あなたのためと言いつつも②
「ここ、表現が被っているから、他の言葉に差し替えたら?」
宇垣さんの部屋。
彼女が執筆中の小説を添削。
「あと登場人物が多い時は、一人称を別々にした方が良い。誰が話しているのか、判りやすいから」
「こう……ですか?」
「うん、そんな感じ」
飲み込みが早いので教えがいがある。
一年前に比べると、格段に向上している。
その結果、コンテストで後塵を拝するのは、如何なものかと思わなくもないが。
「宇垣さん、そろそろ寝ない? もう遅いし」
睡眠不足はお肌の天敵。
中学生なら、あまり気にしなくても………いや、ニキビが出来るか。
「私の布団は?」
「そこにありますよ」
指差されたのは、彼女のベッドだった。
「マジで?」
「木村さんは良くて、わたしと一緒に寝るのは嫌とか言いませんよね?」
よもやと危惧していたが、その予感は的中した模様。
対抗心なのか、嫉妬なのか、その両方か。
「あのさぁ。私、寝相悪いし、イビキもかくから、布団は別にした方が良いよ?」
「次からは、そうします」
決意は固いらしい。
今宵は女子中学生と添い寝ですか。
自分も女性の肉体。朝まで彼女の両親と同じ屋根の下。
特殊なイベントは、何も発生しないと思われるが。
「宇垣さんにとって、私は一体何なの?」
常々考えていた事が、思わず口から零れ出た。
「わたしは栗田さんの親友です」
「じゃぁ、木村さんとも、一緒の布団で寝たいわけ?」
「彼女は、ただの同級生ですから」
絶対、親友の定義がおかしい。
「逆に聞きますけど。栗田さんにとって、わたしはどういう存在ですか?」
「それは………」
友達以上。
だが、恋人というほど愛しているわけでもなく。
暫し悩んだ後、唇を開いた。
「親友だと思う」
どうやら自分の親友定義も、ねじ曲がっているようだった。




