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【6】宗明:なんという迂闊1

 代筆屋を出た宗明(ソウメイ)は、三歩ほど歩いてから立ち止まった。


(――明(メイ)さま?)


 そんなふうに自分を呼んでいたのは一人しかいない。


 凛(リン)。お前なのか。

 男の格好をして、代筆屋を。


 思わず振り返り、代筆屋の店を見つめる。薄暗い店内が、玻璃(はり)越しにぼんやりと見える。


(凛)


 もう一度引き返そうと一歩踏み出し、そこで、はたと気づく。


(俺は、本人に言ってしまったのか?)


 恋文を頼む、と。


 なんという迂闊……!


 宗明はその場でしゃがみこんだ。膝に額を置き、何度か深呼吸をする。


 しばらくそうして、彼はゆらりと立ち上がった。


 三日後に、自分の恋文が出来上がる。他ならぬ、彼女の手によって。






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