第7話 その商品、売りません
「レオンさん! 大変です!」
朝、店の扉を開けた瞬間、ミロが飛び込んできた。
両手には、いつものように小さな籠を抱えている。
ただし、今日は野菜ではなく、丸めた紙を持っていた。
「どうした、ミロ。そんなに慌てて」
「町の広場に、こんなものが貼ってありました!」
差し出された紙には、王国の紋章が押されていた。
『通達』
王国商務局は、魔王軍への不正な物資供給に関する調査を開始した。
調査対象となる商人は、指定された物資の販売および搬出を一時停止すること。
違反した場合、営業許可の取り消しを含む処分を検討する。
そして、最後に。
――対象商人:レオン商店。
「……なるほど」
俺は紙を読み終え、机の上に置いた。
「なるほど、じゃありません!」
ユリウスが声を上げた。
「営業許可を取り消すと書いてあるんだぞ!」
「まだ取り消されたわけじゃない。検討すると書いてある」
「同じようなものだろう!」
「いや、違う。検討と決定では意味が違う」
「そんな細かいことを言っている場合か!」
朝から元気な勇者様である。
アリシアは洗い終わった皿を棚に置き、紙を覗き込んだ。
「商務局が動いたということは、昨日の件が正式に報告されたのだろうな」
「おそらく」
「どうする?」
俺は帳簿を開いた。
食料の調達状況は、昨日からほとんど変わっていない。
穀物、豆、干し肉、塩。
予定していた量の七割ほど。
注文期限は、今日の夜。
そして、搬出許可は出ていない。
「まずは、商務局に確認する。何が禁止されているのか、具体的に聞いてみるよ」
「それで許可が出なかったら?」
ユリウスが尋ねた。
「そのときは、そのときに考える」
「お前はいつもそうだな!」
「ほかに、いい方法があるか?」
ユリウスは黙った。
俺は苦笑した。
「心配してくれてありがとう。でも、今は慌てても仕方がない。まずは、やれることから片づけよう」
そう言って、俺は店の扉を開けた。
その瞬間。
店の前に、一台の立派な馬車が止まった。
金色の装飾。
磨き上げられた車輪。
側面には、見覚えのある麦穂と天秤の紋章。
ベルク商会だ。
馬車から降りてきたのは、主人のドランだった。
そして、その後ろには、黒い外套を着た男が二人。
「おはよう、レオン君」
ドランは、昨日までとは違う笑顔を浮かべていた。
「今日は、君にとって悪くない話を持ってきた」
俺は、少しだけ警戒した。
大きな商会が、朝一番に小さな店へやってくる。
しかも、王国の通達が出た直後だ。
いい話である可能性は、かなり低い。
「どのようなお話でしょうか?」
「立ち話も何だ。中で話そう」
ドランは、当然のように店内へ入ろうとした。
俺は、扉の前から動かなかった。
「申し訳ありません。開店準備中なので、まずはご用件を伺えますか?」
ドランの笑顔が、一瞬だけ崩れた。
「……相変わらず、商売人らしくない男だな」
「よく言われます」
「では、単刀直入に言おう」
彼は懐から書類を取り出した。
「君が集めた食料を、我がベルク商会で買い取ろう」
「買い取り、ですか?」
「そうだ。穀物も豆も、干し肉も、すべてだ。相場より高く買い取ってもいい」
俺は書類を受け取った。
提示された金額を見て、思わず目を疑った。
相場の二倍近い。
これまで俺が支払った仕入れ代金を差し引いても、かなりの利益が出る。
店の資金繰りに苦労していた身としては、魅力的な条件だった。
「……なぜ、こんな高値で?」
「需要があるからだよ」
ドランは笑った。
「王国軍も、食料を必要としている。魔王軍へ渡すくらいなら、我々が買い取り、王国に供給した方がよほど有益だ」
「王国軍へ供給するのですか?」
「その通り」
「では、買い取った食料は、どこへ運ぶ予定でしょうか?」
