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41- 勝 海舟

【勝清隆】

1891年(明治24年)12月25日(金)21時

海軍中将の夫人であり、我が家のサロンに長年顔を出している天貝伯爵夫人は、会話が一時途切れた隙に、香織子の方へ身を乗り出し、彼女特有の、しばしば純粋な詮索に近くなるような社交界特有の好奇心を込めて尋ねた。

—「石場さん。あなたが北アフリカから来られたと伺いました。あちらでは、女性たちは家の中でも常にベールを被っているというのは本当ですか?」

—「地域や家庭、場面によって異なりますが、家の中では決して着ません」と薫子は、彼女にとって相当な努力を要するであろう忍耐強さで答えた。「日本でも、宮廷の女性と東北の農家の女性が、同じ理由で同じように服を着ないのと同じようなものです」

—「でも、あなた自身はどうですか?」

—「私個人としては、あそこにいた頃、田舎に出かけるときはアメンディル(頭にかぶるベール)を、街中では全身と顔を覆う長いハヤークを着用していました。こちらでは、外出する際、髪をオコソ・ズキンで覆うのが習慣ですが、ここのように礼儀作法上許されない場所を除いては。ここは刑務所ではありません、伯爵夫人さま。それは、伯爵夫人のドレスと同じような、単なる衣服なのです。」

— 「そして、本当ですか」と、年配の男性――外務省の顧問で、私はその名前を忘れてしまっていた――が話を続けた。「あなたの宗教では、教育を受けることが禁じられているという話は?」

香織子は答える前に、顎がわずかにこわばるのを感じたが、その声はそれでも驚くほど穏やかだった。

—「まったく逆です。教育は、貴族であれ貧民であれ、男性であれ女性であれ、すべての人にとって道徳的な義務なのです。私の祖父は、私がきちんと刺繍ができるようになる前から、数学や神学、歴史を教えてくれました、閣下。もし私の教養が不十分だとお考えなら、今すぐアフリカの王たちのリストを年代順に暗唱して差し上げましょう。そうすれば、私たち二人の教育のうち、どちらがより厳格さに欠けているか、確かめていただけますから。」

その返答の後、気まずい沈黙が流れたが、テーブルの反対側にいた道仁親王様が心からの笑いを爆発させ、その瞬間、場の空気は一気に和やかになった。

—「今夜、石場さんは私たち全員に、まさにふさわしい謙虚さの教訓を与えてくださったと思います。」 」

顧問は顔を赤らめ、かろうじて聞こえる程度の謝罪を呟くと、再び自分の皿に目を落とした。一方、私は思わず、不相応なほどの誇りが胸に込み上げてくるのを感じた。

…

疲れを押し殺してようやく宴会場に到着したのは、小鹿兄上で、使用人にさりげなく支えられながら席へと案内されていた。

香織子は振り返ると、彼のそばに 大山(おおやま) 巌(いわお) 伯爵が立っていた。つい最近まで陸軍大臣を務めていた彼は、高齢にもかかわらずたくましく陽気な人物で、石場玉木の長年の友人でもあった。香織子が彼と知り合ったのは、 幼い頃、石場家をめったに訪れない中で出会った人物だった――父の側近の中でも、単なる形式的な礼儀ではなく、常に心からの親しみを込めて彼女に話しかけてくれた数少ない男性の一人だった。

—「大山さま!」彼女は、再会を心から喜びながらお辞儀をした。「勝家とご縁があるとは存じませんでした。」

—「大山さまは、私の海軍教育時の名付け親でした」と、紹介が終わると小鹿は香織子に説明した。「この家族の半数が反対する中、私が仏国で学業を続けるよう強く勧めてくださったのは、彼でした。」

—「お兄さまはわしの寛大さを大げさに言っていますよ」と、大山は温かい笑みを浮かべて僕に言った。「小鹿くんにはすでに必要な決意がすべて備わっていました。わしはただ、適切な時期に適切な扉を開いてあげただけです。」彼は香織子の方を向き、顔に笑みを広げた。「そして、香織子ちゃん――確か、以前お会いしたことがあるはずですが、間違っていなければ。お父様の石場くんとわしは、古くからの友人なのです。」

