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『海から百万石 ~江戸時代に転移した国交省の土木職員、水守と河童と有明海の大干拓に挑む~』  作者: 天手古まい


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第四十九普請 長崎から来た風

長崎から、明美が諫早へやって来ました!

初めて目にする干拓地、成長した子どもたち、そして人間と河童が力を合わせて暮らす村。

長崎では商いを教える側だった明美が、今度は諫早で何を見つけるのでしょうか。

今宵、有明海の風に乗って、歌声が響きます。

 長崎から諫早へ向かう道に、秋の風が吹いていた。


 山あいの道を抜けると、視界がぱっと開ける。


 遠くに広がるのは、有明海。


 そして、その手前には、海から生まれた田畑が続いていた。


「……まあ!」


 明美が思わず足を止めた。


 長崎の港では、幾艘もの船が行き交い、唐人も南蛮人も、商人も職人も忙しなく働いている。


 だが、ここには港町とは違う賑わいがあった。


 黄金色の稲穂を刈り終えた田。


 畦を歩く農夫。


 水路の脇で何やら言い争っている子どもたち。


 遠くから聞こえる、木槌の乾いた音。


「白瀬様。あれが、皆さんで造った田んぼなのですか?」


「ああ。もともとは海だったところもあるんだ」


「本当に……?」


 明美は目を丸くした。


「海が、田んぼになるなんて……」


「正確には、海から少しだけ土地を借りているんだよ」


 白瀬がそう言うと、隣を歩いていた澪が小さく頷いた。


「そうじゃ。海は奪うものではない。水の通り道を残し、人の暮らしと折り合いをつけておる」


「……素敵ですね」


 明美はもう一度、田畑を見渡した。


「長崎では、船が運んでくる品物を見て、豊かさを感じていました。でも、ここでは……豊かさそのものを造っているように見えます」


「そんな立派なものじゃないよ。失敗ばっかりだ」


「ふふっ。白瀬様は、いつもそう仰るのですね」


 すると、後ろから威勢のよい声が飛んできた。


「失敗ばっかりじゃなかばい!」


 ガタ吉だった。


「おいたち河童水工衆が、どれだけ頑張ったと思っとるとね!」


「もちろん知っていますよ、ガタ吉さん」


 明美が振り返って微笑む。


「長崎でも、ずいぶんお元気でしたもの」


「おう! 長崎はよかところたい! 旨かもんも、いっぱいあったけんな!」


「結局、食べ物の話か」


 白瀬が呆れる。


「そいは大事なことたい!」


 ガタ吉は胸を張った。


「ところで明美、諫早にも旨か団子のあるとばい!」


「まあ、本当ですか?」


「澪の団子たい!」


「ガタ吉!」


 澪の声が飛んだ。


「勝手にわたしの団子を売り物にするでない!」


「売り物じゃなか! おもてなしばい!」


「作るのは誰じゃ!」


「……澪?」


「まったく!」


 白瀬が吹き出す。


 明美も声を立てて笑った。


 長崎で知り合ったときから、何とも賑やかな一行だった。


 けれど、彼らがこれから自分に見せてくれるものを、明美はまだ知らなかった。


     ◇


「白瀬しゃーん!」


 村の入り口に差しかかると、小春が駆けてきた。


「おかえり! ……あっ!」


 白瀬の後ろにいる明美を見つけた途端、ぱっと顔が輝く。


「明美姉ちゃん!」


「小春さん!」


「本当に来てくれたとね!」


「ええ。お邪魔しますね」


「邪魔なんかじゃなか! こっち、こっち!」


 小春は明美の手を取ると、村の中へ引っ張っていった。


「おたえー! 明美姉ちゃんの来たばーい!」


 その声に、四面蔵の方からおたえが飛び出してきた。


「えっ!? もう着いたとね!」


「おたえさん。お元気そうですね」


「明美姉ちゃん!」


 おたえは勢いよく駆け寄ったが、途中でぴたりと止まった。


 背筋を伸ばし、胸を張る。


「長崎では、お世話になりました。おいでいただき、ありがとうございます!」


 妙にかしこまった挨拶だった。


 明美は一瞬きょとんとして、それから笑った。


「まあ。立派な商人さんになりましたね」


「えへへ……」


「でも、そんなに畏まらなくてもよろしいのに」


「そ、そうね! うちも、ちょっと練習しただけたい!」


「何の練習だよ」


 白瀬が突っ込むと、皆が笑った。


 騒ぎを聞きつけて、長吉も健太も源太もやって来た。


 明美は一人ひとりと挨拶を交わす。


 長崎では商いのために忙しく動き回っていた子どもたち。


 だが、ここでは皆の表情が違って見えた。


「明美姉ちゃん! うちの蔵ば見てくれんね!」


 おたえが胸を張る。


「蔵?」


