第51話・建て直すの日々・幕間・その3
第51話・建て直すの日々・幕間・その3
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「これはどうすればいいかな……」
残桜の転移符で、オレは13区支部前の資材置き場に降ろされた。
「早く臨時会議を開けないと」そう言い残して、彼女はル・ルファを連れて本部へと戻っていった。
時計を見ると、もう正午を回っている。
ただ、この時間は少し微妙だった。
先ほど羊羹を食べたばかりだから……うん、昼飯は軽めのサンドウィッチで済ませることにしよう。
その後の予定を決めたので、家に帰る前に周辺を少し見て回る。
「おお~、支部の工事もそろそろ完了みたいだな」
ここは13区支部の外側。オレの仕事場だ。
外から見ると、外壁の工事はすでに終わって、元の美しい姿に戻っていた。
新たに防御魔法がかけられたおかげで、昨日の大騒乱でも外壁は無傷のままだった。
「……お邪魔しますー」
IDカードをかざして大門を開け、中に入る。
昼間のこの時間、建造系魔法の魔法少女や建設関係者たちは昼食に出かけているらしく、館内は誰もいないようだ。
「内部も綺麗に直ってる……破壊の痕跡が残っていない。どうやらこの長期休みもそろそろ終わりみたいだな……いや、そもそも訓練や魔女との戦いで休む気なんてないけど。」
支部内部は元通りに整えられていた。
普段は人が多く賑やかな場所が、こんなに静かだと少し寂しい雰囲気さえ感じる。
これで魔法賦与が完成したら、完全に元通りになるだろう。
工事の邪魔をしても悪いし、もう用事はないので支部から出ることにした。
*
「おお、この店が開いてる。これは残されてて幸いだな。」
支部の近くにある駅前で、簡単なポークチョップサンドイッチを買って昼飯を済ませた。
「……この辺も、騒乱の影響がまだ残ってるかな。」
駅は優先的に修復されたおかげで普通に利用できるが、人影は明らかに少ない。
それも無理のないことだ。
13区は他の区と違って二度もテロに遭ったため、皆、家の中で安全を優先して引きこもっているのだろう。
駅を出て、六月の強い日差しの中をゆっくりと家路につく。
本来ならこの暑さは堪えるはずなのに、昨晩のあれと比べれば……いや、あれは暑苦しいを超えて炎上だったから比べるのも不公平か。
家を目指しながら、街の様子を自然と見回す。
「これは……結構被害が大きそうだな。前回より魔物の爪痕は少ないけど、魔法の火が延焼した火事の黒い焼け跡があちこちに残ってる……」
これだけの被害を抑えられたのは、原初のみんなと新都に残っていた魔法少女小隊たちの活躍のおかげだろう。
だが、どれだけ抑えられたとはいえ、運悪く酷い傷を負った人々も少なくない。
魔物は魔法少女に対しては強くないが、魔力に運用できないの一般住民にとっては無敵に近い存在。
ただ逃げるしかない悪質なモンスターだったのだ。
「──あの子は?」
ふと視界の端で、小さな人影が動いた。
路地に入り込む……あそこは確かにまだ処理されていない、破壊された高層マンションの残骸がある一角だ。
あの子の存在感が妙に薄い。
もしオレがあの時に気づかなければ、すぐに頭の奥に忘れてしまいそうだった。
普段なら問題ないが、今は瓦礫だらけの危険な状態だ。
いつ建物が崩れて押し潰されるかわからない。
もし隠れるのが得意な魔物が瓦礫に潜んでいたら……大人として、魔物対策局の一員として、そんな小さな子を放っておくわけにはいかない。
オレは急いで追いかけたが──
「……速い!?」
あの子はただ歩いているだけなのに、奇妙な速さで距離を保つ。オレが全力で追っても、全然縮まらない。
そんな鬼ごっこを続けているうちに、広い場所に出た。
いや、これは広場じゃない。瓦礫の山となった高層マンションの跡地だった。
あの子が足を止めたので、オレはやっと追いついた。
