第85話:正真正銘俺の妻だ~サターン視点~
「お礼を言われる様なことは、しておりません。俺はただ、マリオネットに危害を加える奴を、排除しただけですので」
そう、マリオネットの近くをうろつく害虫を、駆除しただけだ。ただ…まだ完全に駆除できていないようだが。
あいつらの始末はおいおい行うとして、今はマリオネットとの結婚が先だ。
「それではこちらに、サインをお願いいたします。サターン坊ちゃまがお目覚めになられましたので、そのままご本人のサインで問題ありません。皆様、サインをお願いします」
執事が書類を持ってきて、それぞれがサインをしていく。
そして全ての書類にサインを終えた。
「それではこちらの書類を提出して参ります。これで晴れてお2人は、ご夫婦になられました。おめでとうございます」
そう言うと、執事が足早に部屋から出て行った。
「サターン殿、マリオネット、結婚おめでとう。今日から君たちは、正式な夫婦になった。近いうちに結婚披露パーティも行わないといけないでしょう。ディーズ公爵、その件も早急に進めて行きましょう」
「結婚披露パーティか。そうだね、近いうちに手配しよう。サターン、マリオネット、それでいいかい?」
結婚披露パーティだと?ただでさえマリオネットは、人気が高いんだ。わざわざ男どもを呼んで、マリオネットの美しさを見せる必要などない!
だが、マリオネットは友人も多いし、それに結婚披露パーティを楽しみにしていた。俺にはよくわからないが、ウエディングドレスを着る事が夢だと言っていたし…
チラリとマリオネットの方を見ると、目を輝かせていた。きっと結婚披露パーティに、胸を躍らせているのだろう。マリオネットが望むことは、何でも叶えてやりたい。正直あまりマリオネットを世間に晒したくはないが、仕方がないか…
「俺たちもそれでいいです。それから、婚約披露パーティは、マリオネット主体で決めていく方向でお願いします。マリオネット、婚約披露パーティは、君が主役だ。君がやりたいようにやればいい」
「よろしいのですか?嬉しいです。サターン様、大好きです。素敵な婚約披露パーティにできるように、頑張りますわ。皆様に私たちの幸せな姿を、沢山見せ付けましょうね」
幸せな姿を見せつけるか…それも悪くはないな。
「それじゃあ、マリオネットがパーティの指揮を取るという事でいいね。もちろん、私たちも協力するから」
「マリオネット、私もレアちゃんも協力するわ。レアちゃん、ずっとあなたの結婚披露パーティを心待ちにしていたのよ。きっと喜ぶわ」
「まあ、レアが?嬉しいけれど、あの子は今妊娠中でしょう?あまり無理をさせる訳にはいかないし。それに私、レアの時はあまり協力出来なかったのよね…レアには来てもらえるだけで、十分よ。そう伝えておいて」
レア?ああ、あの王女か。マリオネットの兄と、結婚したのだったな。もう懐妊しているのか。やはり半年というブランクは大きいな。この半年、マリオネットには随分と寂しい思いをさせてしまったのだろう…
そっと彼女を抱き寄せた。
「マリオネット、この半年、君には随分と無理をさせてしまったね。すまなかった…これからは俺の傍で、ゆっくり過ごしてくれ」
もう君には苦労をかけないから。
「ありがとうございます、もちろんサターン様の傍に、ずっといますわ。これからは2人で、誰よりも幸せな家庭を築いていきましょうね」
幸せな家庭…我が家には縁のないものだと思っていた。だが、マリオネットなら、そんな家庭も築けるのではないか。そう確信した。
「それじゃあ早速私とファレリス侯爵、夫人は結婚披露パーティの招待客の洗い出しなどをおこないましょう。日時もある程度こちらで決めてもいいね?」
「ええ、構いません。ただマリオネットの準備もありますし、招待客はこちらでも考えたいので、あまり勝手に話を進める様なことはしないで下さい」
「ああ、分かっているよ」
「それでは俺たちはこれで失礼いたします。マリオネット、行こうか」
「はい」
マリオネットの手を握り、部屋から出ていく。
「サターン様、今日はお天気がいいので、中庭で一緒にお茶をしましょう」
「…ああ、構わないよ…」
本当は部屋でマリオネットと2人きりでゆっくり過ごしたかったのだが…こんなにも嬉しそうな顔をしているマリオネットを見たら、断る事なんてできない。