「四面蔵たい!」


     ◇


 村の一角に建つ四面蔵。


 そこには米や乾物、道具、修繕用の資材などが、用途ごとに分けて収められていた。


 おたえが帳面を広げる。


「こっちは米。こっちは魚の干物。それから、こっちが水路ば直すときの道具と材料たい」


「まあ……」


 明美が感心したように覗き込む。


「きちんと分けているのですね」


「そいは当たり前たい! 混ぜたら分からんようになるけん」


「それに、何のために蓄えるのかも、ちゃんと書いてある……」


 明美の目が、一つの記録に留まった。


『水路修繕用』


『飢饉備え』


『次の作付け』


 文字には多少の不揃いがあった。


 書き慣れていない手つきも感じられる。


 けれど、そこには大切なものがあった。


「おたえさん。これは、どなたが考えたのですか?」


「白瀬しゃんが最初に教えてくれたと。でも、何ばどれだけ残すかは、みんなで相談しよる」


「……そうなのですね」


 明美は感心した。


 商いでは、品物を売って銭を得る。


 けれど、この蔵は違う。


 すぐに売れば銭になるものを、あえて残している。


 困ったとき、誰かが飢えないために。


 水路が壊れたとき、すぐ直せるように。


 次の年も、また米を育てられるように。


「まるで……村全体が一つのお店のようですね」


「店?」


「ええ。ただし、儲けるためだけのお店ではありません」


 明美は微笑んだ。


「皆さんの暮らしを守る、大きなお店です」


 おたえは嬉しそうに笑った。


「そい、よか言い方たい!」


 しかし、すぐに真顔になる。


「でも、こいは商いの銭とは別にせんばいかんとよ」


「どうして?」


「長崎で習ったけん。売れるからって、何でも売ってよかわけじゃなか」


 明美は少し驚いた。


 第48普請。


 堺屋重兵衛との商売勝負で、おたえは安売りだけでは客も村人も守れないことを知った。


 そして今、その教訓を自分の言葉で話している。


「……立派になりましたね」


「まだまだたい!」


 おたえは照れ隠しに鼻を鳴らした。


「いつか明美姉ちゃんより大きな商いばすると!」


「ふふっ。楽しみにしています」


「そんときは、うちが先生になるけんね!」


「まあ。それなら、今のうちにたくさん教えておかなくては」


「えっ!?」


 明美の目がいたずらっぽく光った。


「これからは、もっと厳しくいたしましょうか?」


「……今までどおりでよかです!」


 蔵の中に笑い声が響いた。


     ◇


 その日の午後。


 健太が待ちきれない様子で、明美の荷物を覗き込んでいた。


「明美姉ちゃん。例の紙は?」


「あら。ご挨拶より先に、そちらですか?」


「さっき挨拶したばい!」


「ふふっ。そうでしたね」


 明美は風呂敷を開いた。


 中から取り出したのは、数枚の紙。


 色も厚みも違う。


 滑らかなもの。


 少しざらついたもの。


 繊維の筋が見えるもの。


 そして、父の鈴建華から預かった文だった。


「父が、唐商人の方に頼んで分けていただいたものです」


「ほほう……」


 白瀬も興味深そうに紙を手に取った。


 長崎で唐商人から聞いたという話。


 海辺の葦。


 山の木皮。


 清らかな水。


 それらを用いて紙を作れないかという、新しい商いの可能性だった。


「こい、ほんとに木の皮から作れるとね?」


 健太が紙を光に透かす。


「作れるよ。日本でも楮の皮なんかを使って、昔から紙を作っているんだ」


「じゃあ、おいたちにも作れるばい!」


「待て待て」


 白瀬が苦笑した。


「作り方を知っているのと、実際に作れるのは別だぞ」


「なら、試せばよか!」


「……まあ、それはそうだな」


 健太の目が輝いた。


 こうなったら止まらない。


 長吉の家の納屋を利用した工房へ駆け込むと、竹を削り始めた。


 白瀬が紙を漉く道具について説明する。


 健太が作ったのは、小さな竹の枠と簀。


 まずは大きな紙を作ろうとせず、手のひらほどの小さな一枚を試すことにした。


 楮の皮を集め、灰を使って煮る。


 よく洗い、柔らかくなった繊維を叩いてほぐす。


 木の皮の処理には時間がかかるため、最初の試作は翌日以降となった。


 それでも健太は、夕暮れまで道具をいじっていた。


「健太。そろそろ飯だぞ」


「あと少したい!」


「その台詞、三度目だぞ」


「今度こそ、あと少したい!」


 白瀬は苦笑した。


 自分にも覚えがあった。


 ものを作るのが面白くなると、時間を忘れてしまう。


 現代なら、図面を引き、数字を確かめ、何度でも試作できる。


 けれど、この時代は違う。