「はあ、はあ……やっと追いつきました。なんだあの速度は……。そこのキミ、どうしてこんなところに来たんだ?キミの保護者、パパとママはどこにいる?教えてくれないか?……ああ、オレは不審者じゃないよ。魔物対策局の職員、天城暁だ。警戒しなくていいから。」
小さな子をびっくりさせて、いきなり逃げられたらまずい。
ここは慎重に、優しく声をかける。
オレの言葉を聞いて、あの子はゆっくりとこちらを振り向いた。
距離が近づいた今、オレはやっと彼女の姿をはっきり捉えた。
黒髪黒目の子供。真っ白な肌に、黒いドレス。まるで二色だけで構成されたような、浮世離れした存在感。
第一印象は──どこかこの世界に馴染まない、儚くて純粋な何か。
「……」
それでもあの子は、無言のままこちらを見つめるだけだった。
圧力を与えないよう、オレはしゃがみ込んで目線を合わせた。
「ねえ、キミのご両親はどこにいるの?」
「……ない」
やっと返事が返ってきたが、その声には悲しみも喜びも何も感じられない。
ただ無垢に、純粋に事実を述べているだけのように聞こえた。
なら、この子はまさか……でも、四肢にはしっかり肉が付いているし、容姿も綺麗すぎて孤児とは思えない。
「答えてくれてありがとう。なら、名前を教えてくれないか?」
「……ない」
名前もないのか。これは流石にまずい。保護機関に連絡を……いや、彼女は正体不明の魔法少女の可能性もある。そうなると責任は対策局が持つからオレたちが責任者。
本部に連絡するか?
「名前がないと不便だろ。一応、クロって呼んでみるのはどうかな?嫌なら別の呼び方に変えるよ。」
『クロ』って……黒猫につけるような名前けど、一時的にこれしか思いつかなかった。
あくまで仮の名前けど、……オレのネーミングセンスが悲しい。。
楽奈の時もそうだ。67番から「ラクナ」にしたのだから、ダジャレみたいなものか。
「クロ……クロ……クロ。クロで、『虚無』に意味をくれた……」
う、やっはり気に入らなかったのか。
「やっぱり変えた方が──」
「いらない。クロで良い。初めて、意味をくれた。」
なんだか妙に気に入ったようで、オレの言葉を止めた。
その瞬間、オレと彼女の距離が、ほんの少し近くなった気がした。
「なら話が戻るけど。クロちゃん、キミはどうしてこんな危険な場所に来たんだ?怪我したら大変だよ。」
「それ。」
彼女が指差したのは、後ろの壁の断片だった。
そこには何もない。ただの建物の残骸にしか見えない……いや、待て。何かおかしい。空間がわずかに歪んでいる。その歪みの形は──トカゲみたいだ!
隠されていたものが、隠蔽が破れたことで姿を現した。
その空間に色が浮かび上がる、朱色と白色のストライプで、巨大なカメレオン型の魔物!
その大きさは決して普通の生き物ではない。
魔物確認と同時に、オレは魔弾を装填した銃を抜きながら、腕の通信端末に緊急コードを発信した。
昨晩の魔女との激闘で小隊のみんなさんが疲れが残っているが、こんな隠蔽能力を持つ魔物は一人で相手にするのは少しきつい。
オレがどうすればに考えたの瞬間、カメレオンの左右別々にキョロキョロと動いていた目が、今は同時に一点を捉えていた……それは、動物ドキュメンタリーで見たことのある、紛れもない捕食の予兆だった。
狙いは、オレの前にいるクロ。
それに気づいた瞬間に、オレの変身条件が満たされ、勝手に魔人化が発動した。
迷いなく、あのカメレオンより一秒速い速度で黒い焔の中から鎖を射出。クロの細い腰に巻きつけ、こちらへ引き寄せる。
次の瞬間、さっきまでクロが立っていた場所が爆発した──あれは魔法ではない。
ただの舌攻撃。あの巨大なカメレオンが原型と似ている高速で舌を伸ばしただけで、地面が粉々に砕け散った。
(こいつは……オレに勝てる相手じゃない。今すぐ考えられる対策は、黒焔を纏って全魔力を燃やし尽くすまで、クロを抱えたまま逃げ回ることだけだ……!)