「それは商会の仕事だ。君が気にすることではない」
俺は書類を机に置いた。
金額だけを見れば、悪くない話だ。
むしろ、今の俺にとっては救いに近い。
魔王軍への注文を果たせなくても、仕入れ代金を回収できる。
農家にも支払いができる。
店の運転資金も確保できる。
それに、王国との対立を避けられるかもしれない。
「考える時間をいただけますか?」
「もちろん。だが、今日中に返事をしてほしい」
ドランは立ち上がった。
「ひとつ、忠告しておこう。小さな商人が、王国や魔王軍を相手にするのは無謀だ。君には君の身の丈に合った商売があるだろう」
彼は、俺の店を見回した。
「この店を失いたくないなら、賢い選択をすることだ」
ドランたちは、馬車に乗って去っていった。
店内には、沈黙が残った。
◇
「……売ればいいじゃないか」
最初に口を開いたのは、ユリウスだった。
「何?」
「食料を売れば、農家にも金を払える。店の資金も残る。王国軍に供給するなら、魔王軍を助けることにもならない」
「そうだな」
「何が問題なんだ?」
俺は、契約書を見つめた。
「まだ、わからない」
「わからない?」
「この条件は、あまりにも都合がよすぎる」
ユリウスは、首をかしげた。
「相場の二倍だぞ。普通なら喜ぶところだろう」
「普通ならな」
俺は、仕入れ帳簿を開いた。
食料を売ってくれた人たちの名前。
それぞれが、何をどれだけ売ってくれたのか。
そして、俺が何を約束したのか。
「俺は、食料を買うときに、何のために使うかを説明した。魔王軍に届けるためだと。そのうえで、売るかどうかを決めてもらった」
「それが?」
「彼らは、納得して売ってくれたんだ。魔王軍を助けたいからじゃない。余っている食料を売りたいから。あるいは、村を襲われるのを避けたいから」
俺は、帳簿を閉じた。
「もし俺が、説明もなく食料を別の相手に売ったら、彼らはどう思うだろう?」
ユリウスは答えなかった。
「もちろん、契約上は俺が所有者だから、売ること自体はできるかもしれない。でも、それで信頼を失ったら、次から誰が俺に食料を売ってくれる?」
「……」
「商売は、今回の利益だけで終わるわけじゃないんだ」
俺は、契約書を持ち上げた。
「それに、王国軍に供給するという話が本当かどうかも確認できていない」
アリシアが静かに口を開いた。
「ドランは、何かを隠していると?」
「断定はできない。ただ、確認する必要がある」
俺は窓の外を見た。
ベルク商会の馬車は、もう見えない。
「この契約書には、食料の最終的な引き渡し先が書かれていない。買い取った後の使い道について、こちらは一切関与できないことになっている」
「だが、商売とはそういうものじゃないのか?」
ユリウスが尋ねた。
「売った商品を、買い手がどう使うかまで、売り手が責任を持つ必要はないだろう」
「その通りだ。すべての用途を確認することはできない」
俺はうなずいた。
「でも、今回は事情が違う。最初から用途を説明し、その用途を前提に集めた食料だからな」
ユリウスは、難しい顔をした。
「……それでも、店を守るためには、金が必要だ」
「そうだな」
俺は苦笑した。
「だから、簡単には決められないんだよ」
◇
昼前。
店に、見知らぬ男がやってきた。
茶色の外套を着た、痩せた男だった。
男は店内を見回し、俺に近づいてきた。
「レオンさんですね?」
「はい」
「私は、ベルク商会の者です。主人から、追加の条件をお伝えするように言われました」
彼は一枚の紙を差し出した。
「今回の取引が成立すれば、今後一年間、ベルク商会から優先的に商品を仕入れられるようにします。卸値も、通常より安く設定しましょう」
俺は、紙を受け取った。
これもまた、魅力的な条件だった。