 材料を探すところから始めなければならない。


 それでも健太は、面倒くさがらない。


 むしろ、楽しそうだった。


「……いい技術者になるな」


 白瀬が呟くと、隣の澪が頷いた。


「おぬしに似たのじゃろう」


「え?」


「一度始めたら、飯も忘れて夢中になるところじゃ」


「……それは褒めてるのか?」


「さあな」


 澪は涼しい顔をしていた。


     ◇


 翌日の昼過ぎ。


「……破れた」


 工房から、健太の情けない声が聞こえてきた。


 最初の試作は失敗だった。


 水の中にほぐした繊維を入れ、竹の簀ですくい上げる。


 ところが、繊維が偏ってしまい、持ち上げようとすると、あっさり崩れた。


「なんね、こい……」


 健太が肩を落とす。


 ガタ吉が覗き込んだ。


「紙というより、濡れた藁たい!」


「ガタ吉!」


「何ね! 本当のことばい!」


「じゃあ、ガタ吉が作ってみらんね!」


「お、おいは水路が専門たい!」


 都合よく逃げようとするガタ吉に、子どもたちが笑った。


 白瀬は失敗した繊維を指先でつまんだ。


「健太。どうして破れたと思う?」


「……繊維の絡みが足りんとかもしれん」


「ほかには?」


「水の中で、片寄っとる」


「うん」


 そこで澪が口を開いた。


「水の動きが荒すぎるのではないか?」


「水?」


「強く揺らせば、軽いものは片寄る。静かに動かせば、広がり方も変わろう」


 健太は目を輝かせた。


「そいか!」


 もう一度。


 今度は水を静かに揺らし、繊維を広げる。


 だが、やはり均一にはならない。


 おたえが腕を組んだ。


「こいは売り物にはならんね」


「まだ始めたばっかりたい!」


「分かっとる! そいけん、まず使えるようにせんば!」


「……おたえ、前ならもう売る値段ば考えとったろ?」


 源太が横から言う。


「う、うるさか!」


 おたえは顔を赤くした。


「商売は信用たい! そいくらい、うちも分かっとる!」


 白瀬は思わず笑った。


 少し前なら、出来損ないでも売り物にする方法を考えていただろう。


 しかし今は、使えるものを作る方が先だと言っている。


 子どもたちは、確かに成長していた。


 そのときだった。


「白瀬どん!」


 工房の外から、切羽詰まった声が響いた。


「水路の様子がおかしか!」


     ◇


 白瀬たちが駆けつけると、田へ水を分ける水路の上流側で、水位が上がっていた。


 昨夜、山の方で降った雨。


 その雨が押し流した枝や枯れ葦が、水門の前に絡みついていたのだ。


 水は出口を失い、堰き止められるように溜まっている。


 土手の低い部分では、じわじわと水が染み出していた。


「こいつはまずいな……」


 白瀬が水位を見ようと近づく。


 そのとき、長吉が声を上げた。


「白瀬しゃん、待ってくれんね!」


「長吉?」


「こいは、おいたちに任せてくれんね!」


 白瀬は驚いた。


 長吉が、すでに水路を見渡している。


「源太! 今、潮はどがんなっとる?」


「もう少しで引き始める! ばってん、出口の水位ば確かめんば!」


「健太! 詰まっとる枝ば引っ張る道具は?」


「ある! 長か柄に鉤ばつけたやつたい!」


「小春! 大人たちば呼んできて!」


「分かった!」


「おたえ! 蔵の木材と縄ば確認してくれんね!」


「任せんしゃい!」


 次々と動き始める子どもたち。


 白瀬は一瞬、言葉を失った。


 誰も指示を待っていない。


 自分たちで考え、必要なことを始めている。


「……すごいですね」


 隣で明美が呟いた。


「皆さん、何をすればよいか分かっているのですね」


「ああ……」


 白瀬は頷いた。


「いつの間にかな」


 だが、感心している暇はなかった。


「健太! まだ引っ張ったらいかん!」


 長吉の声が響いた。


 健太が長い鉤を使って、枝を動かそうとしていたのだ。


「なんでね!? こいば取れば水の流れるばい!」


「一気に流れたら、下の土手が危なか!」


 澪が水路を見つめる。


 その瞳に、人には見えない水の筋が映っていた。


「長吉の言うとおりじゃ。今、あの詰まりを取れば、水が一度に押し寄せる」


 長吉が頷いた。


「先に逃し水路ば使おう!」


 以前の普請で設けた、水を分けて逃がすための水路。


 普段は必要に応じて流れを調整している場所だった。


 しかし今は、そこへも無闇に水を流せない。


 下流側の水位を確かめ、出口に余裕があるかを見なければならない。


 源太が走って戻ってきた。


「潮の引き始めた! 下の方は流せるばい!」


「よし!」


 長吉が声を張り上げる。


