私とノベル――あとがき
私が小説を書き始めたのは、高校一年の頃だったと思います。
当時は今のようなツイッターやmixiのようなSNSサイトがほとんど知られておらず、パソコンも高価な時代でした。
コミュニケーションツールとしては、チャットや個人サイトの作成が流行っており、そこでいろいろとやりとりをしていました。小説の掲載は個人サイトで細々としており、現在でも残骸が残っています。
当時は特に真剣に小説を書こうと思っていたわけではなく、そのころ流行っていた「バトルロワイヤル」を真似した小説を、時間の空いた時に書いていた程度でした。
それからmixiが流行り、ツイッターが流行り、どこかで小説を投稿したいと思ってたどり着いたのが、「小説家になろう」でした。
投稿を始めた頃は、あまり小説作法に詳しくなく、なんとなく小説っぽくなるように書いていた程度でした。なので初期の作品には三点リーダーの使い方や、句点の使い方が結構間違っているところがあると思います。
次第に自分なりに、「いつか本を出したい」と思いながら小説の勉強をしてきました。ある時は小説の書き方に関するサイトを探したり、ある時はライトノベルの書き方の本を買ったり、実際に小説を読んでみたりと、方法は様々です。
そこで初めて知ったことがたくさん出てきたり、他の人から指摘を受けたり、徐々に小説としての体裁を作り上げていきました。
この「ワタシトノベル」は、数ある小説の書き方が書かれたエッセイの中でも、「自分の考え」を多く含んでいます。これは、他の小説の書き方と差別化させる目的もありますが、「単に小説の書き方だけを書く」だけじゃつまらないと思ったからです。
普段小説を書いたり読んだりしている時に考えたことをアウトプットしていく。こうすることで、自分自身の小説の参考にもなると思いました。
こうして書き始めたのが、このエッセイというわけです。
最初は小説の書き方についてを中心に書いていこうと思っていましたが、いろんな作品に触れたり、いろんな人の話を聞いたりしているうちに、「ここはこうした方がいいのではないか」「これはちょっとまずいのではないか」などと思うことがたくさん出てきました。
そういうこともメモしていくことで、他の人の参考にしてほしいですし、自分でも気を付けようと思うようになりました。後半は、割と物語の進め方に関することが多かったのではないかと思います。
このエッセイを書く上で一番気を付けたことは、「どうしてそう思ったのか」ということを明確にすることです。小説の書き方を書いたものには、「こうしなければならない」「こうするのが決まり」ということは書いていますが、「何故そうするのか」ということを書いていないことが多いのです。
自分の考えを書く以上は、「何故そう思ったのか」ということを明確にしなければ、相手に伝わりません。ですから、小説を書く人なら誰でも知っているような小説作法でも、「何故そうするのか」ということを出来るだけ書くようにしました。
商業小説の中には、小説作法を守っていないものがたくさんあります。特にライトノベルでは、文学小説とは違い、表現方法がかなり自由となっています。例えばフォントを変えたり、文字の配列を変えたり、挿絵や図をたくさん入れたりといった、文学小説ではやらないようなこともやっています。
ただ、これもあくまで「基本を知っていて、あえて表現の一環としてそういうことをしている」ものばかりでしょう。知っていてやるのと、単に真似するのでは大違いです。
小説の書き方は、基本的に自由だと思います。ストーリーに至っては、常識を打ち破るようなアイデアが無ければ、なかなか読んでくれません。
しかし、基本を知らなければあえて基本に従わない表現をうまく使うことはできませんし、常識を知らなければ常識を超えた話を作ることはできません。何事も、基本や常識は大切なのです。
感想では、「参考にさせてもらいます」「同感です」「なるほどと思いました」という意見をたくさんいただきます。でも、これはあくまで「私の考え」であり、すべてが正しいとも限りません。この通りに書けばおもしろい話が出来るとも限りません。
感想の中には「これはこういうこともあるから違うのではないか」という意見もあります。本来ならそういった意見がたくさん挙がるべきですし、その方が私にも読者にも勉強になります。本編だけでなく、感想欄も是非とも覗いてもらいたいと思います。
また、あなたの感じたこと、あなたなりの創作論についても、感想欄に遠慮なく残していただけたら幸いです。今後読んだ人の参考になりますし、あなた自身の考えの整理にもつながると思います。あらすじにも書きましたが、感想欄も含めて、すべてがこの作品です。間違っていても構いません。いろんな意見を聞いて、価値観をアップデートしていきましょう。
一度は完結した「ワタシトノベル」ですが、所都合で今日まで続けることになりました。ちょうど150部、20万文字、20万アクセス、1500ポイントとなったところで、完全に完結とさせていただくことになりました。
ここまで続けられたのは、たくさんの読者がいて、いろんな人の意見が聞けたからこそです。本当にありがとうございました。
まだまだ書きたいことが出てくると思いますが、それは続編の「ワタシトナロウ――私のなろうの使い方」に書いていこうと思います。
今後もこのエッセイが皆さんの助けとなることを祈りながら、「ワタシトノベル――私の小説の書き方メモ」を終わらせたいと思います。
2015.1.16 フィーカス( ・_・)b