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最強ツンデレ闇令息に近づいたら溺愛されました  作者: Karamimi


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第72話:ちょっとだけ…

「それじゃあ、私たちもそろそろ帰るわね。また明日来るから」


「ええ、お待ちしておりますわ。お父様、お母様、今日は本当にありがとうございました」


 改めて両親にお礼を言う。


「お礼を言う必要はない、私たちは当たり前の事をしただけだ。私たちはいつも、マリオネットの幸せを誰よりも願っている。マリオネットにとってこの屋敷にいる事が、一番の幸せだからね」


 そう言って笑ったお父様。隣でお母様もほほ笑んでいる。いつも私の味方でいてくれる両親、本当に心強い存在だ。


 両親を見送った後は、サターン様のお部屋へとやって来た。


「サターン様、聞いて下さい。明日私たちは、正真正銘の夫婦になるのですよ。やっとあなた様の妻になれるのです。こんなにも素晴らしい事はありませんわ。


 これからもずっと一緒です、だからどうか、生きて下さいね」


 そう伝え、そっと口づけをした。今日も温かい…


「お嬢様、お食事の時間です。すぐに準備しますね」


 今日は久しぶりに、サターン様のお部屋に食事が運ばれてきた。最近はお義父様と一緒に食事をしていたが、どうやら明日の準備で出かけている様で、今日はサターン様の傍で夕食を頂く。


 食後は自室に戻り、湯あみを済ませて再びサターン様の部屋にやって来た。その後は領地経営に関する勉強を行う。


 そして…


「サターン様、そろそろ休みますね。おやすみなさい」


 サターン様の耳元で、そっと呟いた。明日にはサターン様は、正真正銘私の旦那様になるのだ。そう思うと、嬉しくてつい興奮してしまう。


「お嬢様、一体何をなさっているのですか?いけません、殿方のお布団に入り込むだなんて」


 なんだか今日は、サターン様と離れたくなくて、そっと彼の布団に入り込んだのだ。だが、すぐに使用人に見つかり、怒られてしまった。


 サターン様の大きな体から伝わる、温かな温もり。この温もりを味わってしまったら、そう簡単に抜け出す事なんてできない。


「お嬢様!」


「そんな大きな声を出さないで。明日には、私はサターン様の妻になるのよ。少しくらい、サターン様のベッドに入っても、罰は当たらないわ。それに、サターン様に何かするつもりもないし。


 こうやって抱き着いているだけで、とても落ち着くの。お願い、少ししたら布団から出るから、もう少しこのままでいさせて」


 あと少しだけ、この温もりを感じていたい。さらにサターン様にしがみつく。まるでサターン様が、抱き枕のようになっているのは、気にしない様にしておこう。


 そんな私を見た使用人たちが、はぁっとため息をついた。


「お嬢様ったら…仕方がありませんね。少しだけですよ」


「ありがとう、ちなみに明日私はサターン様の正式な奥さんになるのだから、呼び方も奥様に替えてちょうだいね」


 すかさず使用人たちに、リクエストを出す。せっかくサターン様と結婚するのに、いつまでも“お嬢様”呼びは嫌なのだ。サターン様の奥さんになった事を実感したいし、何よりも奥様と呼ばれたい。


「お嬢様は本当に。分かっております、明日からお嬢様は、ディーズ公爵家の人間になるのですから。しっかりと若奥様と呼ばせていただきますわ」


「ありがとう、皆ももう疲れたでしょう。もう少ししたら私も部屋に戻るから、もう上がってもいいわよ」


 そう伝えた時だった。


「お嬢様!サターン様の体が今…」


 1人の使用人が、声を上げたのだ。


「えっ?サターン様に何かあったの?」


 飛び起きてサターン様の方を見るが、特に何も変化はない。心臓もしっかり動いている。一体どうしたというの?


「申し訳ございません。今確かにサターン様の体が、かすかに光ったように見えたもので…」


「私も見えました。ですがもしかしたら、月の光で体が光ったように見えたのかもしれませんね」


「もう、大丈夫?きっと疲れているのよ。ほら、上がってゆっくり休んで」


「それでは私たちは、これで失礼いたします。お嬢様、くれぐれもご自分のお部屋に戻ってくださいね」


「ええ、分かっているわ。それじゃあまた明日」


 使用人たちが部屋から出ているのを、笑顔で見送る。


 そして再び、サターン様の布団にもぐり込み、ギュッと抱き着いた。やっぱりサターン様の温もりは、落ち着くわ。


 何だか眠くなってきた、そろそろ部屋に戻らないと。でも、眠くてたまらない。


 あら?今サターン様の手が、かすかに動いたような…


 きっと気のせいね、眠くてたまらないから、頭が錯覚を起こしているのだろう。もうダメだ、部屋には戻れそうにない。


 明日潔く使用人に怒られよう。


 おやすみなさい、サターン様。

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