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第48話・建て直すの日々・劫火の魔女⑩

第48話・建て直すの日々・劫火の魔女⑩


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第48話・建て直すの日々・劫火の魔女⑩


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世界が、強烈な色彩に塗り替えられた。


無数の色が渦を巻き、混ざり合い、溶け合う。


その果てに、周囲の空間は純白へと安定した。


心像共鳴の結界空間――純白の壁と床は、碁盤目状に同じ大きさの四角形で整然と分割されている。


壁面には、見たことのある彩音の作品がスポットライトを浴びて陳列され、幻想的な美術館の様相を呈していた。


しかし、世界の変化は楽奈と魔女・久那には影響を及ぼさない。


空間の中心では、二人が変わらぬ激しさで魔剣を交え続けていた。


「ようこそ、マイスターの美術館へ~!ねぇねぇ~、びっくりした?1ヶ月でこっそり開発した魔法だよ、すごいでしょう~?」


「マイスターさん、キミはいつの間にそんな魔法少女の奥義を使えるようになったの!?すごすぎるよ!」


彩音は魔人との戦いで心像共鳴の存在を知ったはずなのに、わずか1ヶ月でここまでの完成度……天才としか言いようがない。


「それは違いますよ?これはただ見たものを模倣した、模写――つまりフェイク、贋作です!詳しい原理は全部必要ないんです。戦いの始めからから溜めた全ての顔料を引き出せば、似たような効果を出せるだけ!マイスターがやるのはその見たこと『心像共鳴の殻を描く』ことと『具現化』するだけ。ここ結界内部の特性は、マイスターの記憶の中にある自分創作の作品を具現化できるんです!」


「……キミの魔法、便利すぎじゃないか。魔力は本当に大丈夫か?」


「それは大丈夫ですよ~!この展開に使った顔料は、高熱環境で無能状態の時にじっくり溜め込んだものだから、全然平気です!さあさあ、戦いに加勢しよ~!」


そう言い終えると、彩音は水彩筆の槍を構え、激闘の中心へと駆け出した。


「まさかのダークホース……自分も呆れたの……自分より早い展開速度でこの完成度。合理性より感覚優先の単純思考が、魔法にぴったり合ってるからこそ、この成長速度があるの?まあ、節約できた魔力は聖剣スキルで使いますがの!いくよ、ルファ!」

