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第55話:王太子アーサー、辺境視察で屈辱を味わう

王都を出立した王太子アーサーの馬車は、出発から半日も経たぬうちに、ひどく不機嫌な沈黙に包まれていた。


黄金の装飾を施した豪華な四頭立ての馬車。


厚手の絨毯。


絹張りの座席。


窓には防寒用の厚い布が掛けられ、足元には小さな火鉢まで置かれている。


王都の貴族ならば誰もが羨むような旅装である。


しかし、乗っている本人たちの顔色は最悪だった。


ガタンッ!!


「きゃあっ!」


大きな轍に車輪を取られ、馬車が激しく跳ねた。


アリシアが悲鳴を上げ、アーサーの腕にしがみつく。


アーサーは座席から腰を浮かせ、天井に頭をぶつけそうになりながら、怒りで顔を赤くした。


「何をしている! もっと静かに走らせろ!」


外から御者の怯えた声が返ってくる。


「も、申し訳ございません、殿下! ですが、街道が凍りついておりまして……ところどころ、石畳も剥がれております!」


「街道の補修はどうなっている!」


「そ、それが……西街道の補修計画が途中で止まっておりまして……」


馬車の中に、嫌な沈黙が落ちた。


護衛として同乗していた宮廷文官が、気まずそうに目を逸らす。


「……まさか」


アーサーは、低く呻くように言った。


「またヴィクトリアか」


宮廷文官は、恐る恐る頷いた。


「例年は、積雪前に補修が必要な区間をヴィクトリア様が一覧にしておられました。石材の手配、職人の配置、軍用馬車の通行予定まで含めて……」


「もういい」


アーサーは吐き捨てた。


「何でもかんでも、あの女の名を出せば済むと思うな」


アリシアは、青ざめた顔でアーサーの腕を握りしめた。


「アーサー様……私、少し気分が……」


「我慢しろ、アリシア。辺境に着けば、すぐに休ませる」


「辺境に、まともな宿などありますの?」


アリシアは、不安げに眉を寄せた。


「寒くて、汚くて、獣臭い小屋に泊まることになったら、私……」


「案ずるな」


アーサーは尊大に顎を上げた。


「黒曜辺境伯も、私を迎える以上、相応の部屋くらい用意するだろう。もし粗末な扱いをすれば、それこそ王家への不敬だ」


そう言いながら、彼は配られた携帯食に手を伸ばした。


硬い保存パン。


塩辛い干し肉。


冷え切った豆の煮込み。


王宮を出る前、厨房が用意した冬旅用の食事である。


アーサーはパンを噛み、すぐに眉をしかめた。


硬い。


口の中の水分を根こそぎ奪う。


干し肉は塩が強く、噛むたびに顎が痛む。


「……水を」


従者が慌てて水筒を差し出す。


アリシアはパンを少しだけ齧り、すぐに涙目になった。


「こんなもの、食べられませんわ……」


「冬の旅では仕方ございません」


宮廷文官が申し訳なさそうに言った。


