第80話:少し落ち着いたようです
「ちょっと待ってくれ、マリオネットは何か勘違いをしているのではないのかい?俺は別に、父上や使用人たちと仲良くするつもりはない。俺はただ…いいや、何でもない」
頭を押さえて、サターン様が座り込んでしまった。まさか、また体調が悪化したのかしら?よく考えたら、サターン様は半年ぶりに目覚めたのだ。少し連れまわしすぎた様だ。
「サターン様、大丈夫ですか?ごめんなさい、あなた様は今日、半年ぶりに目覚めたばかりでしたね。それなのに私ったら、連れまわしたりして。さあ、ベッドでお休みください」
急いでサターン様をベッドに寝かした。
「俺は別に、体調が悪い訳では…いいや、何でもない。マリオネット、君のオーラを受けると、俺の体調が良くなるみたいだ。さあ、こっちにおいで。俺の傍にずっといてくれるよね。体調がよくなるまで」
「ええ、もちろんですわ。私が出来る事なら、何でもいたします。ですので、どうか無理はしないで下さい」
「ああ、分かっているよ。君をこうやって抱きしめて休んだら、すぐに元気になる。午後には、君の両親も来る予定だしね。それまではこうやって、くっ付いていよう。そうすれば体調も、すぐに戻るよ」
「分かりました、それでは両親が来るまで、ここで休んでいましょう」
私がくっ付いていると、サターン様の体調がよくなる様だ。
1日でも早く、サターン様の体調がよくなってくれたら、そう思い、ギューッとサターン様にくっ付いた。
温かくて心地いい。
ダメだ、なんだか無性に眠くなってきた…急に瞼が重くなり、ゆっくりと瞳を閉じたのだった。
*****
「マリオネット、そろそろ起きて。マリオネット」
まだ眠いわ。
「マリオネット、そろそろ準備をしないと、君の両親が来てしまうよ」
サターン様に抱き起された。もうそんな時間!いつの間にか、眠ってしまったようだ。
「ごめんなさい、私、いつの間にか眠ってしまっていた様で。すぐに着替えて参りますわ」
服のままベッドで眠ってしまったせいで、着崩れを起こしてしまっている。一旦着替えをするため、部屋に戻ろうとしたのだが
「わざわざ着替えなくてもいいよ、こうすればほら、服も整ったよ。さあ、行こう」
サターン様が指をぱちんと鳴らすと、着崩れは落ち着き、着替えたてのように美しくなった。
「あなた様は、目覚めたばかりなのですよ。そんな風に魔法を使ってはいけません。とにかく、もう魔法は使わないで下さい」
着替えればいい事なのに、魔法で服を整えるだなんて。1つ1つの小さな魔法でも、それが積み重なれば、体への負担も大きくなる。
「俺の体を、心配してくれているのかい?どうやらマリオネットの持つ愛のオーラを受けると、すぐに魔力も回復するのだよ。多少使っても、こうやってマリオネットに触れれば、すぐに回復するから。
マリオネットが傍にいてくれる限り、俺は無敵だよ」
そう言って笑うサターン様。
「本当に体への負担はないのですか?魔力を使う事で、寿命が縮まったりしないという事なのですか?」
「ああ、そうだよ。俺たち魔力持ちは、毎日無意識に魔力を使っている。もちろん魔力も作られるが、年齢が上がるにつれて、生成されるよりも減っていく方が多くなっていく。俺たち魔力持ちは、魔力が無くなると生きていけない。
そのせいか、魔力が底をつき、命を落とすんだよ。魔力量が多いと、使う量も多いからね。魔力量が多ければ多いほど、短命だと言われていた。
だが、マリオネットの持つオーラには、膨大な魔力を作り出す力がある様で、たとえ膨大な魔力を使ったとしても、同等に魔力を作り出すことが出来るようなんだ。
父上もその恩恵を受けた様で、今ではすっかり元気だろう?だから俺は、マリオネットが俺を愛し、傍にいてくれる限り、魔力を失って命を落とすことはないのだよ」
なるほど、それじゃあ少しくらい魔力を使っても、問題ないということなのね。
「分かりましたわ。ですが、無理はしないで下さいね。それでは行きましょう」
その後サターン様と一緒に客間へと向かい、無事籍を入れる事が出来たのだった。
※次回、使用人たちの苦悩です。
よろしくお願いします。