小さな店にとって、仕入れ価格は死活問題だ。
安く商品を仕入れられれば、販売価格を抑えられる。
客も増える。
売上も伸びる。
将来的には、店を大きくすることもできるかもしれない。
「……すばらしい条件ですね」
「そうでしょう?」
男は笑った。
「主人も、あなたの商才を評価しているのです。今回の取引さえ成立すれば、あなたもベルク商会の仲間として、安心して商売を続けられる」
「ひとつ、質問してもいいですか?」
「何でしょう?」
「もし、今回の食料を売らなかった場合、今後の仕入れはどうなりますか?」
男の笑顔が、わずかに固まった。
「それは……通常の取引条件に戻るだけです」
「通常の取引条件というのは?」
「我々も商売ですからね。取引先を選ぶ自由があります」
なるほど。
つまり、今回の取引を断れば、今後の仕入れで不利になる可能性があるということだ。
「わかりました。主人に、検討すると伝えてください」
男は満足そうにうなずいた。
「賢明な判断を期待しています」
彼が帰ったあと、俺は長いため息をついた。
利益を提示し、将来の取引を約束し、断れば不利益が生じるかもしれないと示唆する。
交渉としては、よくできている。
相手の弱みを見つけ、そこを突く。
商売の世界では、珍しいことではない。
だが、俺は、このやり方が好きではなかった。
いや。
好き嫌いの問題だけではない。
ここで一度、相手の都合に合わせてしまえば、次も同じことを求められるかもしれない。
そして、いつか自分の店で、客にも同じことをするようになるかもしれない。
「……それだけは、嫌だな」
俺は、壁に貼られた規則を見上げた。
盗みは禁止。
暴力は禁止。
種族による差別は禁止。
商品に問題がある場合、確認を拒否しない。
どれも、特別なことではない。
当たり前のことばかりだ。
けれど、その当たり前を守るためには、時に利益を諦めなければならない。
俺は、もう一度、契約書を開いた。
そして、余白に書き込んだ。
『食料の最終的な引き渡し先を明記すること』
『当初の用途を変更する場合、売り手の同意を得ること』
『契約内容に変更がある場合、双方の合意を必要とすること』
これで、相手が受け入れるとは限らない。
それでも、俺は条件を明確にしたかった。
◇
午後。
俺は、食料を売ってくれた農家を訪ねた。
最初に向かったのは、ミロが紹介してくれた北の村だった。
村の入口では、老人が畑の手入れをしていた。
「こんにちは」
「おや、レオンさん。どうしたんだい?」
「実は、集めた食料について相談がありまして」
俺は、ベルク商会から買い取りの提案を受けたことを説明した。
「……そうかい」
老人は、しばらく黙っていた。
「正直に言うと、金額だけなら、そっちに売った方がありがたい」
「そうですよね」
「この村も、余裕があるわけじゃない。冬に向けて、蓄えを増やしておきたいんだ」
「それは、当然だと思います」
俺は、頭を下げた。
「だから、皆さんの意思を確認したくて来ました。俺は、魔王軍へ食料を届けるつもりで買い取りました。でも、皆さんが別の使い道を望むなら、無理に引き留めるつもりはありません」
老人は、驚いた顔をした。
「……あんたは、損をしてもいいのかい?」
「損は、したくありません」
俺は正直に答えた。
「店を続けるには、お金が必要です。利益も必要です。でも、皆さんに黙って話を変えることはしたくないんです」
老人は、しばらく俺を見つめていた。
やがて、ゆっくりとうなずいた。
「わかった。村のみんなにも聞いてみよう」
その日のうちに、俺は取引した農家を一軒ずつ回った。
答えは、さまざまだった。
「金額が高いなら、そちらに売りたい」
「魔王軍に渡すと約束したから、最後まで届けてほしい」
