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最強ツンデレ闇令息に近づいたら溺愛されました  作者: Karamimi


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第86話:マリオネットの願い~サターン視点~

 2人で中庭へと向かう。すると、俺たちの姿を見た庭師が、一目散に逃げて行った。自分の置かれている状況を、理解している様だ。


 そんな庭師に、全く気が付かないマリオネット。よほど嬉しいのか、ピンク色の花まで頭から飛ばしている。花を飛ばしている人間など、一度も見た事がない。


 やはりマリオネットには、何か不思議な力が宿っているのかもしれないな。


「サターン様、ここに座りましょう。このお花、私が育てたのですよ。綺麗でしょう」


 ここはどこだ?マリオネットに見とれていたら、見た事のない場所へとやって来たのだ。


「実はこのお庭は、私が自ら花を植え、育てたのです。とても綺麗でしょう?」


 嬉しそうに花々を見つめるマリオネット。


 その時だった。


 “ここの一角には、カスミソウを植えましょう。ピンクを中心に植えたいの。手配してくれるかしら?”


 “もちろんです、ですがせっかくマリオネット様直々に手掛けるお庭です。華やかなバラなどの方が、よろしいのでは?”


 “いいえ、カスミソウにするわ。カスミソウは派手ではないけれど、小さなお花がとても可愛らしいし。きっとサターン様も、気に入って下さると思うの”


 切なそうにその場所を見つめるマリオネットの姿が。さらに場面が変わると、今度は1人で花の手入れをしているマリオネットが映し出される。


 “あなた達、順調に育っているわね。この花が咲くころには、サターン様も目覚めてくれるかしら?あなた達、どうか私の願いを届けて…サターン様が、どうか目を覚ましますように”


 マリオネットが何度も何度もそう呟きながら、花を世話をしている。


 さらに場面が変わり…


 “お嬢様、今日もお庭のお手入れをしておられましたね。侯爵令嬢が、自らお世話をするだなんて…あなた、庭師でしょう?お嬢様に自分が世話をするからと、話してくれない?”


 マリオネットの専属メイドと、庭師が話しているシーンに変わった。


 “それは無理ですよ。マリオネット様は、強い意志を持ってカスミソウを育てられているのです。知っていますか?ピンクのカスミソウには”切なる願い・叶えたい強い願望“という花言葉があるのです。


 マリオネット様はこのカスミソウを通じて、お坊ちゃまが目覚められるのを切に願われながらお世話をしているのです。そんなマリオネット様の気持ちを無下にする事など、私にはできません“


 “そうだったのですね…ごめんなさい、私、知らなくて…お嬢様が最近無理をされている様で、心配だったのです”


 “それは庭師でもある私も、同じ気持ちです。ですが、今はみまもりましょう”


 マリオネット…君って子は…


「…様、サターン様、一体どうされたのですか?大丈夫ですか?サターン様?」


 心配そうに俺の顔を覗き込むマリオネット、その瞬間、我に返った。今の映像は、俺が意識を失っている間に、この場所で起こった出来事なのだろう。


 無意識に魔力を使って、見てしまったようだ。


「サターン様、大丈夫ですか?お体の調子が悪いのですか?それなら、一度お部屋に戻りましょう」


「いいや、問題ない。この花は、マリオネットが育てたのかい?この小さな花が沢山咲いている花、初めて見たよ。カスミソウというのだっけ?」


「そうですわ、サターン様、このお花の名前を知って下さっていたのですね。嬉しいです。私、このお花が大好きなのです。1つ1つは小さいけれど、こうやって纏まるととても綺麗でしょう」


「そうだね、ピンク、白、青、色々な色があるのだね」


「はい、そうですわ。サターン様は、カスミソウが気に入ったのですね。ちなみにサターン様が目覚められたときも、ピンクのカスミソウが飾られていたのですよ」


「そうだったのだな…すまない、気が付かなくて」


「そんな事はいいのです。だってサターン様が目覚めてくれたから。さあ、お茶が冷めてしまいますよ。飲みましょう」


 マリオネットが美味しそうにお茶を飲み、お菓子を頬張る。


 そんな彼女が、増々愛おしく感じるのだった。

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