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44.捜索

 アミーガは既に今日の営業を終えていたけれど、裏の事務所のほうから光が漏れていた。


 そちらに顔を出すと、日野さんが諸々の処理をしていた。

 こなたちゃんのことは見ていないと言っていたけど、日野さんも仕事を中断してこなたちゃんを捜してくれることになった。


 日野さんは戸締りなどがあるから、おれたちだけ先にアミーガを出る。


 近所の公園には花火から流れてきたカップルっぽいのがふた組ほどいるだけだった。

 なにやら密着してあれこれしているカップルをあえて見ないようにしつつ遊具の中や陰、茂みの後ろまで捜したけれど、子どもの姿はない。

 おれたちはそれだけ確認すると、急いで公園から飛び出した。


 小学校は玄関の外灯だけはついているものの、完全に真っ暗だった。


 驚いたことに、正門と思われる門は開けっ放しになっていて、夜間でも出入りできた。

 開けっ放しというか、門と思しき石柱が左右に二本立っていたけれど、それらのあいだに渡す柵がなかった。


 門を閉めて校内を閉鎖する必要がないということなんだろう。

 門がなくたって、子どもたちは無事学校生活を送れているってことだ。

 おれの通っていた小学校は、どの門も生徒の登校後は閉められて、遅刻した時なんかはインターフォンを鳴らして職員の誰かに通用門を開けてもらわなければ校内に入れなかった。


 さすがに校舎には鍵がかかっていた。

 念のため、校舎の周りをぐるりと一周する。

 飼育小屋の動物たちはすっかり寝入っているのか静かなものだ。


 体育館、プール、遊具、どこを見ても、こなたちゃんたちの姿はない。


 八上たちからは定期的にメールが届いていたけれど、芳しい報告はまだない。

 いつも、いったいどこで遊んでいたんだろう。


 境内も鳥居のところのブランコも、とっくに八上たちが捜している。


 他に行きそうな場所……。


「……海?」

「え?」


「貝を拾って遊んでたんだ、って前に聞いたことがあるんだ。もしかしたら海にいるのかも」


 夜の真っ暗な海を思い出し、ぞっとする。


「急ごう」


 夜の海を目指して、おれたちは駆け出した。 

 


 さっきまで花火で賑わっていたとは思えないほど、海岸は静まり返っていた。

 波の音と、背後の道路を走る車の音が聞こえるだけだ。


 防風林を抜けて、砂浜に出る。

 この砂浜は、山から見たとき、美しい弧を描いていた半島の縁にあたる。


 どこにいる?


 小学校から真っ直ぐ海へ向かったから、今いる場所は花火が上がっていた場所よりもやや西よりになる。

 花火が仕掛けられているところには近づけなかっただろうし、夜に小学生の女の子がひとりでいるところを大人が見かけていれば、きっと声をかけるはずだ。


 となると、会場から少し離れたこちらのほうにいる可能性が高いかと思ったんだけど。


「あっ」


 天音さんが短く声を上げて波打ち際を指さす。


「いた!」


 天音さんが指さしたその先に、波打ち際にしゃがみこむこなたちゃんと、おさげの女の子の姿があった。

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