「村を襲われるのは困るが、王国軍に使われるのも不安だ」
それぞれに事情がある。
誰も、同じ考えではない。
俺は、すべての意見を帳面に記録した。
結果として、ベルク商会へ売却することに同意した人もいた。
反対に、当初の約束どおり魔王軍へ届けてほしいと希望する人もいた。
そして、どちらにも決められない人もいた。
全員の意思をひとつにまとめることはできなかった。
それでも、少なくとも、俺が勝手に決めていいことではないとわかった。
◇
夕方、店に戻ると、カウンターの上に一通の手紙が置かれていた。
差出人は、王都商務局。
俺は封を切った。
『調査の結果、現時点では、貴店による食料の販売が直ちに違法であるとは断定できない』
そこまで読んで、俺は息を吐いた。
続きがあった。
『ただし、戦争状態にある魔王軍への大規模な物資供給については、王国の安全保障上、慎重な判断を要する。許可が下りるまで、対象物資の搬出停止を継続する』
つまり、何も変わっていない。
「……そうか」
俺は手紙を机に置いた。
そのとき、店の扉が開いた。
ドランだった。
「返事を聞かせてもらおうか」
彼は、契約書を見ずに言った。
「はい。こちらが、俺の回答です」
俺は、修正した契約書を差し出した。
ドランは目を通し、眉をひそめた。
「最終的な引き渡し先を明記しろだと?」
「はい」
「用途を変更する場合は、売り手の同意を得る?」
「当初の説明と異なる取引になる可能性があるので」
「馬鹿な。そんな条件を飲めるわけがないだろう!」
ドランは契約書を机に叩きつけた。
「我々は、商品を買い取ると言っているんだ。買い取った後の使い道まで、君に指図される筋合いはない!」
「おっしゃる通りです。一般的な商品であれば、そうでしょう」
俺は、静かに答えた。
「ですが、今回の食料は、最初から魔王軍へ届けるために集めたものです。取引の前提が変わるなら、条件も確認したいんです」
「ならば、取引は不成立だ!」
「わかりました」
俺は契約書を引き寄せた。
「今回の買い取りは、お断りします」
ドランは、信じられないものを見るような顔をした。
「……本気か?」
「はい」
「相場の二倍だぞ!」
「承知しています」
「今後の仕入れ条件も、改善すると言ったはずだ!」
「それも、承知しています」
ドランは、怒りに顔を歪めた。
「後悔するぞ。君のような小さな商人が、我々に逆らって生き残れると思うな!」
「逆らいたいわけではありません」
俺は、頭を下げた。
「今回は、条件が合わなかった。それだけです」
ドランは、しばらく俺を睨みつけていた。
やがて、契約書を乱暴に押し返し、店を出ていった。
扉が閉まる。
俺は、椅子に座り込んだ。
「……はあ」
思った以上に疲れた。
正直、今すぐ契約を結んでしまいたい気持ちもあった。
二倍の金額。
将来の仕入れ優遇。
店の経営だけを考えるなら、魅力的な話だった。
それを、自分から断ったのだ。
「レオン」
アリシアが、静かに声をかけた。
「後悔しているか?」
俺は、少しだけ考えた。
「していない、と言えば嘘になる」
「そうか」
「でも、断ってよかったと思っている」
俺は、苦笑した。
「商売人としては、まだまだだな。もっと上手なやり方があったかもしれない」
「それでも、決めたのだろう?」
「はい」
アリシアは、ゆっくりとうなずいた。
「なら、それでいい」
その言葉は、不思議と心に響いた。
◇
夜。
店を閉める直前に、ユリウスが帰ってきた。
「レオン! 大変だ!」
「今度は何だ?」
「ベルク商会が、町の商人たちに触れ回っている。お前の店とは取引するなと!」
「……なるほど」
「なるほど、じゃない! このままでは、食料どころか、普通の商品まで仕入れられなくなるぞ!」