「保存の利くものとなると、どうしても……」


「黒曜辺境伯領とやらでは、真冬に柔らかい白パンや生野菜を食べているのでしょう?」


アリシアの声には、隠しきれない棘があった。


「なら、王太子であるアーサー様にこそ、最上のものを出すべきですわよね」


「当然だ」


アーサーは、硬いパンを皿に投げ捨てた。


「辺境で何を隠していようと、王家の前ではすべて差し出す。それが臣下の務めだ」


馬車はその後も揺れ続けた。


街道はところどころ凍り、橋の継ぎ目では車輪が跳ね、宿場に着いても部屋は冷え切っていた。


煙たい暖炉。


隙間風。


藁のにおいが染みついた寝具。


凍った水差し。


アリシアは毛布を何枚も重ねながら、震え声で呟いた。


「辺境へ向かう道は、なんて野蛮なの……」


アーサーは苛立たしげに暖炉の火を睨んだ。


「だからこそ、辺境なのだ。王都の庇護がなければ、あのような地は成り立たん」


彼はそう信じていた。


この不便さも。


この寒さも。


この粗末な食事も。


すべては「北の辺境へ近づいているから」なのだと。


黒曜辺境伯領に着けば、その先にはさらに惨めで貧しい土地が広がっているはずだと。


だからこそ、彼は自分がそこで圧倒的な立場に立つことを疑っていなかった。


数日後。


王太子一行は、ついに黒曜辺境伯領の外縁へ到着した。


「……何だ、これは」


馬車の窓から外を見たアーサーは、思わず低く呟いた。


目の前にそびえていたのは、王都で見慣れた垂直の城壁ではなかった。


雪原をぐるりと囲うように続く、巨大な土と岩の斜面。


その前には、黒く冷たい水を湛えた幅広い水堀。


斜面には大小さまざまな岩が噛み合うように積まれ、頂上には監視所と巡回路が整然と並んでいる。


威圧感はある。


だが、王都の城壁のような華美な装飾はない。


ただ、圧倒的な質量と、無駄のない形だけがそこにあった。


「土手ではないか」


アーサーは鼻で笑った。


「使者が大げさに報告するから何かと思えば、ただの土と岩の山だ」


「ですが殿下……」


宮廷文官は青ざめていた。


「この外側の堀、かなり深いようです。それに、斜面の岩もただ積んでいるだけには見えません」


「臆するな」


アーサーは不機嫌に言った。


「王都の城壁に比べれば、ただの野蛮な盛土にすぎん」


その時だった。


水堀の向こう、雪原の端を、飢えた小型の魔物が数匹うろついていた。


使者団の到着に気づいたのか、それとも馬の匂いに反応したのか、魔物は牙を剥き、こちらへ向かって走り出した。


護衛騎士たちが剣に手をかける。


だが、防壁の上の監視兵は、慌てる様子もなく淡々と鐘を一度だけ鳴らした。


高い警鐘ではない。


短く、低く、外側の監視所にだけ響く合図である。


魔物たちは、勢いよく水堀へ突っ込んだ。


ドボンッ!!