—「大山様、覚えております」と香織子は言った。その声には心からの温かさが込められており、普段、石場家の人々に対して見せる慎重な態度とは対照的だった。

—「父の友人の中で、私を単なる邪魔な家具のように扱うのではなく、一人の人間として接してくれたのは、閣下だけでした。」

大山はその言葉に心から感動した様子だった。

—「清隆くんとは、幼い頃からの付き合いなんです」と、彼の隣から女性の声がした。50代ほどの優雅な女性で、その言葉にさりげなく織り交ぜられた完璧な英語から、海外での教育を受けたことがうかがえた。「私は大山 捨松 です。清隆がここ数週間、時折送ってくる手紙で名前を挙げていた方に、ようやくお顔を拝見できて光栄です。」

—「捨松さんは、私がアメリカに留学していたのと同じ時期にヴァッサー大学に通っていたんです」と、僕は香織子に説明した。その声には、普段とは異なる温かみがにじんでいた。「あの頃からの知り合いの中で、今でも連絡を取り合っている数少ない一人なんです。」

優雅で活気あふれる捨松は、すでに香織子に身を乗り出していた。その知的好奇心あふれる様子は、私たちが同時期にアメリカで学んでいた頃からよく知っているものだった。

—「それなら、話すべきことが山ほどありますね」と捨て松は彼女に言った。「石場さん、すべてをお話しください――宴会の時間が許す限り、最初から。」


デザート――コンフィの果物に囲まれた、僕が正確に何の菓子か判別できなかった手の込んだフランス菓子――が食事の公式な締めくくりとなり、その瞬間、執事がこっそりと僕のそばに近づき、父が香織子と僕を隣の小さな応接室に呼んでいるとささやいた。

父である勝海舟(かいしゅう)は、レセプションの喧騒から離れた隣の小さな応接室で私たちを迎えてくれた。髪は真っ白になり、顔には深いしわが刻まれていたが、その座る姿には、かつての威厳が微塵も失われていなかった。父は口を開く前に、長い間私たちをじっと見つめていた。その視線は息子から私へと移り、敵意は微塵も感じられなかったが、何十年もの間、相手を評価してから初めて信頼を寄せることに慣れた男の重みを感じさせた。

—「ああ、お前か」と、父はついに口を開き、香織子に直接語りかけた。「この一ヶ月、東京中が話題にしているアフリカ人の婚約者ですね。」

—「『ご挨拶』くらいはしてくださってもいいでしょう」と彼女は、その重みのある視線にもかかわらず、怯むことなく言い返した。

彼は短く、乾いた笑いを漏らしたが、その笑いには温かみが感じられた。

—「度胸があるな。気に入ったよ。」

—「神様に感謝よ。そうでなければ、ここにいるワニたちにとっくに食べられてたわ。」

—「なるほど! 婚約の日以来、ずいぶん変わったね。あの日は、顔面蒼白で、言葉を口にするたびに歯をカチカチ鳴らし、四つん這いになってたじゃないか。今や、お前は高慢で頭を下げることも拒み、さらに」と彼は、香織子に直接語りかけながら言った。「天貝伯爵夫人はベールの件で、老いた本多は教育の件でお前を罠にかけようとした。よく切り抜けたな。」

—「第一、それが勝閣下と何の関係がおありで? 第二、勝さま、ご自身の食卓にスパイがいるんじゃないの?」

—「よく訓練された使用人がおり、年齢の割には目もまだ良い」と彼は乾いた笑みを浮かべて言った。「二人とも座りなさい。俺が話そうとしていることは、じっくりと時間を割く価値がある。」

—「そんなに変わってしまったのでしょうか、だんなさま?」と彼女は座りながら僕に言った。

—「間違いなくね」と僕は答えた。彼女は、それほど変わっていないと思っていたのか、物思いにふけるような様子だった。

僕たちは席に着き、父が、最もデリケートな話題に触れる前にいつもそうするように、意図的にゆっくりと考えをまとめているのが見えた。

—「お前たちのような二匹の狼を前にして、遠回しな言い方はやめよう、お前を呼んだのには、二つの理由がある、息子よ。一つ目は、最も単純な理由だ。お前が自ら近況を報告する気など決してないのだから、お前の生活がどうなっているのか、この目で確かめたかった。。それに、お前の婚約者を家族全員に紹介しておきたかった。世間話で広まる噂に、不正確で悪意に満ちた形でその役目を任せるよりはね。」

—「そして、二つ目の理由は?」と僕は尋ねた。その声には、自分でもよく理解している疑念がにじんでいた。

海舟は立ち上がり、ドアまで歩いて行ってしっかりと閉まっていることを確認すると、再び席に戻って座った。その顔からは、ほんの少し前まで見せていた社交的な陽気さがすっかり消え失せていた。