「『黒焔槍』!逃げますよ!舌を噛まないように口を閉じててください!」
黒い焔を纏った槍と、魔弾の真紅の軌跡がカメレオンに命中する。
この大きな目標なら外しようがない。
幸いクロの体重は軽く、オレは彼女を抱きかかえたまま、魔人化された身体能力で全力疾走した。
クロは抵抗もせず、ただオレの胸に預かるようにし、手足が速度でふらふらと揺れる。
黒焔の直撃を受けたカメレオンは一瞬スタンしたが、すぐに隠蔽しながら猛烈な速度で追いかけてくる。
車ほどの大きさの巨体が音もなく姿を消し、ただ沈黙と共に瓦礫を粉砕しながら一直線に距離を詰めてくる。
後ろから響く破壊音だけが、オレにその大まかな位置を知らせていた。
(どうすればいい……みんなが到着するまで時間を稼がないと!……考えろ、オレ!)
絶体絶命の状況で、様々な考えが頭を駆け巡る。
時間があれば魔力枯渇で倒せるが、今は期待できない。
鎖で高速移動?
ダメだ、今はオレとクロを狙っている。逃げている間に他の被害が出る可能性もある。
武器を作って戦う?
他人を守りながら戦う技量は、オレにはまだない。
なら、どうすれば──
「なぁ、なぁ。今はどうして走ってるの?」
「はあ、はあ……魔物からキミを救うに決まってるだろ!」
今まで大人しく、オレの忠告通りに口を閉じていたクロが、ふと話しかけてきた。
「うん?なら、喰われても大丈夫ー?」
その瞬間、異変が起きた。
オレの両手が、急にクロの体をすり抜けた。
慌てて手を伸ばすが、水を掴むように何も掴めない。
その異常で、カメレオンも一瞬動きを止めた。見えないが、こちらを警戒しているのだろう。
「──『虚無の少女』より移行、『虚構の魔法少女』」
クロの口からその言葉が零れた瞬間、オレの目の前で彼女の体が黒い流体へと溶け、重力に従って地面に黒い水溜まりとなった。
(クロ!?これは……どうして!?何が起きた!?まさか……!)
混乱する暇などない。
黒い水溜まりが逆流するように人の形を取り戻す。その姿は、紛れもない魔法少女だった。
変身と同時に、信じられないほどの膨大な魔力が彼女から溢れ出す。
こんなグロテスクで異質な変身をする魔法少女は見たことがない……記録にない「野生の魔法少女」か?
一方、弱い者を捕食するつもりだったカメレオンから見れば、まるでネコを追いかけていたらライオンに変わったようなもの。
ずる賢い魔物は即座に撤退を決め、隠蔽したまま逃げようとしたが──もう遅い。
「一口で丸吞み、『虚空の野獣』。あ~む」
変身したクロは、手で噛みつくような動きをした。
隠蔽状態のまま逃げていたカメレオンは何の声も上げず、忽然と消えた。
代わりにクロは、何かを食べるように口をもぐもぐと動かし……飲み込んだ。
「クロ、もしかしてそのカメレオン……魔物を食べちゃったの?」
「ダメ?吐き出す?」
「その、ダメじゃないけど……なんかワイルドな魔法だな……。これは命令じゃない、ただのお願いだけど、魔石だけは残してくれるかな?」
「良い。ぷいー、持って。」
クロは素直に同意すると、口から赤い魔石を吐き出してオレの手に落とした。
どろどろとした体液がべっとり付いているので、オレは慌ててハンカチで包む。
「その、一つ聞きたいんだけど。キミは本当にいくつ?」
あんな強さと魔力量からすると、絶対に突然覚醒した新米じゃない。
オレの質問に、クロは少し首を傾げて答えた。
「百?」
うわ、百歳以上!?いきなり原初クラスと遭遇したのか!?
