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最強ツンデレ闇令息に近づいたら溺愛されました  作者: Karamimi


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第63話:私の決意

 “いよいよ決戦の時だ!俺は絶対に負けない。絶対に死なない。これからもずっと、マリオネットをこの手で守る。マリオネットの笑顔を、ずっと傍で見守る。彼女の大切な人も、傷つけさせない。


 この戦いに勝って、マリオネットと結婚する!だからどうか待っていてくれ、俺の帰りを。マリオネット、愛しているよ“


 最後のページには、そう力強い字でつづられていた。サターン様の、強い意志が感じられる、まさに魂を込めた言葉が並んでいた。


「サターン様…ずっと1人で苦しんできたのですね。ごめんなさい、私、サターン様の気持ちも知らずに…自分の事ばかり考えておりましたわ」


 そっとノートを抱きしめた。ふと周りをみると、魔力に関する本が恐ろしいほど並んでいた。こんなにたくさんの魔力の本が…


 その時だった。


「マリオネット様、そのノートは…」


 やって来たのは、1人の男性だ。


「あなた様は…」


「はい、私はサターン坊ちゃまの血縁に当たる魔術師、グーレスと申します。幼い頃より、坊ちゃまを支えてきた魔術師の1人でございます」


「まあ、魔術師様だったのですね。失礼いたしました」


「いえ、私たちの存在は、公にはされておりませんので。私は前公爵の妹の息子、現公爵と従兄弟関係に当たります」


「まあ、そんな方がサターン様を支えて下さっていたのですね。魔術師の方たちは、皆ディーズ公爵家ゆかりの方たちだとおっしゃっておられましたね」


「はい、そうです。ですが、近年は魔力を使えるものたちの老年齢化が進んでおり、私もいつ命を落とすか分からない状況でして。私には子供が居りません。他の魔術師たちにも、なぜか子供が出来なかったのです。


 ぺスタナ殿下の前では、強がってあのような事を申し上げましたが、実は我が国も魔法使いは既に絶滅寸前なのですよ」


 そう言って力なく笑ったグレース様。


「坊ちゃまは、魔力を嫌っていましてね。とはいえ、唯一魔力を受け継ぐ一族、ディーズ公爵家の次期当主として、最低限の魔力は学んでいましたが…そんな中、ある日を境に、恐ろしいほど魔力の勉強をされていました。


 我々魔力持ちは、魔力を使えば命が削られる。でも、どうしても魔力を使わなければいけない場面も出てくる。特に今回の件もありましたし。


 坊ちゃまもあまり長生きは出来ない、そう感じていらしたのでしょう。それならそれでいい、昔はそう言っておられた坊ちゃまも、今では生きる事に執着していらしたのですよ。


 きっとマリオネット様が、坊ちゃまの心を動かしたのでしょう」


「私がですか?」


「はい、そうです。坊ちゃまは“マリオネットを1人置いて早死にする訳にはいかない。俺が早く死んだら、マリオネットが悲しむから。1秒でも長く生きたいんだよ”


 そうおっしゃっておられました。いつも無表情で、不機嫌そうな顔をしている坊ちゃまが、マリオネット様の話をするときだけは、とても嬉しそうに笑うのです。


 きっと坊ちゃまの中では、マリオネット様が全てなのでしょう。あなたこそ、坊ちゃまの生きる希望なのですよ。だから嫌いな魔力の勉強を必死にして、少しでも長生きできるように日々勉強をしておられました。


 今だってそうです。本来ならもう、命を落としてもおかしくはない状況なのに、必死に心臓を動かしている。きっと“絶対に死なない、生きたい”そんな強い思いが、心臓を動かしているのでしょう。


 それもこれも、全てマリオネット様のお陰なのです。坊ちゃまを愛して下さり、本当にありがとうございました」


 深々と頭を下げるグレース様。


「お礼を言うのは、私の方ですわ。サターン様の事を色々と教えて下さり、ありがとうございます。まさかサターン様が、私の為に必死に長生きしようと考えて下さっていただなんて」


 サターン様の強い思いが、私の心を動かす。彼の存在が、私を強くしてくれる。


 いつまでも泣いてなんていられない、私も前を向かないと。


「マリオネット様、その…坊ちゃまはマリオネット様の幸せを、誰よりも考えておられました。あなた様が笑っていることが、坊ちゃまの幸せなのです。ですからどうか、ご自身の幸せをお考え下さい」


「ありがとうございます、グレース様。私が一番幸せになれる方法、それはもう決まっておりますわ」


 サターン様は、私の知らないところで沢山苦労をし、私の幸せを願い動いてくれていた。今度は私が、サターン様を幸せにする番だ。


 もう泣かない、私の進む道は、もう決まっているのだから。

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