱い。きっと赤くなっているだろう、もうー!
同じわたしだから考えたことも似ているし、それに若いから……総合した結果、わたしの秘密がバレてしまった。
「んまぁ~、そんなことは誰だって多少はやるから、気にしないでね~」
「はい?」
急に彩音から爆発的な発言が飛び出し、わたしと『昔のわたし』が同時にびっくりした。
でも、葵ちゃんと久那ちゃんを除いて、みんなはなんだか恥ずかしそうに目を逸らしている。
「いい?『悪いことをするならバレないようにする。欲しいものは全部手に入れる!男を待ってないで攻めろ!ストライク、そしてホームランを目指せ!あと、婚礼の時は呼んでくれ、光速で来るから!』って、彩音の祖母様がそう言ってました!」
「なにを、それ……その祖母は……」
が、彩音は急に真顔でわたしを睨んだ。
「雪菜ちゃんって最初に手を出したくせにそう言う~?それに、それは危機感不足じゃない?彩音たちは不死身じゃないけど、時間がほぼ無間が持っています不老の魔法少女ですよ……でも、彩音たちに時間がいくらあっても、暁の時間は?彩音の祖父様は祖母様より先に黄泉へ行ったからこそ、そう彩音に言ったんです。」
それは、少しだけ、わたしもそう考えていた……ずっとそれから目を逸らしていた……わたしたちとお兄さんの時間はもう違う……ダメだ、そう考えると泣きそうになる。
「……それなら、心配はいらない。あそこに兄さんを見て。あの肉体はもう、こちらに来ているから。」
「あちって……あ、魔人化と半魔人のことですか!」
魔人化は魔法少女と色々違うけれど、一つだけ同じものがある。それは魔力が肉体へ影響すること。お兄さんはもう、こちらに……
「そうです。わたくしたちの物語は絶対に悲劇で終わらせません!きっとメルヘンみたいにハッピーエンドにするんですから!」
「それは……うん!悲嘆に沈む必要はない。共にハッピーエンドへ向かおう!あの鎖のように、お兄さんの心を逃げられないように、全ての逃げ道を塞ごう!」
「「うん!」」
わたしと彩音ちゃんと奏ちゃんと楽奈ちゃんはお互いに抱きしめて、友誼がもっと一歩深まったのを感じた。
「その、うちらはそろそろ出撃しないと、あのタコはどんどん弱くなって……先輩の攻撃に耐えられないみたいですよ、あはは~」
「そう!私を救ってくれたように、今回は私から救って見せます!……昔の雪菜さん、あなたは先から何を記録しているんですか?」
「はい!わたしはわたし的な幸せな未来が訪れることを記録しているんです!これを日記に入れます!」
*
横からの声で、わたしたちは今の状況に戻された。
「え、あ、ごめん。なんだか意識が長く飛んでしまったみたい。もう一度注意事項を言うね。」
わたしは平然を装い、会議の進行を再開した。
「まずはお兄さんに対して。その黒い焔は魔力を燃焼させるけど、わたしたちを燃やさないから気にしなくていい。注意すべきはあの鎖の方。あの鎖は何と言うか……封印、反魔法、反魔力?まあ、そんなような効果があるから、対応方法は鎖のない場所へ攻撃する、あるいはその力を超えた大魔法でぶっつけること!」
「私と違った火が……ある意味、私の火の原型みたいな火、が。でも、あれは私と違って暴走しても仲間を焼かない……」
「なるほど。なら、タコの方は?」
久那ちゃんは思考に沈んでいるみたいで、彩音がタコの情報を尋ねた。
「タコが……」
わたしは遠い場所の激戦現場へ視線を向けた。
お兄さんは焦げた黒い鎖を使って立体機動でタコを翻弄し、その八本の腕にも捕まらない。機会があれば黒き焔を纏った鎖を射撃して徐々に点火し、タコの魔力消耗速度を上昇させている。
うん、わたしがいないとお兄さんはもっと上手く戦っているという事実に、少しだけ複雑な気持ちになる。
「まあ、タコはタコで、その体型と反応速度に注意すればいいんじゃない?でも、触手に捕まったらエロシーンにはならずにそのまま絞殺されるから、すぐ離脱しないと予備エリアへ戻されるよ……そうそう、それと、あちこちにいる目玉みたいな紋様が見えるでしょう?あれは本当に見えているらしいから、死角はないみたい。あと閃光に弱い?」
「……なんだか。兄さんと比べて、タコの観察が雑?」
「それは仕方ないでしょう!あれはお兄さんの初変身なんだぞ、目を離すわけにはいかない!」
「うんうん、わたしも同感です」
さすがに『昔のわたし』、考えたことも一緒で変わらない。
「そのタコさんは、先に葵ちゃんが変身した『オーバードライブ・万視瞳王』と同じような、見るものを予知するようなことができると理解すればいいんでしょ?」
「え!?うちは赤戦士に言ったのに、その名前を知ってるなら……まさか、奏先輩もその番組を見てるんですか!?」
「はい。わたくしは初代からそのシリーズのファンですよ……入院生活はつまらないから、色々な作品を見ました」
「ならなら、決め技は!」
「飛んで、キックダウンして、謎の力で爆発せよ。」
「くぅー!なら、斬撃が効かないなら!」
「突きと打撃を試す。もし効かないなら、もっと力を入れ!」
「……」
それは何の作品の話なのか、わたしには全然わからないけど。葵ちゃんが沈黙したから、最後のは当たらなかった?
「どうやら、うちは奏先輩を高貴で儚いお嬢様として見るのは間違えてた……どうやら、うちらは同好、です!」
「うわ?急にこんなに抱きしめてくるのは……わたくしもそう思いますよ、葵ちゃん。……みんな聞いてください。あのタコは番組と同じなら、混乱した動きと体の限界を超えた素早い攻撃、そして行動拘束が弱点です。その点で攻めましょう!」
奏ちゃんの提案で、戦前準備が終わった。いよいよ魔人お兄さんに挑むぞ!
「『昔のわたし』、しっかり見るよ!その魔法がどれほどのことをできるのか」
「はい……!『未来のわたし』」
*
わたしたちは炎上する遊園地の中を一斉に走り出した。瓦礫は多いけれど、こんなものでわたしは止まらない!
「先に言った通り、わたしたちは二組に分かれます!」
「「「はい!」」」
お兄さんはそう言った。『もし未来に暴走したら、わたしたちの力で彼を連れ戻せるかどうか』って。だから、わたしの力を見せないと、お兄さんの期待に報いない。
クリア条件は、魔人お兄さんとタコの魔物を同時に制圧すること。魔人お兄さんはタコ退治に執念を燃やしているから、両者は同じ戦場にいて区別しにくい。だからこそ、対応組を分けるのは、この混乱した戦場では必要不可欠だ!
魔人お兄さんの鎖に対応するのは火力が必要で、メンバーは:わたしと『昔のわたし』、一番強い久那ちゃんと楽奈ちゃん。
タコに対応するのは巧妙な対策が必要で、メンバーは:対応の種類が多い葵ちゃん、閃光と支援の奏ちゃん、そもそも攻撃が多様な彩音ちゃん。
わたしは全力で走り、作戦の目的地にたどり着いた。
そこは山のような大きなタコが暴れたせいで、もはや平坦な広場になってしまった場所。
わたしは全員を代表して告げる。
「今日はもう閉園です!暴れるタコはご退場くださいませ!」




