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その十八
翌日、お昼を食べたあと〝堅湯〟に入る。効能を小春おばちゃんよりおききしたからである。湯からあがったのちは案の定うつらうつらしてしまった。
このうつらうつらのあいだに、すみれクンのお母さまはこちらの部屋に来ていた。
「あっ」
とおどろく。そして、てきとうに「あはははは」とわらったりしながらちびっちゃいビンの変なコーラを湯呑みでグビリとやる。冷蔵庫に入っていたやつである。
お母さまは、
「すごい効能ですね」
と堅湯の即効性に思いのほか感心していた。
「いやっ、でもね、これは堅湯の効果ということでもないですよ。ぼくはいつだって、これくらいにはなりますから。とくにこういう寝起きのときはね」
お母さまにもコーラを注いであげる。
「すみません」
「なんかこれ、変わってますよね」
「地コーラなんですって。わたしさっき従業員さんにききました」
残りのコーラを湯呑みでぜんぶ飲んだのちにバシャバシャッと冷たい水で顔を洗う。
「小春おばちゃん、なにかいってきましたか?」
「雪子さんに会ったそうです」
「ええええええええええええええ!」
いよいよ吉報が届いたのだろうか。ぼくはわくわくしながら浴衣を直す。
しかしすみれクンのお母さまが小春おばちゃんより受けた報告はつぎのようなものだった。
小春おばちゃんは内線で、
「ねえ、小春おばちゃん、チューチューアイス買ってきて。何味でもいいから、けっこう多めに」
と先ほど雪子ちゃんより買い出しを頼まれた。
雪子ちゃんはとても急いでいるみたいだったので、小春おばちゃんもあわててもよりの食料品店に向かう。で、レジ袋に入った大量のチューチューアイスを手渡すと、雪子ちゃんは、
「あっちのチューチューアイスはめっちゃチューチューしにくくてさ、あれきっと訳あり品よね」
などというようなことをぶつぶついっていたという。
「そのあとは?」
「そのあとは『またわたし、遠征するから』って、小春おばちゃんを手で追い払ったんですって」
「おれたちの伝言、雪子ちゃんにいってくれたのかな?」
「伝えたみたいです」
「で?」
「雪子さんは『わたし、しばらく戻れそうにないから、こっちに来てくれないかな』って、いってたそうです」




