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その六
ついついあさ美お姉さんと、おなじペースで飲んでしまった。
翌日は案の定、二日酔いである。
お昼すぎまで苦しむ。
それでも風呂に入ったりお食事を取ったりしていると、だんだん調子は良くなってきた。ちなみに食べたものは、おかか雑炊である。ぼくの得意料理である。
ケータイが鳴った。三原監督からであった。
電話に出る。
「ああ、やっと繋がった」
「すいません。さっきまで電源切ってあったの、わすれてたんです」
「船倉さん、きょうの『突撃となりの食生活』観ましたか? 朝食のやつ」
「きょうは二日酔いだったんで、観るのわすれちゃったんですよ」
「そうですか……」
「おもしろかったんですか?」
「山城さんが突撃していったお宅に『ラブ・ウィンクス』のポスターが貼ってあったのです」
「ラブ・ウィンクスというのは、何ですか?」
「ラブ・ウィンクスは来年キャンディー隊になるのです」
「ん?」
「キャンディー隊も解散してからずいぶん経ちますからね」
三原監督はこのところ新日本キャンディー隊連合、通称「新キャン連」という闇の組織(?)を調べている。
解散三十周年のイベントのさいもランちゃんやスーちゃんに黙殺されたこの組織は、当時キャンディー隊の後釜になろうと企んでそれを達成できなかった「ラブ・ウィンクス」なるグループを祭り上げて、キャンディー隊のお三方にやきもちを焼かせる作戦を計画しているみたいなのだ。
「どうしても突撃されたお宅にうかがいたいのですよ。おそらく、そこにお住まいの方は新キャン連のメンバーでしょうからね」
「でも貼ってあったのは、ラブ・ウィンクスのポスターだったんでしょ?」
「ええ。ラブ・ウィンクスはキャンディー隊になりますからね」
「うーむ……」
三原監督は、いまだにその組織の誰とも接触したことがない。だからこんなふうに、ラブ・ウィンクスのポスターに執着しているのだろう。監督は何にたいしても思い込みが強いのだ。
三原監督は数年まえ、この界隈で都市伝説のように噂されつづけていた〝試食おじさん〟に密着したドキュメンタリー映画が評価されてK市から特別な賞をもらった。
三原監督はドキュメンタリーを専門に撮っているのである。
この賞によって試食おじさんは一種の名士になり、ほうぼうで試食のお誘いを受けるようになった。
結果的にさまざまなローカルニュースをほうぼうで仕入れてくる。
つまり三原監督は、この試食おじさんから先のようなガセネタを吹き込まれたようなのである。




