第二十話 異世界人な私
更新が遅れてすみません。
社会人紫苑ちゃんの日本帰国生活スタートです!
「紫苑・アクセル・ノルビです。
現在戸籍上の養父である曽祖父が北欧出身なのでこの名前ですが、父と母は日本人ですし私も小学校と高校は日本にいました。
一応ロンドン支社ではシステム部に所属していましたが、何もわからぬ新参者なのでご指導ご鞭撻のほど宜しくお願い致します」
背中までの金髪にヘーゼルアイズ、5feet8inch(約170cm位?)という、日本人女性の平均身長より明らかな長身に51/2(日本サイズだと24)のパンプス。
おまけに、あたしを連れて来てくれた人事部のお姉さんが大変ミニマムなのでよけい体格差が目立つったら……。
でも、自己紹介した後にきちんとお辞儀をしたんだよ?(昨日何故かマンションにいたヒロキ様に特訓されたんだけどさ…)
それなのに皆さんお地蔵さんのように固まってるって……どうよ?
でもその中にも例外はいるのだ!
ってか、この場合空気読めない人間になるのかな?
「いやぁ、あまりにも日本語が上手だから感心してしまったよ。」
「おそれいります」
ってか、両親共に日本人だってさっき言ったばかりじゃんっ!!
それに、小学校と高校も日本だったって言ったよね?あたし?
周囲の呆れた表情にもめげずにこのオジサマはペラペラと場を和ますつもり?で話し続ける。
「あ~、その、紫苑くん……いや、Miss.ノルビはシステム課に配属になるそうなんだけど、その前にここに慣れて貰う為に明日から1週間程システム課の研修を受けつつ各課の補佐について貰うので。
おい、そこの野郎共、くれぐれも『美人な英語の先生がきたぁ~(はあと)』なんて思うなよ?
TOEIC、TOEFLは自力で頑張ってこそ評価されるんだからな?
ってか、社長に禁止されてなきゃウチの娘の専用家庭教師をお願いしたいくらいだよ。
何しろ英語が致命的に悪くてなぁ…。
あ、国語は文学青年だった俺に似て平均はとれるんだぞ?
だが、化学と物理と数学と…………決して勉強が嫌いという訳ではないんだぞ?何しろ学生時代に文学青年と呼ばれたこの俺によく似てるんだからな?
勿論頭が悪い訳でもないぞ?ってか、それは言わなくてもわかるよな?何しろ………」
あの……いつまでお嬢様の自慢話を聞かせるおつもりでしょうか?
ってか、このオジサマって確か人事部の課長様だったよね?
大丈夫なのか?東京本社!?
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「え~と、その、え…えくす」
「あの、日本語で大丈夫です」
「あ!そうだったね…いや…そうでしたね。あの、制服を着てもら…いや…頂くんですけど…」
「あの、今は普通でいいですよ。二人だけですし、私、新人ですし」
「そう?助かるーーーーーーっ!ぶっちゃけあたしって丁寧語とけん…なんて言ったっけ?参るとかいうヤツ、アレ、苦手なんだよね~。
んでさ、ウチ、女子は制服着用がキマリなの!あたしに言わせれば今時古くね?って感じなんだけどさ?
そんでね?えっと、みす…なんだっけ?」
「紫苑でいいですよ?」
「紫苑?かたっ苦しいから“しおっち”ね?で、しおっちってさ、キカクガイだよね?
デルモ体系っつーの?だけどぉ、ザイコがあるかもしんないしぃ~?んでね、これからお店にチョクで行って欲しい訳ぇ~?」
キカクガイ……規格外の事だろう。
ザイコは在庫で、この制服を作っているお店に直接行けって指示なんだろうな。
「わかりました。お店の名前と場所を教えて下さい」
「おっけぇ~。ってか、一人でへーき?」
「地図と、念のためお店の電話番号もあれば」
「らじゃ~っ!あたし、絵、とくいだからぁ、まっかせてぇ~」
内巻きくるくる頭は予想していたけど、それでキーボードが叩けるのか?…的なネイルも想定内だけど、膝上丈の改造スカートもオフィスに相応しくないデザインのミュールも、きつい香水も気合の入ったメイクも…だけど。
この宇宙語は想定外だったっ!!