俺は、カウンターに肘をついた。
予想していたことではある。
だが、実際に起きると、やはり厳しい。
「ほかの仕入れ先を探すしかないな」
「簡単に言うな!」
「簡単じゃないよ。でも、探さなければ何も始まらない」
俺は帳簿を開いた。
これまで取引した農家。
市場の小さな商店。
町の外の生産者。
一軒ずつ、連絡を取るしかない。
時間もかかるし、手間もかかる。
それでも、ひとつの商会に依存しない仕入れ網を作ることは、長い目で見れば必要だ。
「……レオン」
ユリウスが、静かに言った。
「お前は、本当に店を続けるつもりなんだな」
「もちろん」
「王国に目をつけられても?」
「うん」
「大商会に嫌われても?」
「そうだな」
「魔王軍の注文を果たせなくても?」
その質問には、すぐに答えられなかった。
俺は、帳簿を見つめた。
期限は、今夜だ。
集めた食料は、まだ町の倉庫にある。
搬出許可は出ていない。
このままでは、契約を果たせない。
「……できることを、最後までやる」
俺は顔を上げた。
「それで駄目なら、ヴァルガに事情を説明する。約束を守れなかったことは、きちんと謝る」
「魔王が、そんな簡単に納得すると思うか?」
「わからない」
俺は苦笑した。
「でも、嘘をつくよりはいいだろう」
そのとき。
店の扉が、静かに開いた。
「その通りだ」
低い声。
黒い外套。
頭には、いつものフード。
魔王ヴァルガだった。
「……ヴァルガさん?」
俺は立ち上がった。
「どうして、ここに?」
ヴァルガは、カウンターの前に座った。
「注文の期限が近いのでな。状況を確認しに来た」
俺は、正直に説明した。
食料は集まったが、王国の許可が出ていないこと。
大商会から買い取りの提案を受けたが、条件が合わず断ったこと。
その結果、仕入れ先にも圧力がかかり始めていること。
ヴァルガは、最後まで黙って聞いていた。
「……そうか」
彼は、短く答えた。
「すまない。私の注文が、君の店に迷惑をかけている」
「いえ。注文を受けたのは俺ですから」
「だが、君はまだ小さな店を始めたばかりだ。これ以上、無理をする必要はない」
ヴァルガは、カウンターに銀貨の袋を置いた。
「契約は解除して構わない。集めた食料は、君が自由に売ればいい」
俺は、銀貨の袋を見つめた。
魔王が、こちらを気遣っている。
それは、意外なことだった。
「……いいんですか?」
「ああ。私は、君に店を失ってほしいわけではない」
ヴァルガは、静かに言った。
「私の兵士たちが空腹で苦しんでいるのは事実だ。だが、それを理由に、君の生活まで壊すことはできない」
俺は、しばらく黙っていた。
そして、銀貨の袋を押し返した。
「ありがとうございます。でも、契約は解除しません」
ヴァルガが、目を見開いた。
「なぜだ?」
「まだ、期限が残っていますから」
俺は、帳簿を開いた。
「今夜のうちに、もう一度、搬出許可を求めてみます。それでも駄目なら、約束どおり事情を説明します」
「君は……」
ヴァルガは、何か言いかけてやめた。
そして、ゆっくりと笑った。
「本当に、変わった商人だな」
「よく言われます」
俺は、立ち上がった。
「もう一度、役所へ行ってきます」
ユリウスが、慌てて声を上げた。
「今からか!?」
「今からだ」
「もう夜だぞ!」
「それでも、やれることはある」
俺は上着を羽織った。
「ヴァルガさん。少しだけ、待っていてください」
魔王は、静かにうなずいた。
「わかった」
俺は扉を開けた。
外には、夜の冷たい風が吹いていた。
だが、足は止まらなかった。
約束を守るために。
この店を続けるために。
そして、いつか誰かに言ってもらいたい言葉のために。
――お前がいてくれて、よかった。
俺は、夜の町へ走り出した。




