第15話・嵐の前の静け・番外・月見奏:新たな未来
第15話・番外・月見奏:新たな未来
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«これは月見奏の、過去の記憶。≫
わたくしの人生を変えた昔話。
……といっても、きっと大した話ではありません。
元々のわたくしは、ごく普通の子どもでした。
お父さまとお母さまは忙しく、わたくしと過ごす時間は少なかったけれど――それでも、大丈夫だと思っていました。
「お前は、ただの想定外だ」
そう言われたこともあります。
けれど、愛されていないと考えるのは、怖かった。
勉強を頑張れば。
良い子でいれば。
いつか、ちゃんと見てもらえる日が来る。
……そう、信じていました。
でも、あの日から。
わたくしの生活は、音を立てて壊れていきました。
わたくしは、希少な不治の病を患いました。
最初の頃、お父さまとお母さまは、ちゃんと病室に来てくれました。
だから――少しだけ、嬉しかったのです。
*
病院の中は、いつも同じ景色でした。
検査機器の音が、わたくしの日常。
不満はありませんでした。
本を読めば、時間はいくらでも潰せます。
……ただ。
わたくしの病室を訪れる回数は、少しずつ減っていきました。
そして三年後。
十五歳になったわたくしに会いに来るのは、病院の皆さんだけ。
考えたくはなかったけれど――「捨てられた」という事実を、理解してしまいました。
その日、ひとりで医師から告げられました。
病状は悪化し、残された時間は、数日だけ。
朦朧とする意識の中で、感情が混ざり合います。
『絶望』、『孤独』、そして――
誰にも迷惑をかけなくて済むという『安心』。
「……誰か、助けて……」
思わず、口に出していました。
その瞬間――奇妙なことが起こりました。
身体が、急に軽くなったのです。
いつも感じていた痛みも、苦しさも、消えていました。
驚いてベッドを降りると、いつの間にか、病院着ではありませんでした。
幾重にも重なる白いヴェールの聖衣。
絵本に出てくる、花嫁のドレスのような姿。
手には、銀白色の十字杖。
……いま思えば、あれが、わたくし最初の魔法
死ぬはずだったわたくしは、生きていました。
でも、何を考えればいいのか、分かりませんでした。
『誰にも迷惑をかけない』
その思いだけで、わたくしは病院から逃げ出しました。
*
目的のない逃亡。
最後に辿り着いたのは、橋の下でした。
ぼんやり座り込んだわたくしの前に、黒いローブをまとい、鎌を持つ人影が現れました。
「ああ……これが、最期に見る夢……わたくしは、ベッドから降りる訳はない……」
抵抗する気力もなく、目を閉じた、その瞬間――
――『バーン!!』
銃声。
目を開けると、拳銃を持った男性が走ってきていました。
放たれた弾丸が、鎌の軌道を逸らし、地面に突き刺さります。
これが――暁お兄ちゃんとの出会い――まるで物語の英雄、王子様のようでした。
暁お兄ちゃんは、わたくしを抱き寄せ、距離を取ります。
「こちら暁!未知の魔物と遭遇!鎌を持つ死神型――データなし!少女一名を保護、増援を要請する!」
通信を切った後、わたくしに、優しく声をかけました。
「大丈夫。怖かったよな。オレは天城暁、魔物対策局の人間だ。キミは、オレが守る」
……守る。
わたくしを?