「ガタ吉! 向こうの水門ば見てくれんね!」


「任せんしゃい!」


 ガタ吉は河童水工衆を呼び集めた。


「おいらの出番たい! みんな、行くばい!」


 河童たちが次々と水辺へ向かう。


 水の中を自在に動ける彼らにとっても、流れの急な場所は危険だ。


 だからこそ、まず水の勢いを弱める。


 ガタ吉が自ら水門の具合を確かめ、仲間に声を飛ばした。


「急ぐなよ! せき板ば少しずつ動かすとたい!」


 水が、別の道へ流れ始める。


 上流の水位がゆっくりと下がっていった。


「まだじゃ!」


 澪が叫ぶ。


「土手の内側に、水の力が残っておる!」


 長吉が足元を見た。


 土の隙間から、水が細く染み出している。


「ここば補強する!」


 村の大人たちが、土を詰めた俵を運んできた。


 健太は道具を持って走り回る。


 小春は人々の間を駆け、作業の順番を伝える。


 おたえは運び出した資材の数を確かめながら叫んだ。


「縄はこっち! 木材はあと三本あるばい!」


 白瀬も大人たちと一緒に土俵を運んだ。


 誰か一人が英雄になるのではない。


 皆が、自分のできることをする。


 やがて水位が十分に下がり、ガタ吉たちが詰まった枝を取り除いた。


 濁っていた水が、ゆっくりと本来の道を流れ始める。


「……よし!」


 長吉が拳を握った。


「流れたばい!」


「やったーっ!」


 小春が飛び跳ねる。


 健太も源太も歓声を上げた。


 村人たちからも、安堵の声が広がった。


 白瀬は大きく息を吐いた。


 土手は守られた。


 田も、水路も。


 何より、誰一人怪我をせずに済んだ。


「よくやったな、みんな」


 白瀬が言うと、長吉が照れくさそうに笑った。


「白瀬しゃんに教えてもろうたけん」


「いや」


 白瀬は首を振った。


「今日、どうするか考えて決めたのは、お前たちだ」


 長吉は少し驚いた顔をした。


 そして、胸を張った。


「……なら、次はもっと上手にするばい!」


「頼もしいな」


 白瀬は笑った。


 澪が隣へ来る。


「白瀬。嬉しそうじゃな」


「ああ。みんな、立派になったよ」


「少し寂しそうでもあるぞ」


「……分かるか?」


「分かるとも」


 澪は水路を見つめた。


「おぬしが教えたことを、皆が自分のものにしたのじゃ」


「そうだな」


「よいことではないか」


「ああ……本当に」


 白瀬は、水路の向こうに広がる田畑を見つめた。


 いつか、自分がここにいなくなっても。


 きっと、この村は生きていける。


 ふと、そんな考えが胸をよぎった。


     ◇


 作業を終えた白瀬は、すっかり泥だらけだった。


 足袋にも裾にも、乾きかけた泥がこびりついている。


 それを見た澪が、呆れたように眉を寄せた。


「まったく、白瀬。少しは己の身もいたわれ」


「大丈夫だって。これくらい」


「いつもそう言う」


 澪はため息をついた。


「おぬしは、すぐ無茶をする。……だから目が離せぬのじゃ」


「そんなに無茶してるかな?」


「自覚がないのが、いちばん困る」


 澪は懐から手拭いを取り出した。


「ほれ。顔まで泥だらけではないか」


「ありがとう、澪」


「礼などいらぬ」


 そう言いながら、澪は白瀬の頬についた泥を、そっと拭い取った。


 白瀬はされるがままだった。


 あまりにも自然なやり取り。


 何か特別なことをしているという意識は、二人ともないのだろう。


 少し離れたところで、明美がその光景を見つめていた。


 長崎では、白瀬は商いを学ぶ者だった。


 明美が知っていることを尋ね、時には失敗し、時には笑っていた。


 けれど、この村では違う。


 子どもたちは白瀬を先生と呼び、大人たちは彼を信頼している。


 そして、澪は。


 その白瀬の隣に、当たり前のように立っている。


「……お似合いですね」


 思わず呟いてから、明美ははっとした。


 誰にも聞こえていない。


 それなのに、少しだけ胸が落ち着かなかった。


 どうしてだろう。


 自分でも、まだ分からなかった。


     ◇


 その夜。


 村の広場には、久しぶりに賑やかな声が響いていた。


 水路の無事を祝い、明美を歓迎するための、ささやかな宴である。


 大きな御馳走があるわけではない。


 採れた野菜。


 焼いた魚。


 炊きたての米。


 それに、皆で持ち寄った料理。


 けれど、そこには笑顔が溢れていた。


「明美姉ちゃん!」


 小春が駆け寄る。


「お願いのあるとばってん!」


「何かしら?」


「歌ば聴かせてくれんね!」


「歌?」


「うん! 長崎では歌いよるっちゃろ?」


 おたえも加わった。


