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第11話 書庫係たちの証言

王立蔵書局へ戻ると、かつて一緒に働いていた書庫係たちが、私をこっそり物置部屋へ招き入れた。


「あなたの蔵書、夜ごと運び出されていたの」


「でも局長も補佐官も黙っていたから、誰も逆らえなくて」


 彼女たちは震える声で証言した。閲覧室の鍵の写しが作られたこと。婚礼準備室へ入る荷箱の数が、義妹の持参金としては異常だったこと。私の朗読記録票が勝手に複写されていたこと。


「どうして、今になって」


 私が訊くと、最年長の書庫係が眉を下げた。


「あなたが戻ってこないと、本当に全部なかったことにされるからよ」


 私は息を呑んだ。かつての同僚たちは、何も知らなかったわけじゃない。ただ、王都では沈黙の方が安全だっただけだ。


「ありがとうございます」


 そう言うと、アルノーが横で低く告げた。


「証言は私の領で保護する。名前は伏せる」


 彼女たちの顔がほっとゆるむ。守ると決めたものを、彼は淡々と守る人だ。その在り方が、私には眩しかった。


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