夢の中でしか聞いたことのない言葉に、わたくしは、ただ頷くことしかできませんでした。
戦闘は続きます。
弾丸は死神をすり抜ける――けれど、鎌だけは、衝撃を受ける。
「久々の散歩でこんな厄介なやつと遭遇した……雪菜さんと彩音さんもいない、手元の六発の『魔弾』で何度か処理しないと」
暁お兄ちゃんは呟きながら、距離を保とうとします。
けれど、わたくしを抱えたままでは、限界がありました。
傷が、増えていく。
(……少しでいい、止まって)
そう祈った瞬間――虚空から、四枚の光の鎖が現れ、鎌を縛りました。
「え……?」
「……キミ、野生の魔法少女!?ナイスタイミング!死神は罠、魔石は――あれだ!」
暁お兄ちゃんは銃を持ち替え、赤い光を纏った弾丸を放ちます。
鎌に飾られた無数の宝石の中に、ただ一つ目ただないなルビー。
そこを撃ち抜いた瞬間、鎌は粉砕され、魔物は消えました。
*
「ああ、推測通りでよっかた~もし推測が違うならどうしよう」
「あの、一体何があったの、どうして死神が消えたの」
わたくしは思うわっずに質問する。
「キミを襲うのは死神の魔物じゃない、『鎌の魔物』の方が正解ただ。自分の致命弱点として魔石を鎌の上に『ルビーの飾り』に偽装して、悪趣味な魔物だな。」
暁お兄ちゃんはわたくしを降りって、地面に落ちた赤い破片に指で示す。
「あの鎌だけで実体があるのは不自然に感じた。弾丸は死神をすり抜ける、普通の魔物なら魔力の無い攻撃が受けた時は衝撃を受けるはず。だからそう思うた、『あの死神のようなものは魔法で作られたの幻覚』って。そう、幻覚こそあの魔物の魔法。」
わたくしに説明と同時に、多くの人が到着しました。
テレビで見たことのある、有名な魔法少女たちもいます。
その中で、二人の魔法少女が――
「お兄さんーーーっ!!」
「暁ーーーっ!!」
……タックルでした。
「ぶっへー!!」
さっきまで英雄みだいカッコイイく暁お兄ちゃんは、そのまま気絶しました。
「魔物の気配はいない、あの野郎まさか逃げましたの!?お兄さん大丈夫!もう気絶する!?早く人工呼吸しないと」
白雪さんは鬼のような恐ろしい表情で周りを警戒する、テレビに見た凛々しいより鞘から抜け出すの刀ように恐ろしい。
「暁!マイスターが来ましたなら~誰にも暁を傷つけない......あれ、暁?気絶する?」
マイスターさん本人はテレビと同じふわふわに見えるけど、目はとっても冷たくて、怖い。
あれ、暁お兄ちゃんは魔法少女の『協同攻撃』で気絶するなら、事件に説明するのはわたくしで?
*
こうして、わたくしは魔物対策局へ。
診察を受け、十五歳で魔法少女として登録されました。
最後に、職員さんから問われます。
「奏さん。支援を受けて、普通の生活に戻りますか?それとも、魔法少女として戦いますか?」
戦いは怖い。
でも、命を救われた恩を返せない方が、もっと怖い。
「……戦います」
そう答えました。
好きだった本のお姫様の名前を借りて、『魔法少女名は――フラン』。
後から知りました。
一般人が魔物を討伐した例は、極めて稀だと。
……雪菜ちゃんと彩音ちゃんのタックルで折れた骨は魔法で治療されるけど、その功績で貰った休暇は無駄になる。
だから、もっと。
もっと、頑張ります。
*
……あの黒歴史、わたしは顔を赤くして俯く。
「その……あの時は、暁さんが襲われて……冷静じゃなくて……」
「あはは。あの頃の彩音も必死だったし、ごめんね」
「い、いえ……今では、いい思い出です」
小夜が手を挙げた。
「アタシも覚えてるよー。三年前だよね?まさか、おにいに看病するなんで」
「……ぼくは初耳」
「じゃあ、これからいっぱい記憶作ろう!」
「そうですね。次は、楽奈さんの番です」
「……うん」
皆は静かになり、
楽奈の物語が始まった。
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月見奏
魔力と共鳴した願いは「自分を助けてください」
→《祈りの魔法》祈りによって自律発動する光属性魔法、細かい制御と魔力管理は不可、その代わりに汎用性が極めて高い。
→覚醒前の病弱姿が残されたけど、健康上の問題なし。
→心像投影の杖は刃のない十字の銀杖。性格もそれを反応する、攻撃性はない弱気の努力家、他人に迷惑をかけることを極端に嫌い、強がる癖あり。
→ 基本は防御と支援に徹する、障壁の中から一方攻撃するの「不動要塞」型。
→ 仲間が危険に晒されると祈りが「自分の弱さに悲嘆」に反転、光で限界まで自己強化し、エンチャントで特大剣と化した銀杖で近接戦闘を行う。