「せっかく長崎の歌姫が来てくれたとよ! 聴かんば損たい!」


「まあ、歌姫だなんて……」


 明美が頬を染める。


「ほんとのことたい!」


 小春は胸を張った。


「明美姉ちゃんの歌、うちら大好きたい!」


「……ありがとう」


 明美は微笑んだ。


「それなら、一曲だけ」


「やったーっ!」


 子どもたちの歓声が上がる。


 健太が急いで板を運んできた。


 長吉が支えを置き、簡単な台をこしらえる。


 源太は明かりを用意した。


 気がつけば、村人たちが広場へ集まり始めていた。


「おいおい、ちょっと待て!」


 白瀬が笑いながら言った。


「いつの間に舞台まで造ってるんだよ!」


「歌姫には舞台のいるばい!」


 健太が得意げに答える。


「そいはそうじゃな!」


 ガタ吉まで胸を張っていた。


 明美はその様子を眺めて、くすりと笑った。


 長崎の店では、客に楽しんでもらうために歌う。


 けれど今夜は違う。


 誰もが、ただ歌を楽しみにしている。


 それが不思議と嬉しかった。


 明美は三味線を手に取った。


 夜風が、花飾りを揺らす。


 広場のざわめきが、少しずつ静まっていく。


 そして――。


 最初の一音が、秋の夜空に響いた。


     ◇


 明美の歌声は、澄んでいた。


 長崎の港で覚えた旋律。


 船を待つ人々。


 海を渡る商人。


 遠い故郷を思う者たち。


 そんな人々の姿が、歌声に浮かんでくるようだった。


 村人たちは、じっと耳を傾けている。


 子どもたちも、いつになく静かだった。


 白瀬は目を閉じた。


 長崎で初めて聴いたときも、美しい声だと思った。


 けれど今夜は、また違って聞こえる。


 明美の歌が、有明海の風と重なっていた。


 やがて明美は、ふと顔を上げた。


 目の前には、今日出会った人々がいる。


 泥だらけになって水路を守った子どもたち。


 笑い合う大人たち。


 河童と肩を並べて飯を食べる漁師。


 そして、水の流れを見つめながら微笑む白瀬と澪。


 明美の胸に、新しい言葉が浮かんだ。


 歌詞を、少しだけ変えてみる。


「潮が満ちれば 舟が来る――」


 歌声が広場に響いた。


「潮が引いたら 道が見える――」


 小春が、そっと手を叩き始めた。


 ぱん。


 ぱん。


 ぱん。


 やがて、おたえも手拍子を始める。


 長吉が笑い、源太も手を叩いた。


 明美は歌い続けた。


「離れた土地にも 灯はともる――」


 そして。


「人の心が 橋になる――」


 その瞬間。


「……あっ!」


 小春が立ち上がった。


「おたえ! 皿ば持ってきて!」


「皿?」


「あの踊りたい!」


 第二十一普請の祝宴。


 白瀬が披露し、村人たちが面白がって真似をした、あの皿の踊りだった。


「よっしゃ!」


 おたえが走る。


 ほどなくして、木皿や素焼きの皿が運ばれてきた。


 小春が両手に皿を持ち、調子を合わせて打ち鳴らす。


 かん。


 かん。


 かん。


 皿の音が、三味線の拍子に重なった。


「おおっ!」


 村人たちから歓声が上がる。


「こいは面白か!」


「おいも踊るばい!」


 長吉が立ち上がる。


 健太も加わる。


 気がつけば、何人もの村人が輪になっていた。


 明美は驚いた。


 歌に踊りが加わっていく。


 しかも、誰かが決めた振りではない。


 皆が、自分の思うように体を動かしている。


 皿の音が鳴る。


 足が土を踏む。


 笑い声が弾む。


 それは、長崎の店で見せる芸とは違った。


 歌う者と、聴く者。


 その境目が、いつの間にか消えていた。


「おいも踊るばーい!」


 ついにガタ吉が飛び出した。


 両手に皿を持ち、得意げに跳ね回る。


「ガタ吉! 気をつけろ!」


 白瀬が叫ぶ。


「大丈夫たい! おいは河童水工衆の――」


 ぱりん。


 乾いた音が響いた。


 ガタ吉が固まる。


 足元には、割れた皿。


「……あ」


 小春が悲鳴を上げた。


「ガタ吉ーっ!」


「ち、違うとばい! 皿の方が勝手に……!」


「皿が勝手に割れるか!」


 白瀬の突っ込みに、広場が大爆笑に包まれた。


 明美も、とうとう歌いながら笑ってしまった。


 それでも、三味線の音は止まらない。


 歌も、踊りも、笑い声も。


 すべてが一つになっていく。


 明美は胸の奥が熱くなるのを感じた。


 ――なんて、楽しいのだろう。


 長崎では、自分の歌を一人でも多くの人に聴いてほしかった。


 いつか大勢の前で歌いたい。


 そんな夢を持っていた。


 けれど今夜、初めて気づいた。


 ただ聴いてもらうだけではない。