「それより、その焔は『虚無』?クロと同じ《虚無》。その焔は魔力を燃やし尽くして虚無に帰還させる。同族も持てない虚無が宿すのは、きっと『魔力を抹消したいほどの憎悪』の欲望で生まれた魔法……なんか食欲が溢れてる。一口ちょうだい?」
そう言うが早いか、拒否する暇もなく、オレのまだ魔人化で燃える異形の右手を掴まれ、口に含まれた。
──同時に、オレの頭の中にカメレオンと遭遇した記憶がフラッシュバックし、急に怖くなる。
「かっぶ」っと、オレの人差し指が柔らかい唇に包み込まれた。
同時に、凄まじい脱力感が全身を襲う。今まで経験したどんなものとも比べられない速度で、魔力がドレインされていく。
(あり得ない!傷口はないのに、皮膚の厚い指でこの速度!?)
オレが焦るのも構わず、クロは無心にしゃぶり続ける。
柔らかい唇が指を優しく包み込み、蒸し暑い口内が熱い吐息で包む。
ねばねばとした唾液がすぐに絡みつき、関節をぬるぬると滑らせる。
湿った舌が指の腹を這い、ゆっくりと巻きつくように舐め上げ、先端をくすぐるように転がす。
「ぷはぁ~。ご馳走さまでした。あ、焔が灯った。」
やっと唾液が糸を引いて滴り落ちると共に解放されたオレの指は、クロの唾液でびしょ濡れになり、光沢を帯びて輝いていた。
そして彼女は、その指先にオレと同じ黒い焔を灯した。
「ねぇねぇ、見て見て……少しだけ食べたのに、どうして地面にひれ伏してるの?」
その言葉通り、オレは疲労のあまり地面に倒れ込んでいた。クロは上から無表情に見下ろしてくる。
「なに……それ……ブラックホールみたいな、魔力略奪速度……」
幸運か不幸か、彼女のおかげで魔人化していた部位もすべて元に戻っていた。
「でも、その魔力の味は『虚無』だけじゃない。あれは……『鏡面』、『智慧』の味も染みてる。こんなに多い同族と出会ってるのに死なないで、ここでクロも運命的な出会い……『運命』?蝶?……その貧弱な糸は虚無に縛れないから、錯覚?……まあ、仲良くの証明。クロがもっと『虚無』を染まれよ。」
一体何を言っているのか、オレは疲労でぼんやりとしか聞こえなかった──ただ一つ分かったのは、地面に倒れたオレの前にクロがちょこんと座り、頰っぺたに軽いキスをしてきたことだ。
その短い接触で、オレの魔力が完全回復し、疲労が一気に消え去った……本当になんなんだ、この子は破天荒すぎる。
まあ、無愛想なのにこんなに近くに来るのは悪くないが、一応魔物対策局に連れて情報を登録しないと。
「なあ、もし時間が許すなら──」
「もうマーキングしたから、クロは先に帰る。まだ会えるよ、クロに名前を与えた人。バイバイー。」
そう言い残すと、クロは手を振りながら黒い水に溶け、今回は水溜まりさえ残さずに消えた。
逃げられた……報告書はどうしようかな。
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「はあ……、色々ありすぎて、身体より心が疲れたな。」
オレは思わず、近くの建物の残骸を椅子代わりに座り込んだ。
「……あった!『瞬刻』、お兄さん大丈夫ですか!!」
「白雪さん!」
変身した雪菜が、いきなりオレの目の前に転移で現れた。
そういえば、オレは緊急コードを発信しただけで、危険解除の連絡をまだしていなかった。
雪菜は心配そうな瞳でオレの全身をくまなくチェックし……。
「こらそこ、ズボンを脱ぐのはやめてください。傷はないですから、そこまでする必要はありません。」