派手な水柱が上がる。


冷たい水の中でもがく魔物たちは、どうにか岸へ這い上がった。


しかし、その時にはすでに突進の勢いを失っている。


ずぶ濡れになった体で岩の斜面へ取りつくが、足場の岩がわずかに動き、爪が滑り、体勢を崩す。


一匹、また一匹と、魔物は斜面から転げ落ち、水堀へ逆戻りしていった。


防壁の上の兵士たちは、剣を抜くことすらしない。


数分後、魔物は体力を失い、捕獲柵の方へ流されていった。


「……」


アーサーは、言葉を失った。


護衛騎士たちも、青ざめた顔でその光景を見つめている。


その中で、防壁の門が静かに開いた。


現れたのは、泥のついた作業着を着た青年だった。


ルークである。


彼は王太子一行を前にしても、過剰に平伏することはなかった。


ただ、標準作業手順書に定められた通りの角度で一礼する。


「黒曜辺境伯領へようこそお越しくださいました。入領記録を確認します。王太子アーサー殿下、アリシア男爵令嬢、護衛十二名、宮廷文官四名、従者八名。相違ありませんか」


「……貴様」


アーサーは眉を吊り上げた。


「誰に向かって、その口の利き方をしている」


ルークはきょとんとした顔で答えた。


「王都からの視察団として対応しております。手順書通りです」


「手順書だと?」


「はい。王都関係者の受け入れ時は、過剰な敬礼よりも、人数確認、健康状態確認、危険物の申告、馬車の車輪洗浄を優先するよう定められております」


「車輪洗浄?」


アリシアが、怪訝そうに声を上げた。


「王太子殿下の馬車を洗えと?」


「はい。外部からの泥、獣糞、病原の持ち込みを防ぐためです」


「びょう……?」


アリシアは、意味が分からないという顔をした。


ルークは淡々と続ける。


「それから、温室区画、下水管理区画、防壁管理路への無許可立ち入りは禁止です。安全確認が済むまで、視察団の皆様には来賓宿舎でお休みいただきます」


「私は王太子だぞ」


アーサーの声が低くなる。


「この領地の全てを視察するために来た。私を門前で止める気か」


「止めてはいません。入領手続きです」


「王太子に手続きだと?」


「はい」


ルークは真顔で頷いた。


「お嬢様が作られた手順書では、身分に関係なく、危険区域へ入る者は全員同じ確認を受けることになっています。事故が起きたら困りますので」


「……っ」


アーサーの顔が屈辱で歪んだ。


だが、その背後から静かな足音が近づいてくる。


分厚い外套を羽織ったレオンハルトだった。


彼は剣を抜いていない。


怒鳴りもしない。


ただ、ルークの背後へ静かに立っただけだった。


それだけで、王都の護衛騎士たちは無意識に一歩下がった。


彼らは理解した。


この男は、脅しているのではない。


必要があれば、淡々と実行する側の人間だ。


アーサーは舌打ちし、馬車の奥へ身を引いた。


「……いいだろう。案内しろ」


「承知しました」


門を抜けた瞬間、アーサーたちはさらに言葉を失った。


防壁の内側の道は、王都へ至る街道とはまるで違っていた。


雪は端へ寄せられ、中央の通路は固く均されている。


馬車の車輪が沈まないよう砕石が敷かれ、排水溝には水が滞らず流れていた。


轍も少ない。


凍った泥もない。


馬車は、さきほどまでの旅路が嘘のように静かに進んだ。


「……揺れませんわ」


アリシアが、小さく呟いた。


「どうして、辺境の道なのに……王都の街道より楽なのですか」


誰も答えられなかった。


やがて一行は、来賓宿舎へ案内された。


アーサーは、外観を見て鼻を鳴らした。


「ずいぶん地味な建物だな」


だが、扉が開いた瞬間、その侮りは吹き飛んだ。


中は温かかった。


暖炉が燃え盛っているわけではない。


煙もない。


それなのに、床からじんわりと熱が立ち上り、部屋全体が春のような暖かさに包まれている。


護衛騎士の一人が、思わず声を漏らした。


「……暖かい」


従者たちも、目を丸くして辺りを見回す。


「煙くないぞ」


「足元が冷たくない……」


「王都の宿場より、ずっと息がしやすい」


アーサーは不快そうに彼らを睨んだ。


「黙れ。辺境の小細工に感心するな」


次に、従者の一人が厠へ向かった。


しばらくして戻ってきた彼は、奇妙なほど呆然としていた。


「どうした」