 歌が、人と人を結ぶ。


 知らない者同士が笑い合い、同じ拍子で手を叩く。


 その輪の中に、自分もいる。


 明美は空を見上げた。


 星が輝いていた。


 いつか。


 いつか長崎の町でも。


 こんなふうに、皆が一緒に歌い、踊れたなら。


 唐人も、日本人も。


 商人も、職人も。


 男も、女も。


 誰もが笑顔になれるような、そんな日が来たなら。


 そして、町の神様の前でも、皆で喜びを分かち合えたなら――。


 きっと、素敵だろう。


 明美は微笑んだ。


 それは、まだ名前すらない、小さな夢だった。


     ◇


 宴が終わった頃には、夜もすっかり更けていた。


 人々が家へ帰り、広場には片づけをする者たちだけが残っている。


 明美は水路のそばに立ち、静かに流れる水を眺めていた。


「明美さん」


 振り返ると、白瀬がいた。


「今日はありがとう。みんな、本当に喜んでたよ」


「こちらこそ。こんなに楽しく歌ったのは、初めてかもしれません」


「そうなの?」


「ええ」


 明美は微笑んだ。


「長崎では、歌うのは私の役目でした。でも、今夜は皆さんと一緒に歌っているようでした」


「確かに、すごかったな」


「ふふっ。ガタ吉さんも」


「あいつは皿まで割ってくれたけどな」


 二人は笑った。


 しばらくして、明美がぽつりと言った。


「白瀬様」


「ん?」


「……また、ここへ来てもよろしいでしょうか?」


 白瀬は少し驚いた顔をした。


 そして、すぐに笑った。


「もちろん。みんなも喜ぶよ」


「……本当に?」


「ああ。今度はもっとゆっくりしていけばいい」


「ありがとうございます」


 明美はうつむいた。


 胸の奥が、ふわりと温かくなった。


 長崎の店では、いつも誰かを迎える側だった。


 けれど、ここには自分を待ってくれる人たちがいる。


 それが、こんなにも嬉しいとは思わなかった。


 そのとき。


「明美」


 澪の声がした。


 振り返ると、湯気の立つ椀を持って立っている。


「夜風が冷たい。喉を痛めぬうちに、これを飲むがよい」


「まあ、ありがとうございます」


「ずいぶん歌っておったからな」


「澪様も、楽しんでいただけましたか?」


「無論じゃ」


 澪は微笑んだ。


「水まで、嬉しそうに流れておった」


「……水が?」


「そうじゃ」


 明美は水路を見つめた。


 さらさらと流れる水。


 月明かりが、その表面を照らしている。


「それなら……よかった」


 明美は両手で椀を包んだ。


 温かさが、指先から伝わってくる。


「澪様」


「なんじゃ?」


「今度は、一緒に歌いませんか?」


「……わたしが?」


 澪が目を見開いた。


「ええ。きっと素敵だと思います」


「わ、わたしは歌など……」


「聴いてみたいな、澪の歌」


 白瀬が笑って口を挟んだ。


「白瀬!」


 澪の頬が赤くなる。


「おぬしまで、何を言い出す!」


「いや、ちょっと興味があって」


「……まったく!」


 澪はそっぽを向いた。


 けれど、その耳まで赤くなっていた。


 明美は、そんな二人を見つめた。


 そして静かに微笑んだ。


 少しだけ、胸が痛んだ。


 理由は分からない。


 けれど、何となく。


 今夜のこの光景を、忘れたくないと思った。


     ◇


 翌朝。


「できたーっ!」


 工房から健太の歓声が響いた。


 白瀬たちが駆けつけると、健太が小さな紙片を掲げていた。


 前日から繰り返していた試作。


 ようやく形を保った一枚が、乾き始めていた。


 色はくすんでいる。


 厚さも不揃い。


 表面には、繊維の筋がはっきり見える。


 お世辞にも立派な紙とは言えなかった。


 それでも。


「白瀬しゃん! 破れんかったばい!」


 健太が満面の笑みを浮かべた。


「やったな!」


 白瀬も笑った。


 健太は恐る恐る紙を持ち上げ、指先で確かめる。


 まだ端は弱い。


 折れば裂けそうだし、墨で文字を書いたら滲むかもしれない。


 けれど、確かに紙の形をしている。


 ガタ吉が覗き込んだ。


「昨日の濡れた藁より、ずっとよかばい!」


「当たり前たい!」


 健太が胸を張る。


 そこへ、おたえがやって来た。


「……こい、売れると?」


 健太が振り返る。


「まだ売れんばい!」


「なんね、そい!」


「まだ丈夫じゃなかし、同じもんば何枚も作れん!」


 健太は真剣だった。


「ばってん、もっと上手に作れるごとなりたか」


「……そいね」


 おたえは紙を見つめた。


「なら、まずは荷札くらいから試すとよかかもしれん」


