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第6話 義妹から届いた読書会招待状
王都から届いた厚い封筒は、甘い香油の匂いで満ちていた。
リディアからの招待状だった。婚礼前の読書会を新蔵書室で開くという。真珠色の紙には、私が母から受け継いだ百合紋を模した蔵書印が押されていた。
『姉さまの愛した本たちも、きっと華やかな場所の方が喜ぶわ』
文字より先に印の歪みが目に入る。正式な百合紋に見せかけているが、花弁が一枚だけ浅い。
「義妹か」
アルノーが向かいの机から訊いた。
「ええ。私の本棚で、自分の花嫁文庫を披露するつもりです」
私は封筒へ指を置く。
押印者、リディア・フォルクナー。
借用権限、エリナ・フォルクナー蔵書印。
「……やはり私の認証が使われています」
「返納したはずの印か」
「婚約解消より前に、きっと写しを取られたんです」
アルノーは招待状を閉じると、静かに言った。
「行く気はあるか」
「祝福のためではありません」
私は封を伏せた。
「最初から、あれが私の本だったと証明しに行きます」




