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最強ツンデレ闇令息に近づいたら溺愛されました  作者: Karamimi


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第60話:サターン様との対面

 急いで部屋を出て、玄関へと向かう。既にお父様が馬車に乗り込んで、待っていてくれていた。


「マリオネット、遅いぞ。さあ、早くディーズ公爵家に向かおう。既に使いは出してあるから」


 お父様に促され、馬車へと乗り込む。


「マリオネット、私も後でマンドルと一緒に向かうわ。気を付けて行ってくるのよ」


「ありがとうございます、お母様、行ってきます。皆も、行ってきます」


 本当はもっとゆっくりと挨拶をしたかった。でも、今はそれどころではない。馬車の前で待っていてくれていたお母様と使用人たちに、軽く挨拶をかわし、馬車へと乗り込んだ。


 それでもだんだん小さくなっていく屋敷を見ていると、胸が張り裂けそうになる。そんな私の肩を叩いたのは、お父様だ。


「マリオネットはもう、この屋敷で生活する事はないのだろうな…こんな旅立ちになってしまって、申し訳ない。サターン殿が元気になったら、2人で侯爵家に遊びに来なさい。きっと皆、喜ぶだろうから」


「ありがとうございます、お父様。はい、そうさせていただきますわ。その為にも、サターン様には元気になって頂かないと」


 まずはサターン様の容態が非常に心配だ。公爵様の話では、一命は取り留めたと言っていたけれど…


「そんなに心配する事はないよ。もしかしたら、今頃もう意識が戻っているかもしれないよ」


「そうですね、サターン様は、非常にお強い方です。お父様のおっしゃる通り、意識が戻って私が来るのを待っているかもしれませんね」


 そうであってほしい。でも…口から血を流し、ぐったりと横たわるサターン様の姿が、脳裏に焼き付いて離れない。大丈夫だ、公爵様も魔術師の方も、サターン様の傍にいる。きっと大丈夫、そう何度も自分に言い聞かせた。


「マリオネット、ディーズ公爵家が見えて来たよ。おや?あれはディーズ公爵だね。我々が来るのを待っていて下さるだなんて」


 お父様の言う通り、使用人たちの真ん中には、ディーズ公爵様の姿が。私達を出迎えるために、わざわざ出て来てくださっているだなんて。


 馬車が停まると、お父様と一緒に降りた。


「ファレリス侯爵、マリオネット嬢、よく来てくれたね」


「ディーズ公爵様、今日からお世話になります。それで、サターン様は?」


「サターンは部屋にいるよ。さあ、こちらへどうぞ」


 穏やかな表情を浮かべているディーズ公爵様。公爵様が落ち着ているという事は、サターン様の容態は安定しているという事よね?


 お父様と一緒に、着いていく。


「ここがサターンの部屋だよ。どうぞ入って」


「ありがとうございます、失礼いたします」


 ゆっくりとサターン様のお部屋に入る。そこには、ベッドに横たわっているサターン様の姿が。


「サターン様」


 急いで近づき、手を握る。温かい…よかった、生きているのね。でも…


 瞼は閉ざされたままで、びくとも動かない。どうやらまだ、意識は戻っていない様だ。もしかしたらもう、意識が戻っているかもしれない。そんな淡い期待を抱いていたのだが、そううまくはいかない。


「それで、サターン殿の容態はどうなのですか?」


 近くにいた魔術師に、お父様が問いかけた。


「お坊ちゃまは一命を取り留めましたが、かなりの量の魔力を使った事により、今非常に危険な状態です。正直命を取り留めていることが、不思議なくらいに…」


「何ですって!それはどういうことですか?それじゃあ、サターン様は…」


 このままだと、命を落とすという事なの?そんな…


「マリオネット嬢、君に伝えないといけない事がある。サターンはもう、長くはないだろう。あと数日以内に、命を落とす。それだけの魔力を、サターンは今回の戦いで使ってしまったのだよ。


 でもそれは、サターンが自ら望んだことなのだ。だからどうか、サターンの事は忘れて、君は君の幸せを考えてほしい」


 公爵様は、何をおっしゃっているの?数日以内に、命を落とすですって…


「ディーズ公爵様、サターン様は生きておられますわ。心臓だって動いておられますし、手だってこんなに温かいのです。このまま命を落とすだなんて事は…」


「マリオネット嬢の気持ちは分かる。だが、我々魔力持ちにとって、魔力を使うという事は、命を削るという事なのだよ。サターンは、命を削りすぎてしまった。もう彼は、生きられない。辛いかもしれないが、これが現実なのだよ」

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