「荷札?」


「干魚の荷に、どこの品で、何が入っとるか書けたら便利たい。帳面にも使えるかもしれんし」


 明美が頷く。


「でも、文字が滲まないか、湿気で破れないかも確かめなくてはなりませんね」


「そいけん、試すと!」


 おたえが笑った。


「売るとは、その後たい!」


 白瀬は目を細めた。


 以前なら、まず値段を考えていた少女。


 今は、使えるものを作ることが先だと知っている。


 健太もまた、完成したつもりにはなっていない。


 一枚できたからこそ、次の課題が見えたのだ。


 白瀬は、二人の成長が嬉しかった。


「よし。じゃあ、次は何を試す?」


「墨で文字ば書いてみる!」


「乾かして、どれくらい丈夫か確かめる!」


「それから、何枚も作れるごとなるか!」


 健太とおたえが、次々と言い出す。


 明美が楽しそうに笑った。


「まあ。忙しくなりそうですね」


 白瀬も頷く。


「そうだな」


 海から生まれた村で、また一つ、新しい仕事の種が芽吹こうとしていた。


     ◇


 ところが。


 明美が長崎から持参した文には、もう一つ大切な知らせがあった。


 唐商人たちが、諫早の干魚を継続して仕入れることに興味を示しているというのだ。


 さらに、健太の三段干し籠についても、見本を求めている。


「やったばい!」


 おたえは飛び上がった。


「こいは大商いになるばい!」


「待て待て」


 白瀬が笑って制した。


「まだ注文が決まったわけじゃないぞ」


「分かっとる! ばってん、見込みはあるっちゃろ!」


「それはそうだな」


 おたえは早速、帳面を広げた。


 干魚の仕入れ。


 籠を作る竹。


 縄。


 運ぶ人手。


 長崎までの道中にかかる費用。


 一つずつ書き出していく。


 ところが。


「……あれ?」


 おたえの手が止まった。


「どうした?」


 白瀬が尋ねる。


「銭の足りん」


「え?」


「品物ば作るには、先に銭のいるとよ」


 おたえは帳面を指さした。


「干魚ば仕入れるにも銭。籠ば作るにも銭。長崎まで運ぶにも銭……」


 源太が腕を組んだ。


「漁に出る者にも暮らしのあるけんな。魚ば獲ってから銭の入るまで、何日も待てん者もおる」


「竹もただじゃなかばい」


 健太も言った。


「籠ば作る時間もいるし、道具も使う」


 長吉が続ける。


「田の手入れもある。水路ば直す資材も、また蓄えんばいかん」


 皆の声が重なった。


 どれも正しい。


 どれも大切だった。


 おたえは帳面を見つめた。


 四面蔵には蓄えがある。


 けれど、あれは村の暮らしを守るためのものだ。


 災害への備え。


 次の作付け。


 水路の修繕。


 困った者への助け。


 それらを、商いのために勝手に使ってよいはずがない。


「……うーん」


 おたえは唸った。


 長崎で売れたときは、嬉しかった。


 品物が売れれば銭が入る。


 銭が入れば、村は豊かになる。


 そう思っていた。


 けれど、商いを大きくするには、品物を売る前に銭が必要になる。


 しかも、儲かるかどうかは、まだ分からない。


「……商いって、難しかね」


 おたえがぽつりと呟いた。


 明美は優しく微笑んだ。


「だからこそ、面白いのでしょう?」


「……明美姉ちゃんは、そう思うと?」


「ええ。銭は、持っているだけでは何も生みません。でも、使い方を間違えれば、大切なものを失います」


 おたえは黙って聞いていた。


「だから、商人は考えるのです。何を守り、何に使い、誰に託すのか」


 しばらく沈黙が続いた。


 やがて、おたえが顔を上げた。


「白瀬しゃん」


「ん?」


「ひとつ、聞いてよか?」


「ああ」


「商いで儲けた銭は、誰のもんね?」


 白瀬は少し驚いた。


 おたえは続ける。


「魚ば獲った源太たちのもん?」


「……」


「籠ば作った健太たちのもん?」


「……」


「それとも、村のみんなのもん?」


 誰も、すぐには答えなかった。


 おたえは帳面を見つめた。


「そいに、もっと商いば大きくするための銭は、誰が出すと?」


 白瀬はゆっくりと息を吐いた。


 難しい問いだった。


 現代なら、会社もある。


 銀行もある。


 投資という仕組みもある。


 けれど、この時代の、この村には。


 まだ、そんな便利な仕組みは揃っていない。


 あるのは、人と人との信用。


 そして、皆が汗を流して蓄えてきたものだけだった。


 白瀬は窓の外を見た。


 そこには、昨日皆で守った水路が流れている。


「……銭って、不思議だな」


 白瀬が呟いた。


