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最強ツンデレ闇令息に近づいたら溺愛されました  作者: Karamimi


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第13話:マリオネットへの思いは増すばかり~サターン視点~

 どれくらい耐えただろう、限界を迎えた俺は、近くにあった大きな岩に、一気に魔力をぶつけた。その破壊力は凄まじく、岩だけでなくその周辺の草木までも一気に吹き飛ばされてしまった。


 もしこの魔力が暴走し、マリオネットに当たっていたら…そう考えると、血の気が引いた。魔力を無事放出した俺は、マリオネットの事が心配で、彼女がいるであろう場所へと向かったが、既に人気は無くなっていた。もしかして、別の場所だったのか?


 彼女はきちんともどれたのか?心配ではあったが、俺の体も魔力の暴走で既に限界を迎えようとしていたのだ。


「坊ちゃま、こちらにいらしたのですね…大丈夫ですか!口から血が出ております。さあ、馬車に乗り込んでください」


 フラフラな俺を、使用人たちが馬車に乗せたのだ。屋敷に戻ると、すぐに魔術師が俺の体を調べた。


「お坊ちゃまの魔力は、まだ完全に体に馴染んでおりません。そんな状況で感情が高ぶると、今回の様な状況に陥ります。周りにも被害が出ますし、何よりもあなた様のお命も、危険に晒すことになるのです。


 とにかく、魔力が安定して体になじむまでは、極力感情を抑えて下さい。魔力さえ体に馴染んでしまえば、もう魔力が暴走する事はありませんので。どうかそれまでは、ご辛抱を」


 そう言って、俺に魔法をかける魔術師。彼の言葉通り、俺はその後1週間高熱に襲われ、生死の境をさまよった。その上、俺があの日魔力を放出した場所は、かなり酷い状況だった様で、貴族たちの間でちょっとした騒ぎになるほどだったそうだ。


 それくらい、俺の魔力は膨大で危険なのだ。もしあの場にマリオネットがいたと考えると、体中から血の気が引く。


 マリオネット…


 初めて俺に怯えなかった女性…温かく柔らかな光を放ち、美しい微笑を浮かべていた彼女は、まるで真っ暗な地獄のような世界に生きている俺を救う、女神の様だった。


 彼女の事を考えるだけで、胸が高鳴り魔力が暴走しそうになる。そのたびに、必死に気持ちを落ち着かせるのだ。


 大丈夫だ、時間が経てばきっと、この気持ちも落ち着く。そう自分に言い聞かせ、いつも通り真っ暗な世界で生き続けた。


 だが、一度知ってしまったの温かな光や温もりが、俺の心を支配していく。マリオネットに会いたい…会ってまたあの柔らかな髪に触れたい…あの温もりを感じたい…


 そんな思いが、日に日に募っていく。そんな自分が恐ろしくて、どうしていいか分からない。


 一度どうしてもマリオネットに会いたくて、こっそりと夜会に参加したこともあった。彼女は令嬢や令息から非常に人気が高い様で、ずっと貴族たちに囲まれて、幸せそうに話をしていた。


 その顔を見た瞬間、言いようのない怒りが沸き上がり、再び魔力が暴走しそうになった。彼女は俺のものだ…誰にも渡さない!


 その時初めて、俺にも独占欲というものがある事を知った。それと同時に、こんな俺に思われてしまったマリオネットを、哀れにも思った。


 魔王の様と言われているこの俺に、好かれてしまったのだから…


 きっともう、彼女は俺の事など忘れているだろう。あの頃はまだ、幼かったからあんな態度をとったのかもしれない。だが、大人になるにつれ、俺の恐ろしさが嫌でも耳に入って来るだろう。


 彼女の為にも、俺はもう二度とマリオネットの前に現れるべきではない。そう思い、俺は今まで以上に、公の場に姿を見せるのを避けた。


 それでも俺の心は、ずっとマリオネットを求め続けた。もう二度と彼女に会う事も触れ合う事もないかもしれない。それでも俺にとって、マリオネットはかけがえのない存在なのだ。


 会いたくてたまらなくて、魔力が暴走しそうになることもあった。そんな俺を心配した使用人たちが、俺の為にマリオネットの写真を手に入れてきてくれたのだ。


 彼女の笑顔の写真を見た瞬間、何とも言えない幸せな気持ちになったのだ。彼女がずっと笑顔でいてくれたら、それでいい…


 たとえもう二度と会えなくても…

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