—「『二つ目の理由』」と彼は声をささやき声に落として言った。「それは、お前の調査のペースを落としてほしいということだ、清隆。止めるようにと言っているわけではない――お前を十分に知っているから、そんなことは無駄だと分かっている。だが、これまでよりもはるかに慎重に進めてほしいのだ。」

—「……どうしてそれをご存知で――」

—「俺は多くのことを知っている、息子よ。お前が想像する以上に、そして確かに、この部屋の中でさえ、声に出して語るべきではないほどに。」彼は一呼吸置き、明らかに言葉を選び抜くように慎重に続けた。「お前が追っている氏は、結束した集団ではない。かつて一度もそうだったことはないのだ。」

僕は体がこわばるのを感じた。

—「詳しくお聞かせください」と僕は言った。

—「その氏の大多数は」と海舟は、かろうじて聞こえるほどのささやき声以上の音量を出さずに続けた。「佐賀やその一派、そしてその分離独立の野望を想起させるあらゆるものに対して激しい敵意を抱いているにもかかわらず、王座への忠誠を貫いている。それらは厳密な意味での保守派ではない。国の近代化を受け入れているからだ。しかし、彼らは、適切に管理されれば、古い秩序こそが、いかなる急進的な革命よりも国を守ると信じている人々である。一方、ごく一部の少数派は、はるかに過激な断絶を志向している――体制の遅さに忍耐を失った若き精神の持ち主たちであり、根っから腐りきっていると彼らが判断する秩序に引き続き仕えるよりは、すべてが崩壊するのを望むかもしれない。」

—「秦氏のことですか」と香織子は言った。その言葉は、僕が抑え込む間もなく口をついて出てしまった。

海舟は彼女を見つめ、その鋭い視線が、これまでとは一味違う強さで僕に注がれた。

—「俺はその名を口にしたことは一度もない、香織子。そしてお前も、壁を完全に掌握していない部屋では、決してその名を口にしないほうがよい。」

彼は再び僕の方を向いた。その間、香織子は僕を守るような、祈るような、そして悔い改めるような身振りをしていたが、僕の『神眼』によれば、その効果はなかなか高かったようだ。

「俺が確信しているのは、この事件はお前が思っているよりもはるかに大規模で危険なものだということだ、息子よ。そして、俺が今説明した二つの派閥が、それぞれ独自のやり方で、単なる刑事事件の捜査の枠をはるかに超える結果をもたらしかねない駆け引きを繰り広げていることを、お前が理解しない限り、この事態は今後も危険なままであるだろう。」

部屋に重苦しい沈黙が漂い、壁の向こう側で無邪気に続くパーティーのこもった物音だけが、その静寂をわずかに乱していた。

—「ひとつのことについて」と香織は口を開いた。「父さまには私の考えがとても世間知らずだと思われるかもしれませんが、もしそれほど危険なことなら、なぜ政府は恐れて必要な措置を講じないのですか?」

それは僕が聞きたかった質問だった。香織は、いつものように僕より一歩先を行っていた。しかし、父は長い溜め息をついた。

—「確かに、それはとても素朴な、むしろ馬鹿げた質問だ」と父は答えた。

—「どうもありがとう」と香織が付け加えた。

—「まず第一に」と父は切り出した。「君が言う『政府』なんて、何一つ意見が一致することなんてないんだ。松方(まつがた)首相と、その内務大臣である品川(しながわ)殿は、上層部に広がるパニックに乗じて、次の選挙を操作し、自分たちに都合の良い国会を作り上げ、軍予算を可決させようとしている。というのも、国会は今日、解散されたばかりだからだ。この点では、有栖川宮(ありすがわのみや)さまや陸軍の山形(やまがた)殿も彼らに同調している。」

—「まあ、投票する日本人は100人に1人しかいないし、貴族院も奴らの手中に落ちているんだから、そんなことで天皇を倒せるわけがないわね」と香織子は言った。その皮肉たっぷりの口調は、父のお気に入りだった。

—「それなら、おまえが伝えてくれ。その一方で、陸軍省の大山(おおやま)や高島(たかしま)、海軍省の樺山(かばやま)は、市民に対して少しばかり寛容な姿勢を見せようとしており、他の連中の策略には反対している。他にもいろいろあるが……」