「ごほんごほん……少し失態しました……傷はないみたいですねー」
そう言った直後、雪菜は正面からオレにぎゅっと抱きついてきた。
「その、どうしたんですか?急に抱きつくなんて、甘えるつもり?」
オレが冗談めかして雰囲気を和らげようとすると、雪菜は光のない瞳を上げ、アホ毛がレーダーのようにびくびく動いた。
「おかしいです……わたしの直感が正しければ、お兄さんは新たな女性と出会って、近距離接触したはずです。でも、何の匂いも感じません……怪しいです。」
うわ、この直感……。確かに近距離接触はあったけど。
「確かに、オレが助けた子がいましたけど、彼女はもう帰っちゃいましたよ。ほら、オレは必死に逃げてたから汗臭いはずです。一応距離を取った方が……」
「嫌です。この連日でお兄さんが危険に遭いっぱなしだから、次の危険を防ぐために、わたしはもっと近くにいなくちゃいけません。」
「でも、匂いが──」
「やだ、離れません。その話はもう終わりです。」
雪菜が珍しくわがままを言う中、マイスターとフランに変身した彩音と奏も、建物の屋根からふわりと飛び降りて到着した。
まあ、彼女たちは寮から来てるから、到着時間も一緒か。
「なんか白雪ちゃんの様子を見ると、マイスターたちはもう遅かったみたいですー。危険事態はもう解除されたんですね!」
「そうみたいです。無事でよかったです。でも、しばらく変身を解かない方が良いかもしれませんわ。わたくしはそう思います。」
そして、ルカに変身した葵も、空をふわふわ飛んでやってきた……飛べる!?
「ち、遅くなってごめんなさい!うちはいつでも戦えます!」
「マイスターさん、フランちゃん、ルカさん!来てくれてありがとう。魔物はもう討伐したから、危険はありませんよ。」
オレは救援に来てくれた彼女たちに、心から感謝を伝えた。
楽奈は中央区の本部にいるから来られないのは当然──
「兄さん!大丈夫ですかー!」
「ぐえっ!??」
そう思った瞬間、後ろから強烈な体当たりが来た。
雪菜が前から抱きついていなければ、ぶっ飛ばされていたかもしれない。
見なくてもわかる。影から飛び出してきたシャドウ──変身した楽奈だ。
「ぼくが……もう終わった?」
「はい。」
「…………そっか。」
その返事は気まずさからか、いつもより少し間が長かった。なんだか申し訳ない。
結果、全員集合となった。
「その、なんだ……みんな聞いてくれ。このあと時間あるか?緊急コードに応えてくれたお礼に、スイーツでもご馳走させてよ。ちょうど最近、美味い店を知ったんだ。」
オレの言葉に、前回のデートを思い出したらしい奏が、じっくりとこちらを見つめてくる。オレも目線で応えた。
「もちろん行きます。お兄さんはわたしの視界から消えると、すぐに危険な目に遭うんだから。今日は一日、わたしの側から離れさせませんよ。」
雪菜が抱きついたまま、急に重い宣言をした。
まあ、これはオレが心配をかけたのが悪いから、仕方ない。
「本当!やったー!マイスターも参加する!」
彩音は相変わらず元気いっぱいに手を上げた。
「その、うちは何もしていないけど……みんなさんが行くなら、うちも参加します。」
葵はまだ少し遠慮がちだが、参加を決めた。
残るはオレの背中に顔を埋めている楽奈だけ。
「シャドウちゃんは?」
「……行きます。」
「それは良かったです。なら、全員で行きましょう!」
こうして、オレたちは廃墟を後にし、奏のお気に入りのスイーツ店へと向かった。