護衛が尋ねる。


従者は、震える声で答えた。


「臭く、ありませんでした」


「何?」


「厠が……臭くないのです。水を流すと、全部消えて……また綺麗な水が溜まりました」


その言葉に、アリシアが目を見開いた。


「厠が臭くない?」


彼女は半信半疑で侍女を連れて確認に向かった。


数分後。


戻ってきたアリシアの顔は、屈辱と混乱で真っ赤になっていた。


「……どうして」


彼女は震える声で呟いた。


「どうして、辺境の厠の方が、王宮より綺麗なのですか……?」


その場の空気が、どうしようもなく気まずくなった。


やがて、食事が運ばれてきた。


王太子一行を接待するための豪華な饗宴ではない。


決まりに従った、来賓用の温かい食事である。


だが、その内容は王都側の想像を完全に超えていた。


湯気を立てる野菜スープ。


焼き立ての白いパン。


瑞々しいレタスと赤いトマトのサラダ。


香草をまぶした柔らかな肉料理。


蜂蜜を添えた小さな果実。


アリシアは、銀の皿の上に盛られたサラダを見た瞬間、声を失った。


「……本当に」


彼女の唇が震える。


「本当に、真冬にこんな野菜が……」


侍女の一人が、恐る恐るレタスを口にした。


シャキッ、と小さな音が鳴る。


次の瞬間、その侍女の目に涙が滲んだ。


「……おいしい」


護衛騎士が白パンを割る。


中から、ふわりと白い湯気が立った。


彼はそれを口に運び、思わず目を閉じた。


「柔らかい……」


「王宮の旅食より、ずっと……」


「おい」


アーサーが鋭く睨む。


護衛騎士は慌てて口を閉じた。


だが、すでに遅かった。


彼らの顔に浮かんだ感動は、隠しようがなかった。


王都から来た者たちは皆、理解してしまったのだ。


辺境は貧しくない。


惨めでもない。


寒くも、臭くも、飢えてもいない。


むしろ、自分たちが数日間かけて耐えてきた旅路と、王宮の不手際と、保存食だらけの食卓の方が、はるかに惨めだった。


アーサーは、サラダに手をつけなかった。


手をつければ、認めてしまう気がしたからだ。


自分が追放した女のいる場所が、王宮より優れていると。


アリシアは震える手でトマトを摘まみ、口へ運びかけた。


しかし、悔しさで唇を噛み、皿へ戻した。


「……こんなの」


彼女は小さく呟いた。


「こんなの、ずるいですわ……」


その時、扉が開いた。


入ってきたのは、書類綴りを抱えたマーサだった。


彼女は王太子を前にしても、取り乱すことなく一礼した。


「王都視察団の皆様。お食事と宿舎に不備がないか確認に参りました」


「不備だと?」


アーサーは、怒りを押し殺した声で言った。


「貴様らは、私をいつまでここで待たせるつもりだ」


マーサは銀縁眼鏡を押し上げた。


「本日の正式面会は、午後の第三刻以降で調整中です」


「午後だと?」


アーサーが椅子を蹴るように立ち上がる。


「私は王太子だぞ。到着した私を、あの女は出迎えもしないのか」


「ヴィクトリアお嬢様は、現在お休み中です」


「休み?」


「はい」


マーサは、何一つ悪びれずに答えた。


「昨夜の読書時間が長引いたため、本日は昼過ぎまでの睡眠が予定されています」


アーサーの顔が、真っ赤に染まった。


「王太子である私を待たせる気か!」


その場の空気が震えるほどの怒声だった。


しかし、ルークは横から一歩進み出て、まったく揺らがない真顔で言った。


「お嬢様の睡眠時間は、領地の最重要保護対象ですので」


「……何?」


「お嬢様の安眠を妨げる者は、魔物、騎士、王都関係者を問わず、手順書に基づいて制止することになっています」


「貴様……私を魔物と同列に扱うのか」


「いいえ」


ルークは首を横に振った。


「魔物は水堀で止まりますが、王都関係者は書類で止まるので、対応手順が違います」


一瞬、完全な沈黙が落ちた。


護衛騎士の一人が、思わず咳き込む。


アリシアは青ざめ、アーサーは怒りのあまり声を失った。


マーサは淡々と書類綴りを開く。


「なお、王太子殿下の正式な視察要望については受理しております。ただし、温室区画、防壁管理区画、下水設備、財務記録の閲覧には、それぞれ別個の安全確認と閲覧許可が必要です。詳細は午後の面会、もしくは担当責任者会議にて説明いたします」


