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第9話 元婚約者の釈明

数日後、ユリウスから手紙が届いた。


『すべては君を王都の醜聞から遠ざけるためだった』


 言い訳としても手垢がついている。私はその手紙を読み上げる気にもなれなかったが、アルノーに促されて封を開いた。


「読む必要がある」


 彼の言葉に従い、私は文面へ指を触れる。


 作成補助者、リディア・フォルクナー。


 目的、慰留阻止。


 追記事項、装丁庫視察日は明後日。


「釈明ですらありませんね」


 私は乾いた笑いを漏らした。


「私が王都へ戻らないよう、装丁庫へ入る日程だけをわざわざ残しています」


「なら使える」


 アルノーはそれだけ言って、北辺文庫の馬車手配を命じた。


「王都へ行く」


 唐突な宣言に私は目を瞬いた。


「一人ではありませんよね」


「当然だ。私の領から持ち出された本も含まれている」


 無口な辺境伯は、必要なときだけ迷わず前へ進む。その横顔を見ていると、不思議なくらい心が落ち着いた。


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