彼女の口から発せられる熟語が全てカタカナで変換されるのは何故?
福利厚生についてはこのおねーさんに聞けって言われたんだよね?さっきの娘自慢オジサマに!
笑顔を貼り付け、内心冷や汗タラタラなあたし。
そこへ…
「おっす!まきっち?ね、そこのパツキンねーさんがロンドンの?」
「さなえっち!ないすなたいみんぐ!!これからさ、しおっちが制服買いにいくんよぉ」
「らじゃ~。ついでにランチ?」
「のーぷろぶれむよぉ!あと10分だしぃ?ちょこっとのフライングはOKじゃね?」
………宇宙人二人目。しかも、彼女のネームプレートには『経理部』って書いてある。
同じような髪型に同じような靴、メイクは違うけどやっぱり派手目でこの口調。
しかも二人ともめっちゃ省略してるのに会話が成り立ってるし……
「んじゃしおっち、いくべ?」
「は…はぁ。よろしくお願いします」
キラキラネイルでばいばいと手を振る総務部のおねーさんに見送られ、あたしは経理部のおねーさんの後を追ったのだった。
……ってか、あたしの呼び方“しおっち”で決定?
************
「やべぇよ!何これ!にんげんのあしってこんなに長くなるのぉ~?」
「……同感。ってか、半分くれ」
『くれ』と言われても……ねぇ。
「ちちでかっ!」
「乳袋~(はあと)。あとでもませてちょ~」
……“向こう”では標準でしたが?何か?
それに!チチブクロって何!?チチブクロって!?
お店で在庫の確認をしたが……ッフ…無いどころか作ってもいなかったよ……
うん。これも想定内。
だが、いつのまにか総務の“まきっち”まで合流し、今はお店の人に採寸して貰っているんだけど……
「しおっちってさ、ぶっちゃけなんトウシンなん?」
「しらね~。ドラ〇もんの十倍じゃね?」
……測った事はないけど、確実に、20等身は無いと思うよ?
ってか、今、あたし、下着姿なんですけど?何で、ここに、アンタらがいるの?
「はい。お疲れ様でした」
「ありがとうございました」
「制服は……そうですねぇ、春夏用と秋冬用、外出用のコートも含めて1ヶ月くらいかかりますが」
「おっけーおっけー」
「のーぷろぶれむ」
メジャーを首にかけたこれまたちっこい店員さんが何故かあたしにでなく総務と経理の二人に話している。
「あの……」
「ん~と…ねぇ、しおっち、パンツスーツってあるぅ~?」
「え…ええ。ありますけど…」
「んじゃねぇ~。それで明日からおねがい~」
「???はぁ。わかりました」
「………ブツブツ…ヘタなカッコしてっと、カイジョとヒショレンがうるさくってさぁ……」
「え?今何か?」
「んにゃ?そいじゃ、きんちゃん、しおっちのセイフクヨロピク~」
きんちゃん?目の前の彼女のこと?もしかして“まきっち”さんはここの店員さんとも懇意なの?
「もっち!…ふっふっふ…ヒッサビサの理想体型!ああ!腕が鳴るわ!まきっち、さなえっち、感謝よ!」
「べ~つ~に~?シャチョーメイレイだしぃ?」
「あたしはしおっちつれてきただけだべ?」
「それでも一生に一度会えるか会えないかの逸材なのっ!!柏手打って拝みたいよ。ホントに。
何しろデザイン画そのもの~な体系って外人モデルくらいなんだからさ」
「へぇ~。きんちゃんもくろうしてんだ」
「そいじゃ制服だけじゃなくってさぁ、しふくもぉ、つくっちゃう~?」
「なぬ?し・ふ・く…とな?」
「ん。だってさぁ、しおっち、アシタからパンツスーツおんりーになるんだよぉ?」
「んだ。フダンギくらいはスカートはきたいじゃね?」
「ふっふっふ…まっかせなさぁ~いっ!!今流行のファッションコーデをしてあげるわさ!!」
「いいねぇ~」
「さんせぇ~」
ミニマム三人できゃっきゃと盛り上がっているところ悪いんだけど……あたし“元の世界“に帰りたいデス……。
紫苑ちゃん、不思議村来訪中です(笑)