『はい、いつでも大丈夫です!』


残桜も聖剣を手に、戦いの中心へ走り出す。


――その瞬間、額に細い熱線が命中し、身体に貼っていた符の一つが燃え尽きた。


怒りを露わにした残桜は、火玉を次々と切り裂きながら突進する。


「わたくしはサポートします。《光よ、仲間に加護あれ》」


「わたしも距離制御に支援する!」


「僕は保有魔力を観測しながら、適宜アイテムを使いますか」


こうして、彩音の《空想美術館》の中で、最後の決戦が本格的に始まった。





*





激闘の中心で、ティルフィングとレーヴァテイン――影と烈陽の魔剣が、激しく刃をぶつけ合っていた。


「……『ナイフ』」


しかし、それは単なる剣技のぶつかり合いではない。


隙を見逃さない楽奈は、左手に影のナイフを即座に作り、投げつける。


「――塑炎・ナイフ――」


魔女も同じように火の暗器で迎撃し、二つの武器が空中で激突して火花を散らした。


「……まるで自分自身との鏡面戦みたい」


同じ足捌き、同じ間合いで暗器を放つ。衛星火玉は残桜が対処してくれているため、今の楽奈にはまだ余裕がある。だが、持久戦になれば圧倒的に不利だ。


「……なら、固有の考え方から抜け出す!」


ティルフィングを振り下ろす。魔女・久那はレーヴァテインでガードし、その固有魔法を発動する。


「――溶け、破滅の枝――」


しかし楽奈は同じ魔法を発動しない。右手には別の武器を生み出していた。


「……『ウォーハンマー』」


狙ったのはレーヴァテインではなく、刀背で叩きつける衝撃でガードを弾き飛ばし、魔女の体を両断する。大量の魔力が再生に消費された。


「――塑炎・天火の剣――」


魔女が即死効果を持つ黄金の炎剣を再び召喚した瞬間――


「此処はマイスターの美術館だよ、無断破壊はお断り~『極色彩、塗り潰し』」


彩音が水彩筆の槍を振るうと、黄金の炎剣は強烈な彩色の軌跡に塗り潰され、消滅した。


「――此処は燃え上がり荒野――」


魔女が新たに魔法を発動し、結界内に炎が一瞬で蔓延する。


「無断破壊はお断りって言ったじゃない!『装置芸術:大海原』」


彩音が槍を地面に叩きつけると、真白の床が一瞬で青い海に変わり、空も晴れ渡った大海原となった。


オレたちは水面の上に立っているような状態で沈むことはないが、広がった火は綺麗に消し飛んだ。


そっか、この空間は真っ白――すべては彩音のための空白の画布だったのだ。


火を消されたことで脅威と認定されたのか、魔女の標的が楽奈から彩音へ移り、突進してくる。


「熱情的な観客だな。『作品名:転移スポット』で帰りなさい!」


彩音は手元から渦巻く絵のフレームを取り出し、突進する魔女に向かって押しつけた。


瞬間、魔女・久那は遠方の同じ絵へと強制転移させられる。


「海と言えば、未知の超大海獣だよね~」


彩音はもう一枚のフレームを海の絵に投げ込む。


「ご覧なさい、『作品名:深海の襲撃』!」


深海に蠢く影が急速に膨れ上がり、黒い鰻を思わせる巨躯に斑な青い燐光を纏った巨大深海生物が海面を突き破り、魔女を一飲みにした。


そのまま黒い巨体は慣性で空へ突進し、落ちる途中で焔色の斬撃により内側から両断される。


「あっちゃー、生物の絵は耐久力が足りないみたい。地下街に描いたサメサウルスは再登場させない方が良さそう。シャドウちゃん、着地お願い~」


「……うん、その魚の影、借ります。『千刀万刃の剣山』」


両断された深海生物の巨大な影から無数の影刃が生まれ、魔女の着地点を剣の山に変えた。


「……影刃、射撃」


剣の山から無数の影の剣が空へ射出され、新たな刃が次々と生まれて空を埋め尽くす。


逆方向の剣の雨が魔女を襲い、レーヴァテインでガードするも、防御が追いつかず体中に影の剣が突き刺さっていく。


「……これで最後……!『トライデント』」


ティルフィングを手放して影に収納した楽奈は、大量の影を集めて空間を歪めるほどの巨大トライデントを創り出し、全力で投げつけた。


高速で飛ぶトライデントは魔女の胸を貫通し、そのまま海の作品が解除された石膏のような白い地面に釘付けにした。


「『拘束の鎖』、残桜!」


この好機を逃さず、やっと戦闘速度に追いつけたのオレは黒焔の中から金色の鎖を引き出し、魔女をぐるぐるに拘束する。封印効果付きで、レーヴァテインも簡単には切れない……まあ、二秒程度の猶予だが、それで十分だった。


