38.尾行
「あの三人と同じゼミってのは本当なのかな?」
「そうみたい。昼間も、そんな話してた」
結局、おれと天音さんは尋さんのことが気になって、五人のあとを尾行していた。
「でもなんで急に……」
「ゼミの時、みんなで花火行こう、みたいな話題が出てたらしくて、ちょうどいいからこれからどう? って」
仲のいい友だちなら、大丈夫なのか? おれが心配し過ぎなのか?
「あっ!」
「え? あ!」
浜に近づくにつれて人が多くなってきていた。
夜だからあたりは暗いけれど、天音さんも夜目は利くみたいで、距離はあっても尋さんの姿を捉えることができていた。
それなのに、脇道から集団が流れ込んできて視界が遮られたわずかな隙に、尋さんの姿を見失った。
「なんで!?」
尋さんだけでなく、一緒だったつっちーも、男たちももちろん一緒に姿を消していた。
慌ててさっきまで尋さんたちがいたところまで駆け寄る。
前にも後ろにも、尋さんたちの姿がない。脇道へ入った? 左右の脇道を見ても、それらしい姿はない。
どこかで、エンジンの音が聞こえた。
自動車?
赤いテールランプの光が見えた。
脇道に入って、更に左へ折れたほうだ。
けれどおれがそこまでたどり着いた時には、既に自動車は見えなくなっていた。
「くそっ」
尋さんの携帯へ電話をかける。
『ただ今電話に出られません、御用の方は……』
聞こえてきた機械音声に、いやな予感がする。
「大和くん?」
からん、と下駄の音がして名前を呼ばれた。
振り返ると、息を切らせた天音さんが立っていた。
「ごめん、置いてきちゃって」
「ううん。それより、尋さんは……」
「携帯に出ないんだ。さっき車のテールランプの明かりが見えたけど、それに尋さんが乗ってたのかはわからない」
「恙くんに電話しよ」
なにもなければいい。でもなにかあってからじゃ遅い。
「そうだね」
その時、ドーンという大きな音が響いた。
花火の音に驚いたのか、天音さんがびくりと飛び跳ねる。
ぱっと周囲が明るくなる。
空を仰げは、そこには大輪の花が咲いている。
花火が始まった。
周囲の喧騒と花火の音。
八上は電話に気づくだろうか。
出てくれ、八上。
おれは祈りながら、八上へコールした。




