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最強ツンデレ闇令息に近づいたら溺愛されました  作者: Karamimi


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35/94

第35話:怪しい

 翌日

「マリオネット、すまない。急遽私に予定が入ってしまってね。今日の王宮行きは、延期にしてもらえるかな」


「延期ですか?ですが、既に王宮に行く準備も出来ておりますし、貴族学院もお休みしたのですが」


「すまない、今日は家でゆっくり休んでくれ。それじゃあ、行ってくる」


 足早に馬車に乗り込んで出かけた、お父様とお兄様を見送った。2人とも、一体どうしたのだろう。せっかく覚悟を決めたのに…


 とはいえ、お父様たちが忙しいのなら仕方がない。明日ぺスタナ殿下の元に伺えばいい。そう思っていたのだが…


 翌日も、その翌日もお父様とお兄様は、ギリギリになって王宮に出掛けてしまったのだ。


「お父様もお兄様も、何を考えているのかしら。こっちは貴族学院をお休みして、準備をしているというのに!」


「マリオネット、そんなに怒らないで。お父様たちは忙しいのよ。明日はきっと、王宮できちんと話が出来るはずだから」


「お母様、そんな呑気な事をおっしゃって。3日も引き延ばすだなんて。もしかしてお父様とお兄様は、私がぺスタナ殿下の元に嫁がせるのを、阻止しているのではなくって?」


 せっかく覚悟を決めたのに、こうもはぐらかされたら、私の気持ちも揺らいでしまう。


「そんな事はないわよ。ほら、そんなに怒っていないで、お茶にしましょう。そうだわ、今日はお天気もいいし、中庭に行きましょう」


 私の背中を押すお母様。きっとお母様も、お父様たちの味方なのだろう。このままズルズルと先延ばしにされていても、らちが明かないし、何よりも学院にも行けない。


 卒業まで、もう後少しなのに。このまま無駄に休むなんて、勿体ない。あと少ししか、レアや令嬢たちと過ごせないのに。


 それに…


 ふとサターン様の姿が、脳裏に浮かんだ。ダメよ、もう諦めると決めたのだから。それでも心のどこかで、また彼に会いたい。言葉を交わしたい、そんな感情が沸き上がるのだ。


 せめて卒業するまでは、サターン様の事を見つめていたいという気持ちが、溢れる。


 ダメだ、そんな気持ちを持っては。私はぺスタナ殿下の元に嫁ぐと決めたのだ。こんな浮ついた気持ちでは、ぺスタナ殿下にもサターン様にも失礼だ。彼との婚約が決まったら、もう二度とサターン様の事を考えるのは止めよう。


 もちろん、この気持ちも完全に封印しよう。学院に行っても、決してサターン様に関わる事はしない。それが今の私にできる、唯一の事だ。


 そう自分に言い聞かせた。


 翌日

「お父様、今日こそは王宮に行かせていただきますから!」


 朝からお父様に強く迫った。


「あ…ああ、分かっているよ。そんなに怖い顔をして迫らなくても、大丈夫だ。それじゃあ、行こうか」


 拍子抜けするくらい、あっさりと了承したお父様。一体どうしたのだろう?不審に思いつつ、お兄様とお母様と一緒に馬車に乗り込んだ。なぜか3人とも、ニコニコしている。なんだか非常に怪しい。


「どうしてお父様たちは、そんなに嬉しそうなのですか?何か企んでいるのではないですよね?」


「な…何を言っているのだい?私たちが一体何を企んでいるというのだか。とにかく今日は、マリオネットの婚約者が正式に決まる日なんだ。親として喜ばしく思っているだけだよ」


「そうよ、マリオネット。あなた、最近ちょっと様子が変よ。とにかく今日は、あなたの婚約者が決まる大切な日なのだから」


「それならいいのですが…」


 何だか怪しい気がするが、今更疑っても仕方がない。今日私は、ぺスタナ殿下と正式に婚約を結ぶのだろう。覚悟は出来ていたはずだが、なんだか急に胸の奥がズキリと痛む。


 きっとこの痛みは、気のせいだ、そう自分に言い聞かせ、王宮へと向かった。

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