「水と同じで、溜め込むだけじゃ役に立たない。けれど、流し方を間違えると、誰かを困らせる」


 澪が静かに頷いた。


「水には、水の行くべき場所がある」


「ああ」


「無理に流せば、土手を壊す。止めすぎれば、田が枯れる」


 澪は白瀬を見つめた。


「銭も、同じなのやもしれぬな」


「そうかもしれない」


 白瀬は笑った。


 すると、おたえが勢いよく立ち上がった。


「なら、みんなで決めればよか!」


「みんなで?」


「そうたい!」


 おたえは帳面を抱きしめた。


「誰か一人が勝手に決めるけん、困るとやろ? なら、誰が何ば出して、誰がどれだけ受け取るか、みんなで話せばよか!」


 白瀬は、思わず目を見開いた。


 そして、ゆっくりと笑った。


「……おたえ」


「なんね?」


「お前、本当に商人になってきたな」


「へへっ!」


 おたえは得意げに胸を張った。


「当たり前たい! うちは、諫早一の大商人になる女ばい!」


「長崎一じゃなかったのか?」


「そいは、その次たい!」


 一同、大笑いした。


 明美も、声を立てて笑った。


 この村には、不思議な力がある。


 水を読み、土地を耕し、魚を獲り、道具を作る。


 そして、人々が自分たちで考え、未来を選ぼうとしている。


 明美は、白瀬を見つめた。


 この人が造ろうとしているのは、ただの豊かな村ではない。


 人々が、自分たちの力で幸せを育てられる場所なのだ。


 そう思ったとき。


 明美の胸に、またあの温かなものが広がった。


     ◇


 夕暮れ。


 有明海から、柔らかな風が吹いていた。


 白瀬は水路のそばに立ち、遠くの田畑を眺めていた。


 海から土地を借りた。


 土地から米が生まれた。


 米と魚が、人々の暮らしを豊かにした。


 そして今。


 その豊かさを、どう守り、どう育てていくのか。


 新しい課題が、目の前に現れていた。


「白瀬」


 澪が隣に立った。


「何を考えておる?」


「次の普請のことだよ」


「また何か始めるつもりか?」


「始めるというより、考えなくちゃいけないことが増えた」


 澪は呆れたように笑った。


「まったく。おぬしは、いつまで経っても忙しい男じゃ」


「そうだな」


「……まあ、よい」


 澪は水路へ目を向けた。


「おぬしが何を始めようと、わたしは水を見ておる」


 白瀬は澪を見た。


「頼りにしてるよ」


「当然じゃ」


 澪は少しだけ胸を張った。


 その顔が、どこか嬉しそうだった。


 遠くから、明美の歌声が聞こえてきた。


 小春たちが、また歌を教わっているらしい。


 皿を打ち鳴らす音も混じっている。


「……賑やかだな」


「そうじゃな」


 澪が微笑んだ。


「よい風が、長崎から吹いてきたものじゃ」


 白瀬も笑った。


「ああ。本当に」


 けれど、そのとき。


 四面蔵の方から、おたえの大声が響いた。


「白瀬しゃーん!」


「今度は何だ!?」


「大変たい! 長崎から、また文の届いたばい!」


「……え?」


 白瀬が振り返る。


 おたえが、一通の文を掲げて駆けてきた。


「唐商人からたい!」


 その顔には、驚きと興奮が入り混じっていた。


「干魚も、籠も……!」


 おたえが息を切らす。


「向こうが、商いの話ば進めたかって!」


 白瀬は澪と顔を見合わせた。


 そして、苦笑した。


「……どうやら、ゆっくり考える暇もなさそうだな」


 澪が肩をすくめる。


「まったく。おぬしらしい」


 遠くで、明美の歌が続いていた。


 有明海の風が、水路を渡っていく。


 海から土地を生み出す普請は、確かに一つの形になった。


 けれど、国を豊かにする普請は、まだ終わらない。


 次に動かすのは、土でも水でもない。


 人々の暮らしを巡る、銭の流れだった。


 そして白瀬たちは、まだ知らなかった。


 その一通の文が、諫早の商いを大きく変えることになるとは。

最後までお読みいただき、ありがとうございます!

今回は、長崎からやって来た明美の目を通して、これまで白瀬たちが築いてきた村の姿を描きました。

特に、白瀬の指示を待たず、自分たちで考えて水路を守った子どもたち。いつの間にか、こんなにも頼もしくなりました。

そして、明美の歌と諫早の皿踊り。

小さな村の宴から生まれた新しい夢が、いつか長崎の大きなお祭りへとつながっていくかもしれません。

澪と明美、二人の距離にも少しずつ変化が……?

さて、次回は第五十普請。

土地を拓き、米を育て、商いを始めた白瀬たち。今度は「銭の流れ」に挑みます!

引き続きお楽しみいただけましたら幸いです。

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