「ふざけるな……」


アーサーの声が震えていた。


「ヴィクトリアを呼べ」


「できません」


「呼べと言っている!」


「できません」


マーサの声は、氷のように冷たかった。


「お嬢様の睡眠予定は、前日から確定している領内業務です。緊急事態を除き、変更は認められません」


「私の来訪は緊急事態ではないのか!」


マーサは、少し考えるように視線を落とした。


そして、真面目な顔で答えた。


「現時点では、災害、魔物襲来、防壁損壊、温室火災、食糧危機、財政破綻のいずれにも該当しません」


ルークが隣で頷く。


「つまり、緊急度は低いっスね」


アーサーのこめかみで、青筋が跳ねた。


「この私を……低いだと……?」


その時、部屋の外から、静かな足音が聞こえた。


廊下の奥に立っていたレオンハルトが、ゆっくりと姿を現す。


彼はアーサーを睨んでいるわけではない。


ただ、そこに立っているだけだった。


けれど、空気が重くなる。


護衛騎士たちは一斉に背筋を強張らせ、アーサーも一瞬だけ言葉を詰まらせた。


レオンハルトは、低い声で言った。


「殿下。黒曜辺境伯領は、王家に弓引くつもりはありません」


その声は静かだった。


「ですが、この領地の安全と秩序は、我々の手順に従って守られています。ヴィクトリアお嬢様の安眠も、その秩序の一部です」


「安眠、安眠と……!」


アーサーは吐き捨てるように言った。


「たかが昼寝のために、王太子を待たせる領地がどこにある!」


レオンハルトは、真顔で答えた。


「ここにあります」


「……っ!」


アーサーは、屈辱で顔を歪めた。


王都ならば、彼が部屋に入った瞬間、全員が頭を下げる。


彼の不機嫌一つで、料理長も文官も騎士も震え上がる。


だが、この辺境では違う。


誰も彼を無視しているわけではない。


粗略に扱っているわけでもない。


宿舎は温かく、食事は豊かで、警備も整っている。


しかし、その全てが「王太子の機嫌」ではなく、「ヴィクトリアの作った手順」に従って動いていた。


それが、アーサーには耐えがたかった。


自分が、この領地の中心ではない。


自分より優先されるものがある。


しかもそれが、自分が追放した女の昼寝である。


これ以上ない屈辱だった。


「……いいだろう」


アーサーは、声を震わせながら椅子に座り直した。


「待ってやる。だが、ヴィクトリアが起きたなら、すぐにここへ連れてこい」


マーサは静かに一礼した。


「お嬢様が起床され、朝食兼昼食を終え、身支度を整えた後であれば、面会可否を確認いたします」


「まだ確認が必要なのか!」


「はい。お嬢様の気分も重要な判断要素ですので」


アリシアが、ぽつりと呟いた。


「……どうして、ヴィクトリア様ばかり大事にされるの……」


その声は、誰にも拾われなかった。


時間は、ゆっくりと過ぎていった。


王都の者たちは、温かい宿舎で待たされた。


白パンとスープは美味い。


部屋は快適。


厠も清潔。


それなのに、アーサーの心は少しも休まらなかった。


なぜなら、その快適さのすべてが、彼にこう突きつけているようだったからだ。


お前が捨てた女は、王都より豊かな場所を作った。


お前が見下した辺境は、王宮より優れた暮らしを手に入れた。


お前が不要と断じた帳簿と采配こそが、この楽園の根である。


話している途中、来賓宿舎の扉が、静かに開いた。


ルークが、ぴしりと背筋を伸ばす。


マーサが書類綴りを閉じる。


レオンハルトが一歩下がる。


その反応だけで、部屋の空気が変わった。


アーサーも、アリシアも、そちらを見た。


現れたのは、薄いガウンを羽織ったヴィクトリアだった。


プラチナブロンドの髪は、寝起きのせいで少し乱れている。


頬には、枕の跡がうっすら残っていた。


彼女は半分閉じた瞳で、部屋の中をぼんやりと見回す。


そして、欠伸を噛み殺しながら、実に面倒くさそうに言った。


「……誰?」


その視線が、アーサーへ向く。


「私の昼寝を邪魔する非常識な人は」


瞬間。


アーサーの顔が、屈辱で真っ赤に染まった。

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