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最強ツンデレ闇令息に近づいたら溺愛されました  作者: Karamimi


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第53話:何が起こっているの?

「月明かりに照らされたマリオネットは、神秘的だね。マリオネット、安心して。私は君を正式に正室として迎えるつもりだから…平民の女は、国に戻り次第追い出すからね。何不自由ない生活を、約束するよ」


 この人、何を訳の分からない事を言っているの?私はサターン様と結婚する事が、決まっている。それにもう、私には二度と近づかないと約束したはずなのに。


 必死に声を出そうとするが、全くでない。体も相変わらず動かない。このままだと、本当にマントレス王国に連れていかれてしまう。


 サターン様、助けて!怖い!


 必死に心の中で、サターン様に助けを求める。だが、私の心の声など聞こえるはずもなく…ゆっくりと私に手を伸ばすぺスタナ殿下。


 その手が、私を触れようとした時だった。


 バチバチっという音と共に


「痛い!!!」


 という、ぺスタナ殿下の悲鳴が響く。


「俺のマリオネットに触れようだなんて、いい度胸だな。貴様の考えなど、全てお見通しだ!!」


 この声は!サターン様だ。


 サターン様が急いで私の方にやって来て、抱きしめてくれる。その瞬間、急に体が動くようになった。


「サターン様、怖かったです」


 恐怖からサターン様にしがみつく。サターン様も強く抱きしめてくれた。ただ、すぐに引き離される。


 真っすぐぺスタナ殿下を睨みつけているサターン様。彼の瞳が、かすかに赤くなっているのは、気のせいだろうか…


「やっぱり来たか、まあ、君が私を監視している事など、分かっていたからね。それにしても、わざわざ命を落としに来るだなんて、愚かな男だね。私達に勝てるとでも、思っているのかい?」


 命を落としに来た?一体ぺスタナ殿下は、何を言っているの?ぺスタナ殿下はサターン様の姿を見て、かなり怯えていた。それなのに、今日はまるで怯えていない。それどころか、自信に満ちた目をしている。


 もしかして、ぺスタナ殿下も魔力持ちなの?


 その時だった。急に景色が変わったのだ。ここは一体どこなの?びっくりして、サターン様にしがみつく。


「しまった、先を越されてしまった。くそ、マリオネットは置いて来ようと思ったのだが。とにかく、マリオネットだけでも…」


 その時だった、急に猛烈な風が吹き荒れたのだ。


「サターン様、これは一体…」


「マリオネット嬢を屋敷に戻そうとしても、無駄ですよ。まさかファレリス侯爵家のお屋敷で、暴れる訳にはいきませんからね」


 私達の前に現れたのは、お父様くらいの男性だ。真っ黒な髪を肩のあたりまで伸ばしている。


「ご挨拶が遅れて、申し訳ございません。私、マントレス王国の魔術師をしております、デスモン・グラディサンと申します。一応公爵位も承っております。どうぞお見知りおきを」



「魔術師ですって…それじゃあ…」


 サターン様の方を見ると、真っすぐ彼を睨みつけていた。動揺する私を他所に、サターン様は冷静だ。


「お初にお目にかかります、デスモン殿。私はディーズ公爵家の嫡男、サターンです。あなたにお会いできるのを、楽しみにしておりました。あなたが噂に聞く、マントレス王国唯一の魔術師ですね。


 でも、よろしいのですか?私に倒されてしまったら、マントレス王国にはもう、魔法を使えるものがいなくなってしまいますが」


「それはアンデルサン王国にとっても、同じ事でしょう。あなたの父上には、もう子供を作る力も体力も残っていないと聞きました。あなたにもしもの事があれば、アンデルサン王国も魔力を持った者がいなくなるのですから」


 それはどういうこと?サターン様のお父様には、もう子供を作る体力が残っていないとは…


「デスモン殿にも、子供がいらっしゃらないのですよね。だからこそ、隣国でもあるアンデルサン王国の魔法使つかいでもある、我が一族を倒しておきたい、たとえリスクを冒してでも。そうお考えでしたね」


「全てお見通しという訳ですな。それでは話は早い。あなたが勝つか、私が勝つか、命を懸けた戦いを行いましょう。もちろん、私が勝ちますがね。16歳の少年に負けるほど、私は愚かではありませんから」


 にやりと笑ったデスモン殿。その笑みが非常に不気味で、背筋が凍る。

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