—「話が脱線していますね。では、秦(はた)氏について話に戻りましょう。」と香織子は言った。

—「シーッ。黙りなさい、この不幸な娘め。今挙げた連中――我々の間で権勢を振るう者たちでさえ、その名を聞くや否や恐怖で震え上がるのだ」と父は目を丸くして答えた。

—「それは一体なぜですか?」

—「なぜなら、その氏は、頭山の『玄洋社』が自由党の候補者たちに対してそうであるように、松方にとって不和を煽る上で非常に有用であるだけでなく、天皇を手のひらで転がしているという強みがあり、あらゆる脅威から身を守るために天皇の後ろに隠れているからだ。そして陛下のお言葉は神聖であり、誰もそれに逆らうことはできない。その一族は皇室と親密な関係にあり、そして……」

—「わかった、わかった。でも、なぜ? ええい、一体なぜなのですか!」と、香織子は喉を掻きむしりたくなるほど叫んだ。

—「言い過ぎた。もうダメだ。もっと詳しく知りたいなら、皇室に聞きに行けばいい。だが、他にもある」と、ついに海舟は言った。彼の視線が再び僕に注がれたが、その表情は僕には完全には読み取れなかった――憐れみか、あるいは後悔に近い慎重さだったのかもしれない。「その氏、少なくともその一員の中には、お前、香織子と何らかの利害関係――あるいは少なくとも何らかの関係――がある者がいる」

一瞬、僕の心臓が止まった。

—「何ですって?」と香織子は憤慨して尋ねた。

—「どんな関係だ?」と僕が尋ねると、僕の声は突然、より厳しく、彼女を守ろうとするような口調になっていた。

—「分からない」と海舟は認めた。その率直さは、予想に反して、計算ずくというよりはむしろ誠実なものに思えた。「何年も前に、噂の断片を耳にしたことがあります――出生や取り決めに関する、曖昧で、一度も確認されたことのない話で、二十年以上も前のことでした。詳細を知る機会は一度もありませんでした。その事情を知る者たちは沈黙を守り、口にした者たちは、俺と同じように、時や伝聞によって歪められた断片的な情報しか知らなかった。」

香織子は固まったままだった。畳はしっかりしているにもかかわらず、足元の地面そのものが揺らぐように感じられた。

—「つまり、おっしゃっているのは」と彼女は、思っていたよりもかすれた声で言った。「私自身は気づいていなかったけれど、私は最初からこの物語の一部だった、ということですね。」

—「その通りだ」と、海舟は、会話の冒頭に見られたような外交的な冷たさは微塵も感じられない真剣な口調で言った。「どこかに、お前をこの事件と結びつける何かがあるのだ。それは、長年の経験と人脈を持つ俺でさえ、完全には解明しきれないほど深い関係なのだ。そして、まさにその理由から、石場さん、お二人には可能な限り細心の注意を払って進めていただきたいのだ。なぜなら、相手はすでにあなたのことをすべて知っているかのように見えるのに、手探りで調査を進めれば、結末はただ一つしかあり得ないからだ。」

—「つまり、死ですね!」と彼女は皮肉な笑みを浮かべて付け加えた。

僕は無言で彼女の手を握った。彼女の親指が、凍りついた僕の指の上で安心させるような円を描きながら、僕は、近づいたと思うたびに執拗に逃げていく真実の散らばった断片を、あまりうまくいっていないものの、必死にまとめようとしていた。

—「許さないわ」と彼女はささやいた。だが、構わない。

父はため息をつき、今の若者のことについてぶつぶつと愚痴をこぼした。そして立ち上がった。

—「二人とも、よく聞いてくれ」と父は言った。「可能な限り慎重に進め、この一族の革命派の部分だけを調査するように。君たちの能力を疑っているわけではない。二人ともだ。だが、すでに君たちのことをすべて知っているかのような敵に対する調査は、このまま露見したまま進めば、破滅に終わるしかないからだ。それでは、良い夜を」

俺は彼の前で頭を下げたが、香織子はただ手を振っただけで、その痩せた顔に意味深な笑みが浮かんだ。

—「最後に一つ、清隆。」

—「何?」と俺は尋ねた。

—「頑張れ。あとはただ、加瀬の件に専念しろ。内閣が年明けまで与えた猶予期間は、単なる罠に過ぎない。お前は常に、いつでもどこでも監視され、評価されていることを肝に銘じておけ。香織子も同じだ。たとえお前たちが気づいていなくてもな。もし、加瀬の事件を疎かにして、あの氏に深く介入しすぎていると見なされたら、おまえは事件から外される……いや、間違いなく外されるだろう。最高レベルでの、おまえのカバーは俺が引き受ける。」

その脅しに胸が重くなったが、彼のその仕草に思わず心を動かされた。

—「ありがとうございます、父上。」


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