そこに立つのは、すでに詠唱とチャージを終えた残桜。


「――これで終わりだの!!対魔力奥義変体、『滅魔・極光輝斬』」


極光の奔流が魔女・久那を飲み込み、影のトライデントごと鎖を破壊し、レーヴァテインを消滅させた。


「マイスターの結界が――!」


一直線に極光が突き抜け、彩音の《空想美術館》をも崩壊させる。





*





滅魔の極光が消えた後、そこに残されていたのは、全魔力を削り尽くされた、ただの六星久那だった。


周囲の火の柱も、炎の海も、一斉に掻き消えていた。


楽奈は急いで影転移し、久那の額に自分の身代わりの符を貼り付けた……なんだかキョンシーみたいな貼り方だったが、まあいい。


「今の時間は、23時56分……ギリギリだな。」


「……ねえ、これで大丈夫?終わり?」


楽奈がオレに尋ねたが、それを答えたのはオレの後ろから歩み寄ってきた残桜だった。


「まだあるの。それは零時に爆発する、あの魔法の残滓よ。ほら、周囲に巻き込むから距離を取ってくださいの」


残桜はオレたちに退避を促した。


オレは地面に横たわる久那を見下ろした瞬間――痛っ!?まだ頭に雑音が走る――


「――念のため」


オレは自分に貼っていた身代わりの符を一つ剥がし、久那の腕にそっと貼り付けた。


その後、全員と共に距離を取る。


「5、4、3、2、1、0……時間切れです。」


ドクターのカウントダウンと同時に、全員が息を詰めて久那の方を見つめた。


零時の鐘の音が響いた瞬間、何かがガラスが割れるような音が、『二(・)回(・)』連続して響き渡った。


その二回目の音と共に、オレたち全員の身代わりの符が一つ、また一つと燃え尽きた。


即ち、二回目の『砕魂』は広域型だった。


「うわ、最悪だよ!本当に悪趣味すぎる!」


珍しく雪菜が悪口をついた。


「二回……前回と違う……これはわざと、自分を罠に仕掛けるように……」


残桜も怒りを露わにする。


「ぐ、魂が震える~……変な感じ、吐き気がするよ~」


彩音は心底気持ち悪そうに地面にしゃがみ込んだ。


「これで終わった……が……変化、解除ー……はあ、やっとあの重い憂鬱から解放された。久那ちゃんは大丈夫だろうか?」


もう神域を維持する必要はないと判断した葵は《神域の聖騎士》を解除し、心配そうに久那を見つめた。


「葵ちゃん、それはダメだよ。警戒は解かない方が良いです。帰るまではまだ戦場ですから」


奏は変身を維持したまま、祈りで光の糸を蜘蛛の巣のように周囲に張り巡らせ、広域警戒を続ける。


「流石に僕も笑えないな……バイタルサインは安定している。身代わりの符はちゃんと効果を発揮したみたいだ。」


ドクターは複雑な表情で久那に近づき、杖の手袋から医療機材を取り出して簡易検査を始めた。簡単の診察が終わった後、やがて浮遊担架に彼女を寝かせた。


「……兄さん、本当にありがとう。もし、その符を渡してくれなかったら、久那ちゃんは救えなかった。心から感謝する。」


そして最後に、楽奈はオレに向かって深く頭を下げた。


「オレに感謝は要らないよ。ただ嫌な予感が……まだあの変な幻視かもしれない。だから頭を上げて、気にしないでくれ。」


簡単な検査が終わると、ドクターは担架ごと久那をこちらへ運んできた。


「みんなさん、集合~!!!」


ドクターの声でオレたちは彼女の元へ集まった。担架の上では、久那が静かに眠っている。


「簡単に検査したけど、久那ちゃんの命に別状はないよ。もう大丈夫みたいさぁー。今の状態は魔力切れと魔女化の反動による気絶だ。いつ意識が戻るかは僕にもわからないけど、念のため本部の医療施設で観察した方がいいね。」


「……ぼくも同行する。」


「いいよ~!彼女が目を覚ました時、知っている人が傍にいた方がいいだろ!残桜ちゃん、転移お願い致します。」


「はいはい、わかりましたの。任務完了、全員戻るの!」


こうして、この特殊任務『劫火の魔女』は――全員無事……とは言えない結末を迎えた。


葵は無傷だったが、残桜は三回、他の仲間たちは二回、それぞれ「死」を経験した。


幸い、結果的に全員無事にこの溶けた廃棄工場から帰還することができた。


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・ドクターの任務報告


「正直、久那ちゃんの魔女化はかなり厄介だったの。儀式魔法のカウントダウン、熱線、火の猛獣、常時炎化、即死級の天火の剣、レーヴァテイン……全部が噛み合って『時間を稼げば勝つ』という最悪の設計になっている。」


「でも、暁くんの黒焔による内側からの崩壊、マイスターの《空想美術館》を魔力回復を封じ、そして勇者残桜ちゃんとシャドウちゃんの執念がなければ、本当に全滅していたね。」


「僕の観察で、弓月葵と天城暁は安定性のテスト通過する。安全性は保証する、正式の戦力として登録は大丈夫。」


(特殊任務劫火の魔女・六星久那。報告作成・本部開発担当:ドクター)


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攻略とギミック:魔女化の六星久那

核心感情:憤怒、傲慢、慈悲、自己犠牲。その魔女化は強制の原因で外現は無い。


・魔法


《火の魔法》:元素系。火を自在に操る基本魔法。

《炎帝の軍勢》:火を自由に変形させ、任意の形とそれに相応しい性質を付与できる高等魔法。攻撃・防御・召喚のすべてをカバーする。




・ギミック


→神殿完成までのカウントダウンが存在する。四本の炎の柱が完成すると、魔女は消極状態から狂暴状態へ移行。全員即死級の即死攻撃が確定する。


→温度どんどん上昇する焦熱地獄:周囲の温度が徐々に上昇。マグマに泳げないなら、適切な耐熱・防御対策。防御しないと死にます。


→頭上の火の光輪から超遠距離精密熱線狙撃は普通攻撃みたい射撃する、自重無視で連射可能。一発でも直撃すれば即死。


→一定距離まで近づくと火炎の猛獣軍勢を無限召喚。範囲攻撃持ちがいないと突破不可能。時間経過で幻想生物級の個体も出現。


→接近戦に入ると衛星火玉を召喚する。自律的に弱い熱線を連射。破壊しないと数が雪だるま式に増加し、追撃だけで全滅する。


→レーヴァテインに切られた傷に不治の呪いが付与。固有魔法「溶け、破滅の枝」に触れると全身が溶解して即死。


→常態炎化の身体を炎に変換し続けるため、元素系魔法や対魔力攻撃だけ効く。


→天火の剣は敵対人数分に分裂すれば、防御貫通・回避不能の即死攻撃が飛んでくる。ソロ挑戦は確実に死亡(B計画でドクター一人に任せた場合も即死確定)。




・攻略ポイント


→ほぼ動けない儀式中は、数の暴力による遠距離飽和攻撃が有効。ただし熱線返しに注意。


→遠距離火力不足の場合は、熱風を耐えながら火の猛獣の海を突破。


→最善は火の柱から魔女を引きずり出し、正面決戦に持ち込むこと。


→ソロは絶対に不可能。諦めろ。

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